メルブを見た後,バスでひた走り,国境の街トルクメンアバードに向かった.ここで再びウズベキスタンに入る.
トルクメニスタンのトルクメンアバード(Turkmenabad)は東のウズベキスタン国境近く,マーカー13の場所に位置している.
メルブを発ち,トルクメンアバードに向け東に走ると,カラクム砂漠に入る.砂漠に生えている潅木はサクサウールと呼ばれる木が多いようだ.サクサウールは種から育ち,根が地中10mくらいまで伸びるそうである.砂漠の緑化と砂の移動防止に役立つので積極的に種蒔きもされているようだ.また,サクサウールは葉に塩分を含み,羊が好んで食べるそうである.
カラクム砂漠の途中や,トルクメンアバード辺りでは天然ガスを産するところがあるようで,高い煙突から炎が出ているのが見えた.右の写真ははっきりとは判らないがガスを加工する工場かも知れない.天然ガスは石油と併せてトルクメニスタンの重要な資源で,その輸出で潤っているようである.ちなみに天然ガスと石油とで輸出額全体の83%を占めるそうだ.尤も,その一部(多くか?)はニヤゾフ大統領周辺に流れていたといううわさであるが....でも少なくとも,ガス収益の一部は国民にも還元され,ガス,電気,水道,塩は無料で国民に供給されているという.さらに教育費も無料だということだ.
ニヤゾフ前大統領はケーブルテレビ局は全廃し,テレビ放送にも一定の制限を設けた一方,娯楽目的の衛星放送を推奨.その結果このようにパラボラアンテナが林立するに至った.衛星放送普及率は世界一だそうだ.言論統制に関する世界中からの批判をかわす狙いがあっったようだ.
アシハバード同様この街もゴミがなくきれいであるが,パラボラアンテナがなければさらにいいと思うが....
トルクメンアバードには綿花畑が多くあった.大規模な灌漑による綿花生産は石油と天然ガス生産に並ぶトルクメニスタンの重要な産業だそうだ.ウズベキスタンとの国境付近にアムダリヤ川が流れているが,ここからカラクム運河を掘り起こして灌漑に利用している.同運河はソ連時代の1954年から開削され,1988年に完成.カラクム砂漠を通過し,アシハバードを通りカスピ海に至り,全長1,100mに達し,世界一大きい運河だそうだ.トルクメニスタンの綿花生産を飛躍的に増加せしめた一方,アラル海に注ぐアムダリヤ川の水の実に1/9も横取りしているため,アラル海が干上がる大きな要因にもなっているようだ.アラル海は干上がるだけでなく,行き場がなくなった塩分(NaCl)は空気中に舞い上がり,周辺の大地に降り立ち,荒廃させる,といった2次災害も引き起こしているそうだ.
トルクメンアバードで昼食を済ませ,再びバスで東に行くと,程なくアムダリヤ川に至る.フローティング式の橋が架かっていたが,以前他所で同じ形式の橋でのバス転落事故があったそうで,ここでもバス通行は許可されないという.約800mを歩いて渡ったが,景色が見えてちょうど良かった.ただし撮影禁止なので,珍しいフローティングブリッジの写真が撮れないのは残念だ.パミール高原から流れ来るアムダリヤ川は泥水状であるが,そこから分岐する大小運河では子供たちが元気に水遊びしている.
川を越えると間もなく大きなトラックが列を成しており,国境に来たことを実感する.この先はまた例によってエラく時間がかかり大変なのであるが,次は再びウズベキスタンだ.
下は,トルクメンアバードの写真