4日目,6月16日は,行程が長いため未明にベシャムを発ち,スカルドへと向かった.
暗いカラコルムハイウェイを暫く走ると徐々に明るくなり,周囲の風景が見えるようになってきた.高度を上げてきたため畑はあまりなくなり,岩山が殆どを占めるようになる.
やがてダスー(Dasu)の町に至り,インダス川沿いのContinental Lodge Hotelというお土産屋兼食堂兼ロッジで朝食を食べることになった.屋上に上ってみると,何人かがまだ毛布を被って寝ていた.小雨も降っていたが,それより涼しく寝られることがベターなようだ.眼下のインダス川は轟音を立てて茶色の濁流を運んでいた.
下は,ダスーまでの写真
なおもカラコルムハイウェイを進み,チラス(Chilas)までやってきた.ここではたまたま以前宿泊したことのあるシャングリラインダスビューホテルで休憩し,昼食を頂戴することになった.昼には早い時間であったが,この先目的のスカルドまで食事のできる場所がなく,ここになったのだ.つまりもっと凄い山奥に入るということになろう.
下は,チラスの写真あれこれ
殆ど茶色一色の山間部でオアシスのようにきれいなグリーンが広がっている場所が所々にある.多分雪解け水などの供給が十分なため穀類や野菜が育つのであろう.
このグリーンのサイズに比例して,ほんの2~3軒だけの集落から数十軒の村,さらに大きな町レベルまで形成されている.それこそ手に取るように現物で示してくれている.なかなか興味深い.
ここに至る少し手前でナンガパルバット眺望点を通過した.あいにくの雲で何も見えなかったのが残念だったが,まあ山の天気なので致し方なかろう.
ここはヒマラヤ山脈,カラコルム山脈,ヒンドゥークシュ山脈がぶつかり,合流している点だという.太古の時代,大陸が衝突し,大地が隆起して山脈になったようである.現在,少なくともトレッキングに適したエリアであることは確かだ.
ここでは川も交わっており,このまま北に遡るのはフンザ方面に連なるギルギット川,東に遡るのは私たちがこれから向かうインダス川源流方面となる.
下は,三山合流点辺りまでの写真
さて三山合流点を越えたところでカラコルムハイウェイと別れ,スカルドへの道に分岐した.この道は細いがちゃんと舗装され,通行量はかなり少なくなる.カラコルムハイウェイ以上にスリルのある道であるとも言えよう.
たまにデコトラや4WDに出合うが,すれ違いや追い抜きはなかなか容易ではない.でもドライバのマナーは良好で,ホーンを鳴らせば脇に寄せて道を空けてくれる.これは中華...国あたりとはかなり違うところだ.こちらは,喧嘩にならないかと,鳴らし過ぎを心配してしまうが,まあそれは大丈夫なようである.
ここもまたところどころに緑が広がり,集落のある場所が点在する.改めて実に不思議でまた美しい光景だと思う.急斜面の僅かな厳しい農地に,その面積に比例する戸数の農家が存在するのだ.多分その戸数はきっとここ数百年変化がないのでは....と勝手に想像させられるくらい限定的に展開された農地なのだ.何しろ岩肌のほんの一部に展開された緑なのだから.....
インダス川は源流に近づくに連れ急峻さを加え,濁り,逆巻く水は殆ど地獄の川,見たことはないが,を想起させる.
下は,インダス源流を遡る際の写真あれこれ
さらに山道を辿り,インダス源流に近づくと意外にもインダスは湖のように広く緩い流れに変わった.この大きな湖にはカラコルム山脈からたくさんの川,インダス支流と言うべきか,が流れ込み,バッファのようになっているようだ.
この広く緩やかな流れは地図上でもかなり大きな範囲に連なり,目指すスカルドの町はその途中に位置しているようだ.
夕刻ようやくスカルドに到着した.写真は宿泊のマッシャブルムホテル(Masharbrum Hotel)の部屋から眺めたスカルドの風景.尤もこれは農地や空港(軍港)などのあるエリアで,反対側には結構大きな街も広がっている.
何れにしても無事予定期日にスカルドに到着できて良かった.
下は,スカルドまでの写真
ドライバさん,今日は長い時間ご苦労さまでした.これで明日は登山口アスコーレまで行くことができるでしょう.