さて8日目(トレック3日目),今日6月20日はパイユへと登る.
スカムツォクの嵐,風は止むも雨は朝まで続いた.朝食を済ませ,カッパを上下とも着てツアリーダーのMさんの号令で準備運動を行う.終えると,幸い雨は止む気配だ.カッパを脱いでも大丈夫そうだ.これは助かった.7:00AMに出発した.
昨日と同じようにビアホー川の北側(右岸)を進む.川に近い道であるが時々高巻き道の箇所もある.
雨はなく時々射す陽はかなり強烈で,長袖のシャツにサンスクリーンは必須だ.気温そのものはさほど高くないし,空気は乾いているので結構快適だ.ツアリーダーのMさんの話では,去年7月に来たときは非常に暑く,川に飛び込みたいくらいだったそうで,今回は6月のせいかどうかかなり楽だという.
下は,ビアホー川沿いを行くときの写真
10時頃になると先方にかなり雲に覆われてはいるが凸凹した岩山が見えてきた.ガイドAmさんによればトランゴ岩塔群などだという.また目指すパイユの緑も目に入るようになった.この分では直ぐに到着しそうである.
ここはたくさんの人たちがテントを張っていた.その多くは遠征隊である.スカルドで会った韓国学生のガッシャーブルム1,2(G1,G2)隊は高度順応のため2日目を過ごしていた.加えて,別の韓国K2隊が我々と同じ頃に到着し,テントを張った.8人のクライマー+2人のオブザーバーと云う構成だそうだ.この後もさらに別の韓国隊に出会ったが,韓国の登山熱はすごいようだ.
下は,パイユでの写真いろいろ
ここは柳の綿(多分種子でタンポポのように浮遊している)が激しく飛び交いテントの中が綿だらけになる.昨日の砂いっぱいよりはまだましかな?この現象は,日本では柳の種類が違うのがそれほと見かけないが,やはり夏の中国でも見かけたことがあった.
夕刻になってビアホー川上流の雲が晴れ,連なる岩山がくっきり姿を現してきた.左からトランゴ岩塔群,ロブサンスパイアー ,カテドラルだとガイドAmさんに教えてもらった.
地図上では大まかに西から東にトランゴ岩塔群,カテドラル,ロブサンスパイアーの順に並んでおり,ここから見た順とは異なる......?だが一直線上に並んでいるわけではなく,南北にも偏倚しているので,ここからだとやはりトランゴ,ロブサンスパイアー,カテドラルと並んで見えるのであろうか......?
ビアホー川対岸を眺めると雪山が見える.写真左端のリリゴピーク ,中央背後に雲に覆われがちであるがダブルピーク を望むことができる.
上述のトランゴ,ロブサンスパイアー,カテドラルは切り立っているためか雪があまり着いていない.一方南のリリゴピーク,その西の無名峰は真っ白な雪を抱き美しい.
こちらも晴れるといろいろな山が見えて来た.多くは無名峰であろうが5,000mくらいと見られる峰も多く,なかなか見応えがある.
なお反対側の北方面は近くの山の上にパイユピークが頭だけを覗かしていた.少し先に行くときっと全貌が見えるであろう.
下は,パイユからの眺めあれこれ
午後になってむしろ天気が良くなってきた.パイユには一応シャワーボックスが備えられているのだが,実際は水が供給されず,顔を洗うのもままならないのが実情だ.それでも時々出る水を待って,またもや洗濯に勤しんでみた.今回はポーター預け荷物の重量制限(12kg)が厳しいので洗濯は必須なのだ.
今日はパイユには早くに到着し,たっぷり時間があったが,明日も高度順応のためここに滞在する.更に時間があるが,さて,どうして過ごそうかな~.幸い熱は下がりようやく風邪は治ったようで,ほっとした.なお持参したオムロンの30秒体温計は低温ではエラーとなり計測できなかった.それがスペックのようであるが,山に持参するには甚だ不向きであることが判った.筆者は概ね治ったが,同行のUさんがお腹を壊し,熱を出したようで,今夕から静養しておられた.幸い明日はここに滞在なのでゆっくり身体を休めて回復されるであろう.
夜の礼拝の後,パイユの夜はポーターの食器入れの,即席ドラム伴奏による歌で遅くまで盛り上がっていた.どうやらポーターグループごとに持ち歌,多分村毎のフォークソングのようなもの,があって掛け合いのようにして唄っているようだ.筆者は行かなかったが踊りもあるそうだ.驚くべきは,イスラム教徒なので酒は無し,なのによくもまあこれほど.....と感心してしまう.
夜半になると荷役のロバがギャーッ,ギッ,ギッ,ギッ,.....と大きな音(非常にうるさい)を上げている.さらにテント近くまで来てほっつき歩き周り,これにはいささか閉口させられた.いままでロバって鳴かないものとばかり思っていたが.....