オビドスからさらに北上を続け,ナザレまで来た.
マーカー19で示したのがポルトガルのナザレ(Nazare).大西洋を望む小さな街.
この日は晴れ渡り,空も大西洋も青く澄んでいる.ナザレは,立っている断崖上,高台の地域と,下の海岸の漁村地区(今はビーチリゾート関連が多いように見えたが)とに分かれている.
ナザレの名はイスラエル北部の都市が先ず知られる.マタイ福音によれば,イエスがユダヤのベツレヘムで生まれたあと,時の大王によって幼児殺害の命令が出たため,キリストの養父(若しくはマリアの婚約者,夫)ヨセフは妻と子を連れてエジプトに逃れた.大王の死後,エジプトから戻り,イスラエル北部のナザレに落ち着いたようである.
一方こちらのナザレは,4世紀遠くイスラエルのナザレ,つまりキリストの故郷から,聖母マリアの像を携えてこの地に僧侶がやって来た,という話に由来して命名されたそうである.この地の住民はカトリックであり,マリア様とはとりわけ縁が深い.昔むか~し,濃い霧の中,馬で狩りに興じていた騎士の前に,突然マリア様が現れた.慌てて手綱を引いて立ち止まると,既にマリアの姿はなく,よく見ると一歩先は断崖の切れ目だった.殆ど断崖からの転落寸前だった訳で,騎士は改めてマリア様に感謝したそうだ.
ナザレ女性の伝統衣装について聞けばなかなかユニークだ.要約すると,未婚女性はロングスカート,既婚女性はミニスカート,未亡人は黒いスカートだそうだ.既婚女性の中で比較的年配者は,7枚重ねのミニスカートに毛織のソックスというのが定番なようだ.一見,ペルーアンデス辺りの女性と一部似たような印象を受ける.未亡人が一生喪服というのもつらそうに思えるが,実際街では大勢見かけたからそうでもないのかな?
下は,ナザレの写真あれこれ.最初の一枚はバスに給油中のドライバ,フィルナンドさん.スペインからず~っと一人で運転を続けてくれている.
さらにナザレの写真.