このマカルーBC編では,2014/10/25(土)朝,ラマラ(ランマレカルカ)のキャンプサイトを出発し,メラと,シェルションを経て,最終目的地マカルーBCに到着したときの風景.及びあくる日10/26(日)BC滞在二日目,さらに次の10/27(月)BC滞在三日目に撮した写真を載せました.
ラマラ(10)からマカルーBC(11)に歩く.BCは赤いマーカーで示したマカルーの南に位置しており,ここからはマカルー南面を望む手筈になっている.
2014/10/25(土)6時頃,ピーク6(Peak 6:6,739m)がきれいに焼けてラマラの朝が明けた.美しい山だ.
その右(西北)のチャムラン(Chamran:7,319m)も,些かフラットながら赤くなっていたのだが,まごまごしているうちに撮り損ねた.帰りに寄るときには必殺を心掛けねば....
ピーク6の南であったか,何でもない無名峰なのだが,横から朝日を浴びるときれいだ.
バッティ2階のテーブルで朝食を頂いた.そしてスタッフの皆さんがテントを畳み始めた.黄色と黒パーカーのポーターの皆さんは運ぶだけで,テント畳みは担当業務外なので,畳み終えるのを日向で待っている.
ポーターさんの前に,先ず鍋釜を背負いキッチンスタッフの皆さんが北に向け出発した.タルチョーの架かるマニ塚脇を通り,オーナー母屋の前を過ぎ,チャムラン目掛けて進んでいった.
キッチンスタッフに続き,ポーターの皆さんが出発した.バッティ前はきれいに片付き,私たちとシェルパの皆さんが最後に歩き始めた.
バッティ背後にはピーク3(Peak 3:6,477m),ピーク5(Peak 5:6,404m)に続く,右の大きな山塊が多分ヤウパ(Yaupa:6,422m)と思っていたが,さらにその右にも峰々がいっぱい並んでいる.無名峰なのであろうが,峰々の連なる線がやはり国を分ける境になっているのであろう.
私たちもまた最初はピーク3横,チャムラン(の東峰)を目掛けて歩き出した.この辺りはただの原っぱで,実に快適,ルンルンなトレイルだ.
暫くは氷河谷を挟んだ対岸のピーク6を横に見ながら北西に進んだ.実に気持ちのいいトレイルだ.
ラマラから歩き,チャムラン東峰(Chamran east:6,480m)にいくらか近づいてきた.ツムリンタールで眺めたあの長い稜線は,この写真で左側に斜めに落ちる線であろうか?地図で見ると,この撮影場所は稜線延長線の少しだけ東になるようなので,こんな風に見えるのでは.....
さらに進むとチャムランの右に,三角形のピラミッドピーク(Pyramid Peak:6,739m,別名Chonku Chull)と,双耳のピーク4(Peak 4:6,720m)が姿を表した.ピーク4の双耳は,当然左が南峰,右が北峰のようだ.
私たちの宿泊したラマラのバッティ関係者で,ハイティーンくらいのシェルパニお嬢さん二人が上に向かって行った.スイスイ素早く歩いて行く.後で出会うことで判ったのだが,どうやら同系列のマカルーBCのバッティにお手伝いで訪れるところのようだった.
上からピラミッドピークの麓を覗くと,断ち切られたように大きな青白い氷河終端が見える.随分高い終端,つまり深い氷河であるがロアーバルン氷河(Lower Barun Glacier)と名付けられているそうだ.
ロアーバルン氷河のエンドモレーンはさらに続くようで,下流のピーク6の麓までU字谷の上には運ばれた岩石が堆積している.よく観ると岩石の下には氷も見える.上の氷河終端で崩落した氷が,岩石と一緒に運ばれてきたのでしょうか.
ところでヒマラヤの氷河は年々後退しているところが多いと聞くが,この氷河はどうなんでしょう?落差の大きな終端を見ると,パタゴニアの氷河のようでもあり,それであれば後退は免れているも思われるが.....さて
標識があった訳ではないので,本当にこの場所がメラ(Mera)なのかどうか曖昧だ.まあ,この辺りだと思う.台地のような場所で周囲が展望できる.多分夏にはカルカとして活用されているのではなかろうか.
メラで休憩後,次のシェルションを目指し,ロアーバルン氷河の谷(アブレーションバレー)を目指し,下り始めた.
メラから下り,ロアーバルン氷河のアブレーションバレーに降りた.サイドモレーン脇の北側アブレーションバレーは結構広く,トレイルは概ねバレーの北の縁近くを通っているようだ.
アブレーションバレーには小さなブルンコーラの支流も流れている.氷河の融解水なのでミルク色である.
またサイドモレーンは最近降ったと見られる雪がまだ融けずに残っている.まだこの辺りではトレイルには無いのが幸いだ.
氷と共に運ばれたであろう石がゴロゴロしている.
ロアーバルン氷河は大きいだけあって,モレーンも長く続く.その間トレイルもそれなりに変化しながら続いていった.
ロアーバルン氷河終端がさらに近づいた.下方は手前のモレーンで遮られているがそれでも相当な落差をもって(所謂アイスフォールか?)崩落したであろう終端の断面が見える.いや~迫力だ.
アブレーションバレー脇のトレイルには健気にもリンドウの花が咲いていた.こんな遅い時期に,こんな高い所に,と思わずにいられない.このリンドウの種はネパールの他所で見かけるのと同じ,或いは仲間と考えられるが,少し色が薄いように見える.やはり狂い咲きかな~
トレイルの北側にマカルーが見えてきた.白くないし,形も特段美しい訳では....と云ったところが正直な印象だが,何分にもツアーが『マカルーBC....』と謳われ(もち論自分はそれにのって),目指しているだけに思い入れは他の山とはチト違う.と云うことでに皆それぞれ,それなりに皆感慨もひとしおであった.それと何よりも晴れて,ちゃんと望めたことは幸せだ.一度も晴れることなく下山することになったら,その寂しさは.....
モレーンから離れ暫く歩くと広々したシェルション(Shershon)に到着した.ここも夏場はカルカとして活用されるのであろう.現在ヤクの姿が見えないのはちょっと残念な気がする.
ここではリュックを下ろし,休憩した.まだ晴れているし,眺めもいいし,実に結構なことだ.
シェルションで一休みの後,再び北に向けて歩き始めた.振り返るとチャムランとそれを盛りたてるが如く周りの岩峰が青空に聳えていた.ツムリンタールで既に遺憾無くその存在感を発揮していたのだが,ここでもやはりその雰囲気は健在だ.
暫く進むに連れマカルーが麓深くまで望めるようになり,またその先の峰も遠くに望むようになった.地図を参照するとKansung TseやChago,或いはマカルーⅡといった山が記されているが,果たしてどうなんであろう?
U字谷状のトレイルを更に進んだ.このU字谷はシェルションまで歩いたときのロアーバルン氷河谷と異なり,その北を流れるバルン氷河(Barun Glacier)によって形成された谷のようだ.またバルン氷河はマカルーの南麓から流れてくる氷河だ.
さらに行くとトレイル下にバルン氷河モレーンと,そこにできた氷河湖が見えてきた.モレーンには大量に流されたきた岩石が堆積しており,ここからは決して大きくは見えないが,近くに行けばかなり大きな岩なのではなかろうか.氷河湖は小さいながら湖水は典型的なターコイズだ.
トレイルはU字谷の左岸を這うようになった.そして少し行くと僅かながら雪が舞い,それまでの雪が残っているようになった.このトラバース路は路面が草の場所もあり,甚だ滑り易くなった.雪は決して深くないのだが滑って落ちたら転げそうで怖い.慎重に進んだ.
残雪のトラバースを暫し進むと前方左下にマカルーBCキャンプサイトが見えてきた.サイトの手前には小川が流れており,それを渡るようだ.
サイトの前方上部にはマカルーが聳えている筈だが,この頃はすでに厚い雲の中で何も見えない.
1:45PMという早い時間に到着した.予めそうした見込みで,昼食もここに到着してから頂くことになっていた.BCにはかなり造りの立派な建物を含めて数軒のバッティ,いやロッジか,があった.また渡ってきた小川の元の方向に,リポックカルカで出会ったグルカ兵の所属する英陸軍ネパール部隊のキャンプ地が見えた.
私自身はばかにだるく,腰や歯などあちこち痛む.今朝ラマラで目覚めたとき喉がひどく痛かったのだが,体温を計ると平熱より2℃ほど高かった.2℃程度で普通は大したことなかろうと思ったが,実際は結構難儀でおとなしくしていよう.....
写真で見ると夕焼のマカルーは素晴らしい.濃いガスに包まれたBCで,皆一縷の望みを託し,夕暮れまで待った.実際前日のラマラ(ランマレカルカ)では夕暮れになって雲がとれて,山が見えるようになったのだ.しかしやはりこの日は残念ながら雲はそのままであった.
今回のツアーはここで最大3泊の予定になっている.何が何でも絶対にマカルーを眺める,と云う手筈なのだ.まあ,その間に何れ見ることができよう(→結果は,翌々日朝,きれいにマカルーを望むことができ,3泊目の宿泊は取止め,その日の午後ラマラに下った)
10/26(日)未明,雷か雪崩のようだ音が聞こえる.後で教わると雪崩のようだった.また朝方は僅かだが雪も降ったようだ.シェラフは結露でぐしょぐしょ,テント内側はやはり結露でLEDの光でキラキラ輝く.ペットボトルのポカリスエットはガチガチに凍っている.-3℃,568hPaを指していた.多分外は-10℃くらいにはなっていそうだ.
テント入り口のファスナーを明けて,ちらり外を覗く限り天気は悪い,少しグズグズしてようやく起き上がり,テントを出る.テントには厚く霜が付着している.寒い訳だ.
テントから出るとひたすら雲が去るのを待つ.雲はどんどん流れるので,お~っあと少しでクリアになるな,と思う場面はしばしばだ.しかし新しい雲が覆いにかかる.それでも写真のようにかなりきれいに見えるときもあり,なかなかいい.
写真下側には並んだ黄と黒パーカーのポーターさんの姿も見える.大半は首都カトマンドゥから来ており,しかも旅行会社最初に催行されたツアーなので,私たちと同じように初めて訪れた人が殆どなのであろう.きっと期待感は私たちと同じであろう.
暫く待って,概ね全容を表した.結構いいと思うが,もう少しかな~とも思う.欲望にはきりがない.ただ,この日はこれ以降雲が減ることなく,寧ろ増えていき,一日が終わったのだった.
それと麓から流れ落ちる氷河,アイスフォールと言うべきか,の巨大さに驚く.バルン氷河(Barun Glacier)と名付けられているが,この部位では流れが急峻なためか混じる岩石が少なく殆ど氷の白だ.迫力だ.
マカルーの反対側にはピーク6(Peak 6:6,739m)が見えていた.ここからはちょうど北面の壁で,逆光になる.やはり雲が取れないが,随分と長い稜線が印象的だ.写真左端(東の端)が最高部6,739mのようである.
キャンプサイト西側真横にはピーク4(Peak 4:6,720m)が聳えている.こちらも完全には雲がとれないが,間近に位置するため,一旦現れると正に迫ってくる感じだ.
ピーク4の方向にエベレストやローツェの在る方角で,皆さんは予定通りそれらのビューポイントに出かけていった.往復3~4時間の予定という.そして,無事戻ってから聞くと,エベレスト,ローツェ方面は幸い晴れてクリアに望めたそうだ.良かったですね~
私は昨夕来の熱が下がらず,この日は完全に死んで,残念ながらひたすらゴロゴロ(寒いが)に徹していた.本来別の用途として主治医の先生に処方して頂いていた薬なのだが,前夜から飲み始めていた.そして,幸い翌日には熱が下がってきた.完全に回復するにはちょうど薬の途切れる1週間後くらい要したが.
私たちが昨日通ってきた小川対岸の丘に,ユニオンジャックを掲げた英陸軍ネパール部隊が陣取っていた.リポックカルカで下るグルカ兵に出会ったが,あのパーティの人たちだ.とにかく軍隊はやはり民間人とは異なる特別の場所を使えるのだ.
キャンプサイトの近くに氷河湖であるバルン湖(Barun Pokhari)があった.エベレストビューに出掛けなかった人とちょっと覗いてみた.もち論逆さマカルーを見たかったのだが,見えたのは逆さ雲のみだった.なお上述のバルン氷河の融解水なので,湖水はミルク色である.
バルン湖脇で小鳥が地面をピョコピョコしている.外敵から逃れるためであろうか,地面の色や模様に近い保護色だ.私のカメラではなかなかピントが合わない.外敵はカラスなどであろうか.それと,こんな寒い場所で餌の虫はあまりいないであろうからきっと生活は大変であろう.
お昼近くなって,エベレスト見物を終えた皆さんがニコニコして帰って来た.そして驚いたことに熱でカウマに2日間余分に逗留したSさんが,見込みより1日早くここに到着した.そして午後単独でシェルパを伴いエベレストを眺めにビューポイントを往復した.しかし天気がイマイチだったそうで,あくる日の午前,またもや単独でビューポイントを往復したのだった.正に超人的としか言いようがない.
ダイニングテントで皆揃って昼食を頂いた.食事の後はこの日天気は回復せず,明日に期待,として過ごした.
BC滞在三日目10/27(月)朝が来た.テント内は前日と同じ-3℃,568hPaでやはり寒い.日の出少し前,テントを出ると雲がない,快晴のようだ.既に外には三脚を立てて撮影態勢に入っている人もいた.外は-13℃になっているそうで,しばれるように冷たい.
そしてマカルー主峰に陽が差し,次いで南東峰に当たってきた.まああっさりした朝焼けではあるが,全容が見えて良かった.これで今夜はここBCに留まることなく,下のラマラまで下ることになろう.
ピーク6にも朝日が当たった.ただ何分にもこちらは殆ど北面なので,僅か左端の東面のみ赤く輝いた.とは言っても,ここから雲が架からず,全体を望むのは初めてで,いいではないか.
テント場背後のピーク4にもまた雲がなく,見事な朝焼けを見せてくれた.岩肌と細かな襞に雪の肌が織りなす模様が実に美しい.見えて良かった~
6時の日の出から小一時間たった.まだ幸い雲は湧いていない.マカルーの東面は明るく,西面は影で,いいコントラストだ.
よく見えているうちに,と記念写真を撮った.みんな嬉しそうな顔をしている.
残念なことにメンバーのお一人Iさんが,体調が優れず,ヘリを呼びカトマンドゥに戻ることにしたそうだ.写真はそのヘリがBCのヘリポートに降りようとしているところだ.ちょうどマカルーも見えたことだし,この後は,来たときと同じルートを通って下るだけなので,タイミング的にはちょうど良かろう.また家では猫の手も借りたいほど仕事が溜まっているので,カトマンドゥから直ぐ成田へ飛べるフライトも手配予定だそうでもある.
BCのサイト南のヘリポートから飛び立つIさんを見送った.別れ際,私が無帽なのを見て,寒かろうと耳当ての付いたフリースキャップ,さらにゼリー状アミノバイタルを分けて下さった.ありがとうございます.どうぞお気を付けてお戻り下さい.
この季節,標高4,820mのBCには当然何の花も咲いてない.それでもこうしてドライフラーとなって,まだ地上に踏ん張っているのが見える.
前述のように,マカルーがきれいに見えたので,ここBCでの3泊目は省き,この日の午後ラマラに下ることになった.これで下りの行程はかなり緩和されることになろう.