遍路9日目(2017年11月8日)Pilgrimage day 9

この遍路9日目編では,2017年11月8日温泉民宿はるる亭を出発し,これまで過ごしてきた徳島県を去り,高知県に入り,甲浦(かんのうら)辺り,東陽町辺りを経て,やがてひたすら海岸線沿いの道を延々と南下し,佐喜浜辺りを通り,民宿ロッジおざきに到着するまでの写真を載せました.

遍路9日目周辺マップと札所


 

温泉民宿はるる亭を出発

温泉民宿はるる亭の朝食

温泉民宿はるる亭の朝食

温泉民宿はるる亭で11月8日朝を迎えた.食堂に降り朝食を頂戴する.温泉なので温泉卵が付いている.普通に美味しかった.

さて外を見ると,天気予報のように,小雨ながら既に降り始めているようだ.で,カッパを着て出発することにした.


国道55号線南下を開始

国道55号線南下を開始

今日の遍路道もまた国道55号線が大半を占める.小雨の中早速これを南下開始した.

そして宍喰川に差し掛かり,これを横切る.宍喰とはまたイノシシとか鹿のジビエ料理を連想させ,直截的というか何というか面白い名前だ.

室戸まで47kmの室戸は,室戸市は広いので室戸岬であろう,きっと.


宍喰川は殆ど河口

宍喰川は殆ど河口

この橋の架かる辺りは殆ど河口で,太平洋の湾であるとも言えそうだ.汽水域であろうが海水に近く,その色はとてもきれいだ.直ぐにも漁に出ることができそうな小型漁船が多数停泊している.


水床トンネルになる

水床トンネルになる

橋を渡った先にこの日最初のトンネル,水床トンネルが見えてきた.徳島県宍喰町と高知県東洋町の境目になるようだ.

ところで水床とはまた面白い名だ.言葉だけ見ると,海底トンネルを連想しそうだ.現物は普通の地上にあるトンネルで,長さ638m,片側にガード付き歩道があるのがうれしい.


高知県に入る

トンネルを抜けると高知県だった

トンネルを抜けると高知県だった

さてトンネルを抜けると高知県だった.清水トンネルのように抜けたら,あっと驚くような変化はもちろん認められない.いやむしろ全く同じように小雨降り,生えている木々など同じようである.

でも『ようこそ高知県へ』と迎えてもらえるのは大変うれしいことだ.


遍路カニが歩く

遍路カニが歩く

遍路道を歩いているとカニの歩くのに出合う.遍路7日目,田井の浜近くで『カニに注意』の警告板を見て驚いたものだが,ここで実際生きたカニが歩くのを見て一層驚いてしまった.

些細に見てみると,カニは右足2本と,ハサミを失い,小さなハサミが新しく出てきたようだ.そしてその小さなハサミで金剛杖の如く枯れ草を掴んで,遍路道を必死に歩んでいる.健気だ,しかし轢かれるといけないので藪に戻った方が安全だよ,ガンバレ!


甲浦(かんのうら)辺り

甲浦(かんのうら)駅前

甲浦駅前

遍路道は甲浦(かんのうら)駅前に至った.甲浦駅は阿佐海岸鉄道阿佐東線の駅だそうだ.同路線はここ甲浦駅と前日通過した徳島県海部駅(JR牟岐線の終点でもある)を結び,この2駅の距離は8.5km,間に今朝通ってきた宍喰駅があるそうだ.超コンパクトな路線だ.運行する列車が見られなかったのはちと残念だ.


甲浦の行楽地

甲浦の行楽地

駅の先には広い駐車場やレジャー施設,海岸を備えたところがあった.夏になると行楽客でいっぱいになりそうだ.


海面から岩々が突き出る海岸

海面から岩々が突き出る海岸

小石の海岸に緑が迫り,海面には岩が突き出るなかなかいい眺めだ.雲で海と空の境界がクリアでないのが惜しい.


2つ目の甲浦坂(かんのうらざか)トンネルになる

2つ目の甲浦坂トンネルになる

そのうち2つ目の甲浦坂(かんのうらざか)トンネルに至った.150mと短い.右側に一応歩道があるが,幅が狭く,段差やガードレールはない.


サーフィンの浜

サーフィンの浜

甲浦坂トンネルを抜けたところの海岸になった.黒いウエットスーツのサーファーが十人余り波に乗っている.この日は凪なのか波は低く,必ずしもサーフィン日和ではないようだ.


3つ目の相馬トンネルになる

3つ目の相馬トンネルになる

サーフィンビーチを過ぎると,この日3つ目の相馬トンネルになった.長さ288mでガードレール付き歩道があり,いいトンネルだ.それにこんな雨の日はトンネルもいいものだ,と改めて認識する.


東陽町辺り

東陽町の一部

東陽町の一部

上述の甲浦も行政的には東陽町なのであろうが,まあそれはそれとして,改めて東陽町(の一部)を写してみた.

住宅が並び,55号線の反対側には畑がある.

ここから室戸(岬)まで38kmと出ているので,まだまだ先のようだ.


東陽町の海岸

東陽町の海岸

畑のないところは直ぐに海岸になっている.岩のないところは海水浴に良さそうだ.


ひたすら海岸線

遍路小屋で休憩

遍路小屋で休憩

東陽町から先を行くと,屋根付きの遍路小屋があった.ここで一休みした.雨の日の小屋は特にありがたい.

そして少しすると,3人の歩き遍路さんが現れた.グループの歩き遍路は珍しい.カッパを着ていると暑いので休憩中だけでも脱いで温度調節するという.


謎の標識

謎の標識

クジラの絵にくじらの里室戸と添えている.室戸市のPRだ.その下の109.3という数値,これは場所によって変わるのだ.xx.xと2桁の場合もある.

そこで出会った地元の方2,3人に,この数値が何であるか訊いてみたのだが,だれもがはて何でしょうね?と知ってはいなかった.交番があったので,おまわりさんに尋ねようとしたが,おまわりさんは皆出払って,交番はどこも空っぽであった.残念.

なお室戸市以外の町では当然別の図柄で,別の文言ながら,xxx.xの数値が記されている.どなたか教えて下さい.


果てしなく続く海岸

果てしなく続く海岸

海岸は果てしなく続き,それに沿う国道55号線遍路道もまた尽きない.雲と地平線の境界がはっきりとは見えないのは朝から変わりない.ただ午後2時頃から雨は上がったようで,ぐっと楽に歩ける.

果てしなく続く海岸沿線55号線には10kmの間コンビニ等一切ないので,昼食用サンドイッチなりおにぎりなりを,予め用意しておくのが無難だ.私は確か温泉民宿はるる亭を出て間もないところにあったコンビニで買っておいた気がする.


久しぶりに国道55号線を離れる

久しぶりに国道55号線を離れる

赤い矢印の遍路道シールが,左へとの案内を出していた.久しぶりに国道55号線を離れることになる.


佐喜浜辺り

佐喜浜町に入る

佐喜浜町に入る

矢印の通り左に折れ,歩くと佐喜浜中学校の名を掲げた校舎があった.室戸市佐喜浜町に入ったようである.

校舎前の畑はきれいに作物が育てられているが,かなり多くは休耕地で,野草ぼうぼうのようである.やはり後継者がいないなどの悩みがあるのであろう.


佐喜浜コスモス希望の会のコスモス畑

佐喜浜コスモス希望の会のコスモス畑

左手に広~いコスモスの絨毯が現れた.とてもきれいだ.縁には佐喜浜コスモス希望の会とののぼりが立っている.想像するに上のような休耕地を何とか活用し,町を盛り上げよう,とか狙いであろうか.


室戸まで17kmの標識

室戸まで17kmの標識

室戸まで17kmの標識が見えた.大分近づいた.明日予定の第24番 最御崎寺はそこから遠くない筈だ.


カラスよけ缶から

カラスよけ缶から

カラスよけの缶からが下げられている.あまりにも盛大でびっくりした.で,効果のほどはどうなんだろう?製作者に訊いたら怒られそうだが....


しばらくして第24番まで17kmの案内

しばらくして第24番まで17kmの案内

室戸まで17km標識からしばらくして第24番まで17kmの案内があった.室戸岬から最御崎寺まで多少距離があるということだ.ここからだと4~5時間の距離ということになろう.

金剛杖が鬼のこん棒のように太い遍路アイコンは手作り感いっぱいで,とても温かみを覚える.ありがとうございます.


岩ゴロゴロの佐喜浜海岸

岩ゴロゴロの佐喜浜海岸

佐喜浜海岸(浜なので海岸は不要か?)は岩がゴロゴロしている.普通の海水浴には不向きだが,シュノーケリングなどでは魚の泳ぐ様子が楽しめそうだ.


民宿ロッジおざき着

民宿ロッジおざきに近づく

民宿ロッジおざきに近づく

海岸縁を歩いているうちに,浜辺まで迫る小山やや,さらに先には岩峰が見えてきた.民宿ロッジおざきは間もなくであろう.


民宿ロッジおざきに到着

民宿ロッジおざきに到着

そして民宿ロッジおざきに到着した.おざきはこの辺りの地名尾崎に因むようだ.玄関で靴とカッパを脱ぎ,靴には乾燥用古新聞を入れた.ゴアブーティだが,穴でも空いたのか靴下が少し濡れていた.カッパは午後2時以降雨が無かったので,濡れはない.

玄関前のダイニングホールに上げてもらい,最初大将の,そして少し後に女将さんの案内があった.お風呂の場所や時間,夕食時間....等々だ.そして洗濯物はここに置けば仕上げておきますから,ということで....ちょっと恥ずかしいので戸惑ったが,お願いすることにした.


民宿ロッジおざきの客室

民宿ロッジおざきの客室

2階の客室に案内された.建物は若干古いし,お風呂場は地下で,設備一般がやや旧式だが,なぜかほっとできる.特に女将さんの人柄によるものであろうがとても温かみが感じられる宿だ.


民宿ロッジおざきの金目鯛夕食

金目鯛の夕食

夕食になった.な,何とキンメダイの刺身に煮付け,それに茶碗蒸しや煮物などだ.最高だ!キンメダイは伊豆のある地方と同じように,この辺り特産のようだ.

さて明日は雨の心配がなさそうだし,ようやく3日振りの札所が待っている.お休みなさい.



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