12日目(トレック7日目),本日6月24日はゴレⅡへ向かう.
左がダイニングテント,右がキッチンテント.キッチンテントはコックさんやキッチンボーイの皆さんが寝泊りする場所でもある.我々が朝食を済ますとキッチンボーイやポーターの皆さんは後片付けをして,いつものように7:00AMから歩き始める我々の後を追ってくる.
ウルドカスを出ると暫くはカテドラルの上流(東側)に位置するロブサンスパイアー(Lobsang Spire:5,707m)の方向に歩くことになる.
所々に大きなクレバスが現れ,白い氷河の断面が見える.
この日も天気に恵まれた.ウルドカスから20~30分歩くとガッシャーブルムⅣと,その右側背後にガッシャーブルムⅡが見えた.ガッシャーブルムⅡは8,035m,世界で14座ある8,000m峰の1つだ.ほんのちょっと見えただけであるが,一応8,000m峰が見えたと云う感激はやはりある.8,000m峰が見たいという欲望,見えて感激,共に不思議なものだ.自分だけでなくトレッキングが好きな人は概してこんな風に単純,皆ですご~いとか言いながら歩く.
下は,ウルドカスを出て暫く歩いたところまでの眺め
ウルドカスを出て1時間ほどすると行くての右側(バルトロ氷河左岸)に白い山が見えてきた.ビアルチェリ(Biarchedi:6,781m)という山だそうだ.逆光であるが,雲が切れると雄大な姿を現し,迫力がある.
この辺りからは大小さまざまな氷塔が多く現れてくる.あるものは白い氷の円錐で,あるものは写真中央のようにきのこのように上に石を載せている.氷塔はセラック(serac:仏)とも呼ばれるそうで,バルトロ氷河名物であろう.
同行者やツアリーダーによれば,バルトロ氷河は砂利や岩で覆われているが,太陽光で上の方から氷は融けていくようだ.たまたま大きな岩があったところは融ける速度が遅く,周りが早く,その結果円錐状に残る,のではないか....と聞いた.また,きのこは岩が残ったまま,氷だけの山は上部の岩が脱落した結果ではないかとも聞いた.
まあ,何れも「じゃないか」ということで,或いは氷塔ができる正確な理由があるのかも知れない.
下は,氷塔の多い辺りの写真いろいろ
ゴレⅠを目指し,さらに進んだ.やがて上述のビアルチェリの手前,雲の切れ間にマッシャーブルム(Masherbrum:7,821m)が頂部を覗かせるようになってきた.マッシャーブルムはK2より手前にあって,高度も高かったせいか測量記号がK1だそうである.でもK1よりマッシャーブルムの方がやはりいいようで,普通そちらの呼称が好んで使われるようだ.
主峰は雪の張り付きが少なく赤い岩肌を覗かせている.きっとそれだけ勾配が急峻だということだろうか?
下は,ゴレⅠまで歩くとき,その前半までの写真.
やがて雲が少なくなり,ビアルチェリの全容が見えてきた.マッシャーブルム主峰と異なり,ビアルチェリ主峰手前斜面は急に見えるが白い雪が積もり,きれいだ.雪の付き方は勾配の緩急などのみならず,周囲の地形,気流.....等々複雑な要因が絡みあって決まるのであろうか?
12:30PM,ゴレⅠに到着した.ただここは陸地ではなく,バルトロ氷河の上だ.ウルドカスを出た後はコンコルディアまで,ずーっとバルトロ氷河の上で,サイドモレーンに上がることはなかった.その後,コンコルディアから戻るときもウルドカスまでは氷河の上だ.
この辺りでは珍しくブルガリアから来たという中年のカップルに出会った.バリバリの遠征隊でなく,我々と同じようなグループで,何故かほっとするような.(別に気にすることないのにね)
下は,ゴレⅠまで歩くとき,後半の写真
雲が少なくなるとマッシャーブルムの全容が見える.個人的には主峰だけだと「それほど」であるが,左右の裾野を含めたマッシャーブルムは実に美しい.凹凸が激しく,雪の文様がきれいなのが,全体の形を引き立てているように思う.
マッシャーブルムの左からバルトロ氷河に注ぐのは,エルマネンズ氷河(Yermanendu glacierで正しい発音は違うかも知れない)のようだ.山に,氷河に,手前の氷塔にと,白いオブジェがいろいろ楽しめるのがこのトレッキングエリアのすばらしいところだ.
3:10PM,バルトロ氷河上のゴレⅡに到着した.先のコンコルディア方向にはガッシャーブルム山群が見えている.左からガッシャーブルムⅣ,Ⅳの支峰,ガッシャーブルムⅤ,ガッシャーブルムⅥ峰だそうだ.なおここに来る途中見えたガッシャーブルムⅡ峰は,ここからはガッシャーブルムⅣの背後となり見ることはできない.
到着時既にテントを張ってくれていた.はやい時間であったが,バルトロ氷河の周りの山で陽が遮られ,日陰になっている.今夜からは相当冷えそうなので,銀マット,薄いウレタンマットの上に持参したエアマットを敷くことにした.これは断熱効果と共に下のごろごろ石の感触を緩和する効果もあった.
下は,ゴレⅠとゴレⅡとの間の写真.右側2枚は夕日のマッシャーブルムとビアルチェリ.
これまで天気はどんどん良くなっているし,明日も期待できそうだ.さて明日はいよいよコンコルディアだ,K2だ!