このカルダマ峠編では,7月5日ウズゲンを見物した後,ジャララバードに行き,民家を訪ね,そこでランチを頂戴し,次にジャララバード郊外の風景を眺めながら走り,やがてカルダマ峠を越えるときの写真を載せました.
カルダマ峠はマーカー10に位置している.
ウズゲンから川北の道を走り,M41に入りジャララバードに来てランチ,その後北東に折れ砂利道を走りカルダマ峠に向かう.
ウズゲンから一旦ジャララバードに向かった.少しして左手には大きな川が現れる.Googleマップでも太い水色で示されているが,川の名前は読み取れない.河川敷は水田なのか,或いは川が増水して冠水した畑なのか,何れにしても水浸しのようだ.
大河を過ぎると高台の山地になる.谷あいにはそこだけ青々したオアシス状の村が見える.さして高度は高くない筈だがなぜ一面茶色であるのか解せない.つまり前日まで通ったパミール街道沿いの山や,パミールアライ山麓の丘など概ね青かったのでに,ここはどうして茶色なのか....?
茶色の山を越えると平地になった.そして単線の鉄道レールと交差した.キルギスタンは国際列車を含めてあちこち鉄道が走っているそうだが,輸送量は多くないそうだ.私たちも走っているシーンには残念ながら遭遇しなかった.
ジャララバード(Jalal-Abad)のエリアに入ったようだ.まずジャララバードという地名だが,どこかで聞いた記憶がある.調べて見るとアフガニスタンにあって,元の綴りは違うのだが,日本語にすると同じになるようだ.
さてジャララバードになると,スーパーマーケットがあった.そして今夜の宿泊はホテルではなく,カザールマンの民家に泊めてもらう(つまり民宿)ことになっている.そしてイスラム教徒なのでビールは出して貰えない,頼むのも失礼だろう,ということでここでビールを買っておいて,そっと飲もうということになった.
スーパーには写真の通り,ジャックダニエルからスコッチ,ワイン,ウオッカ,もちろん奥には冷えたビールもあった.キルギスタンはイスラム教徒だけでなく,ドライバーAdさん(ロシア系),Acさん(タタール系)のようにクリスチャンが多いのだ.それにモズレムの人も結構飲むのだと聞いた.
スーパーマーケットは普通にクレジットカードが使えて便利だ.覚えてないがビールは安かったと思う.
ジャララバード市街の一部に入ったようだ.ジャララバードは人口7.5万人,そのうち2/3はウズベク系ということで,ウズゲンと同じ傾向だ.(なおアフガニスタンのジャララバードは40万人ほどの人口という)
私たちは市街地を抜け,住宅街に至り,そしてルクソラさんというお宅を訪ねた.ルクソラさんはウズベク人(国籍はキルギス)だそうだ.まあ,ここでは多数派ということになる.
写真は道路から大きな鉄扉を入ったところだ.大きな屋敷で母屋に,離れのキッチン,ガレージに,茶室的屋外ダイニング小屋....など備える.
この後も別の民家を訪れたり,またその周辺を見ることになるのだが,多くの家はしっかりした塀に囲まれ,扉が付いている.ドロボーが多いのであろうか....
上の写真右側の広いダイニングルーム(椅子あり)で頂いた.写真はまだお料理が全部運ばれる前か,メインはプロフ(ピラフ)だったらしい.ひよこ豆入りというのがウズベク風ということだった.
大きなお屋敷には一族のうちかなりの人達がまとまってお住まいだそうだ.両手に抱えたのはお孫さんで,楽しみですね~
白い鉄パイプで作られた小部屋は茶室的屋外ダイニング小屋だ.一見小さいが3~4人のご家族メンバーが集いお茶している.暑い時は風通しがいいし,気分的にも爽やかなのであろう.
その背後に見えるのは大きなキッチンで,調理の熱が回らないように別棟になっているようだ.2つの薪かまどなど備えている.
さてお昼ごはんをいっぱい頂き,ジャララバードの街を離れた.暫くして羊の牧場を通過した.ここは黒い毛の羊が多い.織物やカーペットで,染色ではなく天然の色付き羊毛は価値があると聞いたことがあるが,ここの羊はそれに該当しよう.
色あいなどからすると麦畑であろうか.でもまだ7月だが,この黄金色は収穫期のように映る.さてやはり麦でいいのか?
さてこの辺りからだったか,道路の舗装はなくなり,ラフロードになった.まあそれだけ通行量は疎らになっていい面もあるに違いない.実際対向車と合う機会は少なくなってきた.
小規模なモスクが見えた.ミナレットも備えていないし,付近の住民の礼拝の場であろう.宗教的にはもちろん全く関連ないのだが,日本の村の鎮守様的一面があるのかも....と脳裏をよぎることも.
未舗装街道脇にはところどころポプラが見える.すーっと伸びた両側に茂る枝が気持ちいい.
前に述べたがキルギスタンの主な食用油は綿花油とひまわり油だそうだ.綿花から油が採れることは知らなかったのだが,実はひまわり油についてもよくは知らなかった.何となく小鳥の餌になるし,中国辺りでは種を噛んでいる人を見るし....程度だ.確かにスペイン辺りで一面のひまわり畑があるのを思えば,そんなに小鳥がたくさんいる筈ないし....ですな.
街道脇の農家庭に干し草が積み上げてあった.単に刈り取った牧草を積み上げたものか,或いは酵母を加えて発酵中なのか判らない.冬に備えて,刈り取り可能なタイミングですかさず収穫し,積み上げるのであろう.
緩やかな斜面には今生育中の牧草地,既に刈り取られ,地面の見える畑,いろいろな形でパッチワークのように展開されている.不思議なことにこれ以前も,この後もこのようにきれいな畑を見ることはなかった.作物は小麦や大麦,また牧草もあろうか...?気候風土がそれらの栽培に適しているのでしょうか....
ところで牧草はアルファルファ(Alfalfa)と呼ばれる中央アジア原産マメ科の多年草が圧倒的に多く栽培されているそうだ.家畜にとって非常に栄養価の高い牧草で,これで飼育された家畜は著しく生育が速いという.私はアクリル系瞬間接着剤と間違えそうだが,世界中の酪農家にはよく知られているそうだ.
このの紫花はとても多い.添乗Toさんの資料を見せてもらい,ムラサキ科シャゼンムラサキ属シベナガムラサキというそうだ.
カルダマ峠(Kaldama Pass:3,062m)目指し未舗装路を徐々に高度を上げていく.対向車も追い抜いていく車も少ないのが幸いだ.
道路には馬が遊んでいる.結構高いところまで酪農の家族が暮らしているようだ.
山の斜面では牛もいる.牛は確かに3,000m少しくらいまでは平気な筈だ.それを越えるとそろそろヤクの世界になろうが.
シオガマということにしておこう.
高度が上がってきたため樹木の丈は低くなってきたようだ.
斜面上から川となって谷に落ちていく.砂地のようで,崩れ易い地形に見える.
先行Adさんの一号車が進む.私たちのAcさん二号車が追う.先は少しガスが垂れてきている.
ガスは低くなり,カルダマ峠では全く見えなくなりそうだ.そこで手前のここで休憩し,下を眺めることになった.
この辺り既に森林限界を越え,木立はないが,草は青々と茂っている.標高が上がり,陽は完全に遮られているので寒い.
Adさん,Acさんは殆ど前が見えない中で慎重に車を進め,カルダマ峠(Kaldama Pass:3,062m)に到達した.標識の類がないが,峠は緩やかな凸状で幅がある.ただ何分にも濃い霧の中で,全く見えない.ということでそのまま峠を越えて,下山ルートに入っていった.
下山路を少し下ると,雲の下側がクリアに見えてきた.きれいな緑の山には雪渓が残っている.緑と白のコントラストが鮮やかだ.
カルダマ峠からさらに下ると周囲すべて明るく見えるようになった.そして小山群の向こうは目指すカザールマンのある平原であろう.