このモルド峠編では,7月6日朝カザールマンの民宿を発ちナリン川を越え,花の丘を散歩し,ジャララバード州とナリン週の州境峠を過ぎ,河原でランチの後モルド峠越えしたときの写真を載せました.
カザールマンはマーカー11,モルド峠は12に位置している.
実際通ったルートは下の図の通りである.
この日は上のマップの道路とは違ったルートを走ったので,7月6日のGPSトラックを赤線で示した.
カザールマンの村から暫く走り,緑の平原に出た.テーブルマウンテン状大地の前に草地が広がり,ポプラもまた美しい.
随分大きな橋になり,車を降り,私たち以外殆ど通らないので真ん中を歩いてみた.
大きな橋はもちろん大きな川を渡るためで,ナリン川(Naryn River)と呼ばれ,天山山脈に源を発し,ウズベキスタンまで流れて行くそうだ.
ナリン川は天山山脈の氷河エンドモレーンの土砂を混ぜて運ぶため,こうした土砂混じりの濁流になるということだ.濁流ではあるが途中の草原を潤しながらウズベクまで続くのであろう.
対岸に渡り,やはり砂利の道を東進する.路上では馬が数頭頭を寄せあいじゃれている.陽射しが強いので,陰に入ろうとしているのか.食べる草は有り余るほど生えているように見える.
一般に家畜は花は食べないようで,とにかく全面的に花が茂っている.これほど隙間なく咲いているのはこれまでお目にかかったことがない.
ただ花の種類は割りとありきたりのものが多数であるようだ.
花の丘から暫く行くと,谷あいの平地に村が見えた.かなりの戸数があるようだが,周囲の全山用いて放牧するので,各戸の面積は相当広いのであろう.
大分走ってまた谷あい平原の村があった.平屋建てトタン屋根が多い.そしてす~っと伸びたポプラがアクセントになっている.
山肌に木はなくなり,草も少なくなってきた.標高が高くなってきたのだ.ただ谷あいを見ると緑で,ここでは引き続き放牧が行われているであろう.
視界の奥行き方向には山脈が次から次へと折り重なって現れている.なかなか見事な光景だ.
ところで山の斜面をトラバースする多数の横線は何だろう.家畜の道かな....
別に標識があるわけでないので確実ではないのだが,どうもこの辺りが2,800mの峠らしい.峠は州境にあるそうだが....どうも曖昧だ.
周囲は植物を寄せ付けない岩山が主となる.
峠を越えるとジグザグの下り路が見える.結構急な下りですな~
視界奥行き方向に重なる山脈の奥の方には雪を抱く山も見える.アラトー(天山)若しくはその支脈であろうか.
緑の山肌を削り取って拓いたジグザク下山路は決して美しいものではないが,こうして現にその恩恵を受けている最中でもあり文句はもちろん言えない.そしてそれはまだまだ続いているのがよく見える.
ところでこのページ冒頭に記したが,Googleマップにはまだ載っていない道のようで,多分できて間もないのかも知れない.
ジグザグ路を大分下り,路肩にはまた花が咲き乱れるようになった.また視界の先には大きなナリン川の流れを再び目にするようになってきた.
さらに下ると珍しい色あいの山が見える.山の色あいは薄いが一応奥から黄,赤,緑と,江戸時代から残された信号機(仮に在ればだが)のような感じだ.
も少し下り,淡い黄,赤,緑三山が間近になった.風景そのものがパステル画のようで,味わい深い.
バスは平地に下りた.大きなナリン川は河川敷まで水を満たし,大きくうねって流れている.
平地に出てバスはそれまでの専ら東向きから,一気に北に舵を切った.そして進むと教科書のように明快な褶曲の山があった.堆積当時水平であった地層が,地殻変動で波状に曲ったようだ.
今はカチンカチンに硬く,曲げればバキバキ折れそうだが,地殻変動時はまだ柔らかだったのでしょうか.
褶曲の山から進むときれいな渓流が流れ,畔には草地があった.ピクニックに好適だ.
川は目指すモルド峠のある山から流れ来て,この少し下流でナリン川に注ぐようだ.
草地は公園なのであろうか,リンゴか何か,区別が付かないが,多分果樹が植えられている.思い思いの場所に陣取って座る.お花見などで,こうした陣取りが得意な民族の筈だが,だだっ広いここではそのワザも発揮しようがない.
これがAk-Sai Travelブランドのお弁当.やはりお花見弁当とは違いますな~でもピーナッツなどあるから,必ずしも違うとまでは言えないか?なお,ピーナッツは千葉や秦野の名産品と比べてかなり小粒なタイプだ.
なお毎日Ak-Sai Travelブランド500ml入りH2Oを2本支給してくれる.余り気味になるが.
渓流釣りをしている人が何人か見かけた.たまに釣り上げるが大きくはない.渓流なのでまあそんなサイズが普通なのでしょう.
木陰もあり,水も豊かなのでいろいろ見えた.
ランチの後北上を再開した.まだ平地は続き,近所に村があるのか墓地が見える.毎度のことだが墓地には立派な墓が建てられている.それに何度も言ったが墓地の数がバカに多い.
平原は終わり,いよいよモルド峠のある山に向かう.これまでと変わらず砂利道だが,そう悪くはない.ただ砂ホコリが舞い上がるので,このAcさんの2号車は前の1号車からこのように離れて走ってくれると嬉しい.
この辺り一帯は道路脇に見える緑の三角形,樅の木の名産地で,また政府はその銘木の保護に力を入れているそうだ.
ところでキルギス語で樅の木をAra-too:アラトーと呼ぶのだそうだが,ちょっと待って下さい,アラトーって天山のことじゃないですか?と訊くと,確かに天山山脈もそのように呼び,同じだそうだ.何でもアラトー山脈で育つ樹木であることからそうした名で呼ばれる.....らしい.でもややこしい.
大分上った.通ってきた道横の山肌には見事な樅の木が茂っている.
真っ直ぐ,しかも大きく育つのが銘木たる所以の一つであろう.
モルド峠手前は急激ないろは坂になっている.ドライバーAcさんは一時も気が抜けない.写真は既に大分上まで上った地点だ.
いろは坂の難所は殆ど上り,花咲き,幅在る停車スペースがあった.ここでAcさん,Adさんの休憩,私たちの手洗いで停車した.上ってきた坂はやはりすごい迫力だ.
谷の対岸山々の右半分斜面は樅の木,一方の左斜面はあまり木がなく草原になっている.不思議なものだが,陽当りなど,きっと生育条件の差に因るものだろう.やはり樅の木アラトーはデリケートな木なのですね.
こんな花が咲いていた.リンドウかな...判らない.
バスはモルド峠(Moldo pass:3660m)に到着した.意外にものっぺりした峠だ.
峠には馬を連れた女性がいた.も少し低い場所にユルトを構えているのだが,ケータイの電波が途切れがちで,この高い場所なら良く届くからという.なるほど,いろいろご苦労ありますね.
モルド峠で北を望むと,南天山(テルスケイアラトーTerskei Alatoo)山脈と,その下に薄っすらとソンクル湖が見える.なかなか雄大な景色だ.
私たちが逍遥している脇を,北から上ってきたチャリで颯爽と駆けていった.いや~やりますね.この後例のいろは坂もありますし,気を付けて行って下さい.
近くの山を見ると大量の羊が斜面を降りていく.馬を見る頻度に比べて,羊が少ないと思っていたが,これからは多くなるかな.
さて次はソンクル湖だ.