成都で一泊し,翌朝のフライトでラサに進んだ.
成都で一泊を過ごし,翌朝早く,7:20発CA-4441便でラサに飛んだ.ラサ空港から市内へは,比較的近年完成したという橋とトンネルを越えるが,それでも1時間余りかかろうか.
途中大きな磨崖仏があった.目鼻立ちがくっきりしながらも孤高感を減じ親近感を増した顔,紺色の髪,オレンジ色の袈裟など日本の一般的な仏像とはかなり違った印象を受ける.背後の崖には粘着性の錘を付けて投じられた無数のカタ(白い布)が貼り付いていた.
下は,成都空港果実店のカボチャからラサ市街へ向かうときの眺め,ラサホテルまであれこれ.
ジョカン寺の中庭から見える配色はなかなか美しい.全体的に古く傷んだところも目立つが長い歴史を感じさせてくれるには好都合だ.中国本土や諸外国からの観光客がこの中庭でジョカン寺の案内を聞き,屋上へと登って行く.
この寺は7世紀中頃に建てられたそうで,チベット仏教徒にとって代表的な聖地の一つであるそうだ.実際寺の内外には多くの巡礼者の姿が見える.正殿には文成公主が長安から持ってきたとされる釈迦牟尼仏金像が置かれている.文成公主とネパールからの尺尊公主の像も見える.チベット仏教では仏像などは常にメンテナンスされ,表面には金箔が新しく貼られ,宝石の装飾品が加えられていく.なので,寄進の多いであろう寺では,歴史ある古い像も常に真新しく維持されているのが印象深い.
この日は生憎の雨模様であったが,ジョカン寺の前では五体投地を繰り返す信徒の数は減りはしないようであった.老若男女あまり偏りないように思われる.尤もチベット人は紫外線と乾燥した気候で,筆者と同年代でもかなりの長老に見える人も少なくないようであるが.....
下は,ジョカン寺で眺めた光景
ジョカン寺の周囲がバルコルと称される露店やショップが立ち並ぶバザールだ.お土産店が多数を占めるようで,観光客が多いのは確かだ.ただ本来ここは仏教徒が時計回りで歩く巡礼路であるので,信徒やお坊さんがコルラしている様子も多く目にする.
たくさんの宝石を身に纏い,子を背にした若い母親がコルラしていた.宝石と男の子でかなり重そうだ.服装もよそゆき風で,遠くからここに出てきたのであろうか?と想像させる.手にしたマニ車が超小型であるところが若さを演出しているのであろうか?
下は,バルコルでコルラする人々
昨年青蔵鉄道が開通し,チベットへの観光客は急増したそうである.ポタラ宮も時間制限を設け入場者をコントロールしている.また政治的意図からであろうがパスポートの提示も求められる.まあ何のかんのでこの日は開門と同時,いの一番に入場が割り当てられ,門をくぐったのであった.程なく東から日が射し,白い壁面が美しく輝き渡った.
今でこそ北京政府が実質的に支配し,観光客で溢れているが,ポタラ宮はチベット仏教と政治の中心であり,本来チベット族にとってはメッカと同様の聖地である.正装したこの家族は多分遠くの地から出かけて来たに違いない.若い父親が皆を並べて記念写真を撮る様子が印象深い.漢族であればごく普通の光景であるが,チベット族ではあまり多くは見かけないので.
下は,ポタラ宮の写真あれこれ.中央はポタラ宮の上から市内を眺めた様子で,遠くに青蔵鉄道の白い橋も見えている.
ガンデン寺とセラ寺と共にチベット仏教ゲルク派の三大寺院の1つであるそうだ.最盛期には10,000人もの修行僧がいて,歴代ダライラマの主寺であったが,人民解放軍侵攻や文化大革命で伽藍は破壊され,僧侶の多くも殺害,拘束,追放されたようである.現在僧侶の数は僅かで,巡礼地や観光地としての役割を果たす程度とされるようだ.
幾つかの建物内部には仏像や菩薩像がたくさん据えられている.写真は千手観音であったかな.....?またラマ僧の塑像も多く見られる.これらは帽子,例えばゲルク派ラマ僧であれば黄色い帽子を着用している.
寺には,当然ではあろうがたくさんの経典が壁面に納められている.これらの経典は日常的に用いられることはあまりなく,寺の宝物扱いになっている場合が多いようである.日常的には普通のコンパクトな印刷本が便利なのであろう.
下は,デプン寺の写真.門前の小さな塑像を売る露店,各種仏像,ラマ像,バターランプ,外壁の壁画など.
入り口からお堂を覗くと多数の坊さんが一堂に会することができる集会場があった.柱は装飾された布で包まれ,タンカが下がり,奥には仏像が安置されている.
セラ寺はツォンカバが開いたゲルク派三大寺の一つで,1419年,中国では明代,にツォンカパの弟子のチャムチェンチュウギシャキャイェシェという長~い名の方が建立したそうだ.百年ほど前,1900年代初頭,河口慧海師が不法入国して留学した寺としても有名だ.
午後中庭で行われる問答もよく知られている.問う側が立ち,答える側は座っている.複数人に責められるごとく矢のような問いかけが行われる場面にも遭遇する.写真の若い修行僧は真剣な面持ちで回答している.中には半ばふざけたり,じゃれあっているように見える場合もある.真剣であるがあまり重い感じがしないのがいいと思う.
下は,セラ寺の写真あれこれ.寺の前で五体投地する信徒も多く見られる.
レストランのチベッタンダンスショーで披露されたヤクの舞.獅子舞に少し似ており,荒れ狂い,客席まで押しかけるヤクは迫力があって,これをなだめるヤク使いの仕草がまた愉快だ.
標高が下がるまで酒類ご法度とお達しが出ていたが,このレストランではチャンというあまりアルコール度が高くないチベット酒が特別に振舞われた.まあ無ければ何でもいいという無節操なクチなので,美味しく頂戴した.
下は,ラサ市内やレストランの様子.左端はチベット鍋「ギャコック」.
高度順応のためこうして標高3,600mのラサで2泊を過ごしたが,今回は直ぐに高山病になってしまった.酸素飽和度は70%台で頭痛がした.早速ダイヤモックスを服用し,以降回復したので何とか事無きを得た.さて明日はヤムドク湖を経てギャンツェに向かう.