このドバテへ編では,2014/10/22(水)カウマで朝を迎え,カウマ峠に至りヒマラヤを眺め,次にツツ峠を越え,シプトン峠を越え,さらにケケ峠を越え,ドバテへと至ったときの写真を載せました.
この日はカウマ(7)から,赤マーカーのシプトンパスを越えてドバテ(8)に歩く.アップダウンの激しいトレイルだと言われている.
2014/10/22(水)カウマで朝を迎えた.テント内の気温は-1℃,気圧663Paとかなり冷え込んだ.
テントには霜が厚く積もっていた.また寝袋とテント内側は結露し,内側結露は剥がれて顔に落ちてきた.ただ空は快晴で,大変気持のいい朝になった.
朝食を食べ終えると,いつものように準備体操をし,衣服調節し,8:00AM出発となった.
スタッフの方も大半のテントを畳み,私たちから幾らか遅れて出発し,そして途中で追い抜いて行くであろう.
私たちは先ず,段々のテント場の直ぐ背後にあるシャクナゲ林のトレイルに入っていった.多くの人は昨日もここを通り,往復した筈だ.
やがて森林限界を越えたのか,シャクナゲ林を抜けて,陽当たりのいいトレイルになった.このまま持ってくれればいいのだが,さてどうなるやら.
1時間ほど歩いたであろうか,タルチョーやルンタで彩られた頂部にチョルテンを載せたマニ塚が見えてきた.峠,カウマ峠(Kauma La:3,873m)だ.
カウマ峠に出ると,パ~っとヒマラヤの展望が開けた.晴れて嬉しい,やった~.
左(西側)から幅広台形状のチャムラン(Chamran:7,319m),三角形のピーク6(Peak 6:6,739m),そしてマカルー(Makalu:8,463m)だ.ピーク6の手前に重なって見えるのがピーク7(Peak 7:6,105m)らしいのだが,果たしてその左側の峰まで含まれるのか否か,私にははっきりとは判らない.尤も光線がフラットで重なり部はよく見ないと判別不可能だ.写真の腕がイマイチだった.
マカルーの遥か東に目を転じると,小さくではあるがカンチェンジュンガ山塊も見えた.カンチェンジュンガ4つの峰が左側に,その右の特異な形がジャヌーのようである.ここで見えたのはかなりラッキーであろう.
下は,カウマ峠での写真
カウマ峠で一休みの後,北に向かい再び歩き始めた.東の谷から雲が湧き出てきた.雲の上昇速度はとても速く,東側の眺望は完全に遮られてしまった.
少し進んで来た道を振り返るとやはりトレイルの東側は完全に雲で覆われていた.背後の出発点カウマ辺りも既に雲が架かった様子だ.ただし西側はクリアで,時々尾根上からチャムラン等が望めた.
この辺りで私たちパーティ随一の健脚Sさんが熱を出し,一旦カウマに戻り,休息を取ることになった.後日,Sさんはカウマで2日間休息後,熱が引き,私たちより丸一日短縮した行程でBCで追いついた.しかもその脚で単独BC先のエベレスト展望点を往復された.Sさんとは以前インドヒマラヤでご一緒したことがあり,健脚ぶりに驚かされたものだが,現在も超人的だ.
このトレイルはなかなか険しいところもある.晴れていれば良いが,雨で濡れると滑り易いので要注意だ.
ツツ峠(Tutu La:4,050m)まで来た.ツツ峠は別名ガングル峠(Ghangru La/Ghangru pass)とも称するようだ.峠なので3つのチョルテンを載せたマニ塚が建てられている.
この辺に達した頃には雲が広がり,チャムランを残し,ピーク6以東は隠れてしまった.
ツツ峠に至り,下を眺めるとサノポカリ(Sano Pokhari)という湖が見えた.ポカリは湖,サノは小さいのネパール語,つまり小さい湖の意味だそうだ.風が弱かったため,静かな湖面はきれいに青空を映し出していた.
下は,ツツ峠越えのときの写真
ツツ峠を越した後,何回か坂を下ってはまた上る.なかなか歩きがいのあるところだ.
前述のサノポカリよりさらに小さな池も2,3現れた.地図には記されていないし,多分無名ではなかろうか.名があったらごめんなさい.
小さな池はまだ凍っている.陽射しが弱いので,この時間もまだ融けないようだ.
やがて本日のハイライトシプトン峠(Shipton La:4,216m)にやって来た.大きなマニ塚やチョルテン,大岩に架けられたルンタが峠の性格を表している.
ツツ峠とかと違って,ここだけシプトン峠と洋風響きの名だが,ロンリープラネットを見ると,1952年,エドモンドヒラリーのエベレスト偵察で,このルートを通ったエリックシプトン(Eric Shipton)の名を冠したということだ.
峠では誰しも,その先に何が待っているか覗きたくなるものだ.ここでも,あれが何,これが何,...あのルートを下り....とガイドさんに聞き入った.
下は,シプトン峠越えのときの写真
シプトン峠から下ると,今度は比較的大きな湖が見えてきた.カロポカリ(Kalo Pokhari)だそうだ.カロ(Kalo)はカラパタールのカラ(Kala)と同じく,黒いという意味だそうで,言われれば確かに黒っぽい湖面だ.
カロポカリ湖畔には立派なマニ塚が建てられていた.湖も峠などと同様にやはり聖地なのであろう.
カロポカリ湖畔には一軒のバッティがあり,キッチンが借用でき,また調理用水が得られるということで,ここでランチをいただくことになった.大名トレッキングの批判もあろうが,ちゃんとテーブルに椅子も並べてもらった.メニューそのものは多分いつもと大差なく,チャパティにジャガイモなどではなかったか.
ランチを済ますと,また北に向かい歩きを再開した.暫くは盆地状の広々したところを進んだ.向こうから下ってくるトレッカーともすれ違った.
暫く歩き,この4つめのパス,ケケ峠(Keke La:4,170m)に至った.ここも大きなチョルテン付きマニ塚が建てられていた.空模様はかなり崩れてきて寒くなってきた.長居せず,先に進もう.
下は,ケケ峠越えのときの写真
ケケ峠からは一目散にドバテ目がけ下り始めた.天気の悪化は残念だがこればかりは仕方ない.
周囲には雪が残っている.寒い訳だ.
暫く進むとシャクナゲ林の中を行くトレイルに入った.標高が下がり,再び森林限界の範囲に戻ってきたのであろう.トレイルは底が抉られた形状で,雨季には川になるような地形だ.実際はどうなんだろう?
非常に濃い霧の中,ドバテ(Dobate/3,820m)に到着した.テントは何とか見えているが,左脇のバッティの建物は殆ど見えない.何という濃霧だ.これは夜も続き,トイレに行くのにライトの灯りでは頼りないくらいであった.
この日はサイトオーナーでもあるバッティからヤギ肉を仕入れることができたそうで,早速ヤギ肉カレーを作ってもらった.いや~美味しかった.中には可愛いヤギを思うととても食べられない,という方から分けてもらったりもした.ごちそうさまでした.