さてシルクロードの中心都市として,悠久の歴史を誇る古都サマルカンドにやって来た.
ウズベキスタンのサマルカンド(Samarkand)はマーカー16の場所に位置している.
古くからシルクロードの要衝であったようだ.
シャフリサブスから北上し,サマルカンドへ向かった.このルートはブハラから引き続き標高700m程度で,僅かながら高原である.しかし意外と畑が多い.農家では畑の他に家畜も飼っており,たまにこのように羊が道路を占領している場合がある.
畑では綿花栽培が目立つ.9月中旬~10月中旬が綿花の収穫期で,ウズベクの学生は一ヶ月間綿摘みに駆り出されるという.朝早くから夕方まで,一日30kgのノルマがあって,もし達成できないときは相当高額の違反金を支払わないとならないそうだ.これは大変きつく,ガイドのガイラットさんは,当時よく違反金を支払ったり,場合によっては袋に石を詰めてごまかした,と白状していた.なお綿摘みは大学生だけで,高校生以下はないそうだ.
サマルカンドに近づくと草原が多くなる.ただしこの季節は既に新緑は終わり,茶色であるが.草原では羊もいるがどちらかと言うと牛が目立つ.
キルギスで食肉の値段を聞いたが,ウズベクでも訊いてみた.
種類 | 1kgの価格 | 円換算 | 註 |
---|---|---|---|
ビーフ | 3800スム | 380円 | |
マトン | 4200スム | 420円 | |
ヤギ | 3200スム | 320円 | |
チキン | 6000スム | 600円 | 輸入品で高い.安い国産もあるがまずい. |
ポーク | 7000スム | 700円 | 本来非ムスリムのみが食す |
馬肉 | - | - | 馬肉ソーセージ以外食べない |
やはりマトンが高価だった.イスラム圏なのでポークは特殊で高価,チキンも輸入のため高いようだ.
家畜の放牧が主なので家々は比較的疎らに建っている.この辺りの典型的な住宅は,主建材が日干しレンガでトタン(またはスレート)の屋根が載った平屋造りが多いようである.冬は積雪もあるがこれで大丈夫のようである.
下は,サマルカンドへ行くとき眺めた風景
宿泊したブハラパレスホテルの部屋の窓から撮った眺めだ.広い参道の先にグルエミル廟が見える.グルエミルとは王家の墓という意味だそうで,ティムール始め彼一族の墓となっている.
元々はティムールが,孫のムハメドスルタンのイラン戦での戦死を悼んで建設した廟だそうで,ドームは高さが35mもある大きな建物だ.一階のフロアに,皆がお参りするティムール始め複数の石棺が置かれているが,セキュリティ上遺体は地下の棺に安置されているという.
その安置された遺体は,1941年,旧ソ連のアカデミーによって調査され,ティムールが戦いで足を負傷していたことや,孫のウルグベクが首をはねられて死亡したことなどが判ったそうである.
レンガ造りで,青を基調とするタイルが貼られている.頂の鍾乳石状の細かい凹凸とその下のアラビア文字が織り成すデザインがなかなかいい.
内部のアラベスク模様やアラビア文字の装飾は,全体的に金ぴかだ.金(Au)が4kgも使われているそうだ.またアラベスクはタイル自体に模様が描かれた所謂マヨリカタイルで構成されているようだ.とてもゴージャスでティムールの霊廟に相応しい雰囲気だ.
参拝者は今も絶え間なく訪れ,祈りを捧げていた.
一方外壁は主に色タイルを所定の形にカットして貼り付ける,所謂モザイクタイルで仕上げられている.硬いタイルを割って組み合わせるという大変な方法に拘わらず,白い目地の幅は狭く,ほぼ一定に仕上がっているのは見事だ.ただ最も細かいところ,この写真では花の中心の部分,はタイル自体に模様が描かれたマヨリカタイルであり,言わばハイブリッド仕上げになっている.
下は,グルエミル廟の写真あれこれ
夜間,グルエミル廟のドームは青い光でライトアップされていた.廟の前は大きな広場があり,大勢の市民が夕涼みに来ているので,そのための演出であろう.
ビビハニムはティムールの妃の名前だそうだ.ビビハニムモスクは中央アジア最大のモスクだそうだ.彼は遠征であちこち訪れているが,インドで見た建築の壮大さに感銘し,自らも壮大なモスク建設を決意した.そしてこの巨大なビビハニムモスク建設に,1399年着工し,亡くなる前年1404年に完成したという.しかし,工期があまりにも短く,工事が雑で手抜きもあり,竣工直後からレンガの崩壊が始まり,地震も追い討ちをかけ,廃墟になってしまった.ようやく近年になって,ウズベク政府が修復作業を実施し,ここまで回復したようである.
ビビハニムモスクの建立に関してもう一つのストーリーがある.ティムールが遠征中,彼の喜ぶ顔が見たいと,妃のビビハニムはモスク建設を急ぎたいと思った.そこで,建築家にもっと工事を急ぐように催促した.だが,建築家は美貌のビビハニムに恋してしまい,「一度だけキスをしてくれれば,王が帰るまでに完成させよう」と取り引きを持ちかけた.ビビハニムは迷いにまよったが,結局彼の願いを聞き入れた.ところが一度のキスの跡が,あざとなって残ってしまった.ティムールがサマルカンドに戻った時,モスクは既に完成しており,驚き,喜び勇んでビビハニムのところに駆けつけた.ところが妃の頬にはあざがあった.怒ったティムールは直ちに建築家の首を刎ね,ビビハニムをモスク横のミナレットから突き落として,殺してしまった,とさ.
巨大なモスクに相応しい大きな書見台だ.ここに大きなコーランを置いて,僧侶が読み上げたのであろう.今はお土産屋の脇役として鎮座している.
ウズベク政府がドーム屋根や壁のタイルは修復したが,建物内部まではまだ手が廻っていないようだ.床は土間で壁もレンガが剥き出しだ.鳩が巣を作り根城にしている.なので,現在はまだ実使用されるには至っていないようだ.
下は,ビビハニムモスクの写真あれこれ
バザールは商品ごとに売り場が区分されている.穀類は穀類エリア,野菜は野菜エリア....と,まあこれはどこのバザールもほぼ共通か.その野菜であるが,葉野菜,根菜,どれも1kg円換算で20円~30円くらいのものが多い.最盛期を迎えているスイカが,1個150円くらいとかなり割安で販売されている.まあ,この辺りでは相場なのであろうが,イトーヨーカドーとかマルエツとかと,つい比較してしまう.
輸送手段は殆どトラックであるが,このようなロバ車もたまに見かける.
下は,サマルカンドのバザール風景あれこれ