アクベシムからなおもイシククル湖方面に向かい,途中バラサグン遺跡に至った.ビシュケクから70kmほどに位置するようだ.バラサグンは10~13世紀頃栄えたというカラハーン朝の首都があったところと推定されているそうだ.カラハーン朝は,最盛期東はカシュガルから西のアムダリアまでの広大な領土を有したそうだ.遺跡は今も発掘調査が続いているようである.
10~13世紀頃栄えたというキルギス北部のバラサグン(Balasugan)はマーカー4の辺りに位置している.アクベシムとはごく近くである.
バラサグン遺跡で代表的な建造物.11世紀創建のミナレットで,高さ25mの焼きレンガ造り.バラサグンの王に娘が生まれたとき,「あなたの娘は18歳で殺されてしまうだろう」と占い師に言われたそうだ.王はそうなっては大変なので,見張り塔を兼ねてこのミナレット,ブラナの塔を建立したそうだ.だが悲しいことに,娘が18歳になったとき王自身が娘に差し入れたブドウの房にサソリが潜んでいて,噛まれて亡くなってしまったという.
狭い階段を登ると屋上に出ることができる.周囲が山に囲まれた盆地状平原の広がりが見える.
バラサグン遺跡に入ったところに素朴で小さな博物館があった.写真のような陶器類やこの地に因む詩人の往時を偲ぶ品々などが展示されていた.
キルギス各地から集めたという石人70体が並べられていた.他に石臼や岩絵を刻した石なども置かれている.一般に石人は戦士の墓石と言われているようだ.片手に酒のグラスを,一方に剣を持っているデザインが多いようである.お地蔵さんのように柔和な顔で,戦士より寧ろ悟りを開いた人が多く,好感が持てるような気がする.
石人は中国のアルタイ地方やモンゴルでも見ることができるそうで,キルギスからモンゴルにかけて広がった文化のようである.そしてその分布から突厥(とっけつ:6世紀から7世紀ごろ中央アジアに存在した遊牧民族と,それが起こした中央ユーラシアに覇権をうちたてた遊牧国家.アルタイ山脈の麓に住んでいた)の戦士の墓石とされているようである.
遊牧民の国であるので牛や羊,馬があちこちで草を食んでいる.中東とかと違って羊より牛の姿が目立つ.....気がする.
牛が多いのできっとビーフがマトンより安いに違いない!ガイドさんに訊いてみたら,以下の通りだった.
種類 | 1kgの価格 | 円換算 | 註 |
---|---|---|---|
ビーフ | 150ソム | 375円 | |
マトン | 180ソム | 450円 | |
ヤギ | 100ソム | 250円 | |
チキン | 90ソム | 225円 | |
ポーク | 180ソム | 450円 | 非ムスリム(非イスラム教徒)のみが食し,殆どは輸入品 |
馬肉 | 130ソム | 325円 | 儀式用など特殊用途.なお馬肉ソーセージはとても高価 |
やはりマトンが高価だった.
下は,バラサグン遺跡での眺めあれこれ
バラサグン遺跡のあるこの辺りはトクマク(Tokmak)という地名のようだ.近くの農家の庭先で昼食をいただいた.付近一帯のドアや壁の青がチュニジアンブルーの印象に近いように思えた.庭先の食事は,暑いので開放的でいいが蝿が多いのにはいささか閉口する.これまであまり経験のない,下痢を2度までも体験することになるのは,蝿も関係しているような.....これから先,何度も屋外の食事を経験することになる.