スペインのセビリアから丘陵地帯を通り,ポルトガルのエヴォラに向かった.
マーカー14で示したのがポルトガルのエヴォラ(Evora).ローマ帝国時代からアレンテージョ地方の中心地で,学芸の都であるそうだ.
スペインを抜け,ポルトガルへの入国は,全く入国管理事務所はなく,単に星が円還状に並んだ例のEUマークの中にPortugalと書かれた道路標識のあることろをスピードを落とすこともなく通過するだけだ.やはり旅行者にとっても,EUのシステムは単一通貨等含めて便利だ.ポルトガル領内に入っていきなり風景が変わることなく,丘陵地帯に緑が広がっている.樫やコルクの木が多いようだ.やがてトールゲートでセディーユの付いたCの文字などで,ああポルトガルに入ったな,と改めて思う.
丘に登ると見えてくる.これは2世紀末ローマ人によって造られたコリント様式列柱の神殿.月の女神ディアナに捧げられたそうである.屋根は流石に残っていないが,多分木でできていたのであろう.ローマ帝国はここヨーロッパの西端を支配し,さらに海峡を越えイングランドまで行っていたのだから強大だったわけだ.この丘からはエヴォラの街がよく見渡せる.
下は,ディアナ神殿と周辺の写真あれこれ
エヴォラ大聖堂は12~13世紀,ロマネスクからゴシックに移り変わる時代らしい,に造られたそうである.Basilica Caredralの表札が掲げられ,キリストの12使徒像の入り口をくぐると,込み入った形状の柱上部に,鮮やかに彩色された天使像が掲げられていた.さらに進むと,キリスト像や象牙製というマリア像のある礼拝堂になった.ここのパイプオルガンは,1584年に訪れた天正少年使節団の中の一人がポルトガル人の前で弾いたという.そんな訳で最古のパイプオルガンでもあるようだ.
なお,この辺りは,1988年,『エヴォラ歴史地区』(Historic Center of Evora)として,ユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録されている.
エヴォラ市民の憩いの場のようだ.周囲はいろいろなお店や教会が建ち並んでいる.また四方八方に細い路地が連なっているようだ.折りしもクリスマスの季節,大きなクリスマスツリーや馬小屋でキリストが生まれるシーンの展示があった.また,焼き栗の露店がもくもく煙を上げている.筆者も買って食べてみた.甘栗とかと違って,単純に焼いたもので,全くの素の味が楽しめる.
歴史を辿れば,1165年イスラム教徒からエヴォラを奪回した英雄,ジラルドセンパボルに因むそうである.今は平和そのものに見えるが,中世にはここで処刑が行われたようでもある.
下は,ジラルド広場の写真あれこれ.モザイク敷石が歴史を感じさせる.