この遍路2日目編では,2018年3月2日民宿磯屋を出発し,御荘湾沿いを北進し,内海ふれあいトンネルを越え,須ノ川公園で休憩し,鳥越隧道を越え,大場の鼻トンネルを越え,嵐坂歩道トンネルを越え,芳原川沿いを歩き,宇和島のホテルアイリンに到着するまでの写真を載せました.
民宿磯屋で3月2日朝を迎えた.目覚めて天井を見ると,部屋と部屋の間は凝ったデザインの欄間で仕切られている.欄間は通気性を保つのが主目的であろうから,折角エアコンで温めた空気は隣に逃れ,甚だ非効率であろう.それに今回も,前回も客は私一人であったが,音が漏れるどころではなく,筒抜けであろう.一般に古い民宿や旅館は欄間が多いようだが,最近建築の宿では欄間は少ないようだ.
表に出るとどうやらいい天気だ.女将さんにお礼を述べ,7:00AM民宿磯屋をお暇した.朝食がないからとバナナとみかんをお接待で持たせてもらった.ありがとうございます.
民宿磯屋から少し行くと,国道56号線に入り,少し高台になり,御荘湾がよく望めた.湾の入り口は北の外れで,磯屋辺りは湾の南端最奥部に位置している.海面は静かだが,多分大海の波の影響は比較的少ないのではなかろうか.
前回高知県を通過したときもよく見掛けた小数点付き数値,ここでは161.6の標識ははて何であろう.解を得ぬまままた出合った.
このアイコンはお遍路さん姿であるが,少し後,同じ愛南町なのに人魚とパールのタイプも見かけた.自治体合併前の名残であろうか?また次の宇和島市ではアイリスのデザインだった.
なお後に知ることになるのだが,こうしたアイコンはないエリアもあるようで,香川県では殆ど見なかったように思う.
暫く歩くと遍路道が御荘湾岸から逸れていった.山間のあまり広くない農地を行く道で,少なくともこの辺りはしっかりした歩道が設けられありがたい.
農地と山を眺める道端に腰を下ろし,女将さんに頂戴したバナナとみかん,デコポンか,を食べた.美味しい.
遍路道は再び海沿い,ただ少し高い位置,に出た.既に御荘湾北端を抜け,豊後水道に面していると思われる.
道端に高いヤシの木が数本見える.この辺りや宇和島ではヤシの植生条件に適うのか,時々茂る場面に出合った.
そして柏崎漁港辺りに差し掛かった.ちょうど自然の湾が形成されており,港に適しているのであろう.
なおこの辺りで国道56号線遍路ルートはそのまま海岸線沿いを進むコースと,陸側の四国の道コースに分岐するが,私は簡単そうな前者ルートを行くことにした(^^;
港を見下ろす辺りを過ぎると,内海ふれあいトンネル入り口になった.車道のトンネルは別にあり,写真は歩行者とサイクリスト専用,排気ガスフリーで,安心して歩ける.
入り口のパネルを見ると,1992年竣工で,幅4mに過ぎないが,長さが915mもある.歩行者専用トンネルにしては随分長い.歩いてみると内側の壁は排気ガスで黒化することなく,かなりきれいなままである.
内海ふれあいトンネル内部の壁所々にはモザイク壁画が描かれている.内海の海の様子を描いた絵などで,なかなか楽しい.
地中海沿岸などでも伝統的モザイク画を目にするが,そのモザイクタイルは自然石であるので色数は限定的で,また彩度が低い.それに比べ,この内海モザイク画は色鮮やかで見事だ.
長い内海ふれあいトンネルを越えるとまたきれいな豊後水道の脇になった.歩道も備えられ楽しく歩ける.
そのまま海岸沿い通りを進むと須ノ川公園に至った.平日のためか公園と称しても人影は殆ど見えない.樹木が茂り,売店やダイニングハウスも備えられなかなかいい公園なので,週末は賑わうであろう.
須ノ川公園売店ではお弁当やお茶も揃えており,これを買い求め横のダイニングルームで昼食として食べた.まあ普通のお弁当だがなかなか食堂とかには行き当たらない遍路には十分結構だ.
須ノ川公園で食事後北進を再開した.そして程なく海岸脇を通る.水はきれい,砂浜に岩の立つ地形で,夏は賑わいそうな海岸だ.
須ノ川海岸を過ぎると鳥越隧道入り口になった.プレートには長さ259mと記されているので短いトンネルだ.もちろん車用トンネルだが脇に少し高い歩道が備えてある.
鳥越隧道を抜けるとそれまでの愛南町から宇和島市に入ったようだ.左側には一本の桜が咲いていた.他にはまだあまり咲いていないので早咲き種であろう.
鳥越隧道先は暫く海岸沿いを通った.そして小さな湾の港になり,屋形筏が何艘か係留されていた.この日のように波がない日の釣りや魚料理パーティ,或いはその両方楽しむにぴったりな感じだ.
そして今度は大場の鼻トンネル入り口になった.長さ161mと記された短いトンネルで,出口が直ぐ先に見えている.また右側だけだが歩道を備えている.
大場の鼻トンネルから少し進むと今度は嵐坂歩道トンネルが待っていた.明確に歩道トンネルと称してるだけあって上述の内海ふれあいトンネル同様安心して抜けることができよう.なお車道トンネルは写真のように別途右側に設けられている.
トンネル入口には,宇和島市の市花であろうかアイリスのレリーフと,嵐坂:風の通り道,風と一緒に歩いていこう,との文言が記されている.ただ通り抜けたときは嵐のような強い風はなく,まあ微風程度で幸いだった.
なお幅4m,長さは371mで,2002年竣工と比較的新しく,内部もきれいだ.
内海ふれあいトンネルと同じように嵐坂歩道トンネル内部にもモザイク壁画が掲げられている.写真の一枚はボートレースであろうか?何れにしても祭りか何か,宇和島市行事の一コマではなかろうか.
嵐坂歩道トンネルを越えていくと,池と東屋があった.公園のようであるが,やはり平日のためかここで寛いでいる人はいない.近くに住戸はあまり見えないし,散歩で来る場所ではなく,来るなら車なのであろう.
季節柄,いろいろな花が咲き始めている.これはキンポウゲの仲間であろうか?
遍路道はやがて芳原川沿いに入っていった.所々に住宅のある静かな通りで,地元の人が立ててくれた半ば朽ちた標識に温かみを覚える.
なお芳原川の川底や集には丈の高い草,葦とかの仲間であろうか,が大量に茂っている.
そのうち遍路道は宿毛街道(この辺りは国道56号線と一致)に沿う専用歩道に入っていった.並木道と柵が添えられとても快適に歩ける.
やがて遍路道は津島大橋辺りを越え,比較的大きな増穂川畔を通るようになった.
そして暫く歩くと,国道56号線は少し左に曲がり,遍路道はそのまま北上した.この通りは56号線と較べて車の往来は疎らだ.
遍路道は増穂川沿いを進んだ.途中ファミリーマートが見えたので後で夕食を仕入れに来ようかと思う.
午後2時にホテルアイリンに到着してしまった.普通チェックインタイムは3時のところが多いので,入れてくれるかな~と尋ねてみると,『どうぞどうぞ』ということで入れてくれた.
しかもお遍路さんは宿泊料一割引のお接待付きです,ということでかたじけない.
2階の部屋はごく普通のシングルルームで,机と椅子があるので楽だ.
ランドリーは一旦出口を出た左手の部屋に設けてあった.遍路客は他にいない,つまり洗濯は自分以外用がないであろうから空いている筈だ.