この遍路15日目編では,2017年11月14日民宿高知屋で朝食を頂き,乗り合いタクシーで前日既に打った第34番 種間寺に戻り,歩き始め,第35番 清滝寺に歩き参拝,次に塚地峠を越え,宇佐湾沿いを歩き,第36番 青瀧寺に来て参拝.次に一旦宇佐湾沿いを打ち戻り,民宿なずなに到着したときの写真を載せました.
さて遍路も15日目,11月14日朝になった.宿泊の民宿高知屋で,ダイニングルームに行き,足柄のTさんと一緒に朝食を頂く.高知屋さんでは既に女将さんへの代替わりが完了し,営業のようだが,僅かダイニングルームでは大奥さんが座り,おひつから私たちの茶碗にご飯を装ってくれていた.ごちそうさまでした.
第33番 雪蹊寺を真ん前に,カッパを着てTさんと乗り合いタクシーを待った.今のところ雨は弱いが果たしてこの程度で済んでくれるかな...
そして定時間になると乗り合いタクシーが来てくれて,乗り込む.
乗り合いタクシーは順調に進み,第34番 種間寺に到着した.Tさんは参拝のため第34番 種間寺に進み,私は次の第35番 清滝寺を目指し,遍路を再開した.
歩き再開直後,また危うく道を間違えそうになった.歩き遍路道とは別方向の車両用案内に従いそうになったのだ.まあ珍しい間違いだが.
第34番 種間寺から第35番 清滝寺に向け,しばらく国道56号線を西に進むと,やがて大きな仁淀川(によどがわ)の辺りとなり,その橋を渡った.なお仁淀川は,四万十川,吉野川と並ぶ四国三大河川の一つということだ.
橋の真ん中が市の境界のようで,土佐市との標識が出ている.高知市と土佐市とでは,土佐市の歴史に分があるのかな~などと根拠なく思いながら渡る.
第35番 清滝寺に向け,田んぼと畑の中を継続的に進む.刈り取り後の黄色い田んぼに中に緑の畑があって,やけに目立つ.何の野菜でしょうか?逆に田んぼがお休みなのは勿体ないような気にもなってくる.
いろいろな場所を歩き,ようやく第35番 清滝寺参道に入ってきた.やはり小高く位置するのか,坂道の上りになった.ただ道は舗装され,雨のこの日でも問題ない.
そのうち緩やかな階段となり,先に山門が見えてきた.山門は一層で斜め格子の中に仁王像が納められている様子だ.
山門を一礼して抜けると,そこの踊り場にお地蔵さんが並び,また階段があり,しばらく上ると今度は先方にかなり大きい建物が見えてきた.どうやら本堂のようだ.
階段を上りきり清滝寺境内となった.正面(右側)の本堂の左手に大師堂が配され,何よりもその間の大きな像が目立つ.厄除薬師如来像だそうである.本山は醫王山で,その御本尊が薬師如来というので納得だ.
そして並び順に経を唱え,納経所に廻る.
納経所は,本堂手前から右に入った大きな建物の一画にあった.他機能のための建物のほんの一部が納経所に当てられているようだ.
それなりに高い標高に上ったのであろうか,納経所辺りから近所の町や畑を見下ろすことができる.山あいに雲の架かる様子を見ると,まだ雨は上がらないであろうか.
第35番 清滝寺を離れ,土佐市市街地南端辺りになった.第35番 清滝寺,第36番 青瀧寺,それに塚地休憩所までの案内が出ている.塚地まで2.5km,20分と出ているが,これは相当速い人のペースだ.私だとその2倍の時間がかかりそうだ.
ところで(35)清滝寺と(36)青瀧寺の文字はかなり似ており,ちょっと見では間違えそうだ.
県道39号線を南下していると,右側に塚地休憩所の東屋が見えてきた.水車や自販機も並んでいる.
塚地休憩所の東屋に到着した.屋根があり,最近稀になったくずかごも備えている.
ここのベンチではカッパを脱ぎ,横になり,お休み中のお遍路さんがいた.確かに雨は防げているが,寒くないでしょうか....相当ベテランの方だとは思いますが.
東屋周辺は公園になっている.いや公園が先で,東屋はその付属物か.あいにくの雨で上お遍路さん以外誰も見ないが,晴れていれば散歩に良さそうだ.
そして一画には,へんろ道塚地起点 標高45.0m,塚地峠まで840m,高低差140.0m,との道標が出ている.塚地峠の標高が示されていないが45.0+140.0で,185.0mのようだ.
県道39号線をそのまま行けば,早いし,問題ないと思うが,雨も小降りだし,ここはちょっと山道を行ってみよう.
塚地峠遍路道に入り歩いた.傾斜は緩やかで,また路面も悪くない.ここはあと200mとあるから既に3/4歩いたことになろう.
塚地峠標高185.0mの標識があった.でもこの地形,ボヤ~っとしていて,あまり典型的峠の様相は呈してはおらず,ちょっとがっかり.
そしてそのまま反対側下山路を下る.
塚地峠から殆ど下った辺りで傘の男性とすれ違った.ちょっと道幅が細いところで,お先にどうぞ,私は地元民で慣れてますから,と道を譲ってくれた.ありがとうございます.こんな雨に日に散歩かな~
そのうち遍路道は宇佐湾に出た.雨で海を含め色がイマイチなのが惜しい.
宇佐湾沿いを歩いていると,USAくろしおセンターなる看板があった.一瞬米国の姉妹都市,多分西海岸の,交流関連施設.....などと,勝手な想像が浮かぶ.だが一瞬にして『宇佐』の二文字がバックグラウンド動作中の脳内漢字変換で現れ,想像は飛び散った.看板は多分そうした引き寄せ効果も見込んだ秀作で,考えた宇佐市役所の人はエライ.
次は明徳義塾の看板が見えた.相撲や野球などスポーツが強い高校だ.何よりも元横綱朝青龍関の出身校であることはよく知られている.また同氏のように外国人留学生を多く受け入れているそうである.なお琴奨菊関は福岡出身だが,ここに学んだということだ.
やがて宇佐湾沿い遍路道は宇佐大橋に至り,これを渡る.橋には歩道が設けられ安心して歩ける.
宇佐大橋を渡り,少し行くと大通りから右に逸れて,住宅街を抜け,第36番 青瀧寺参道に入っていった.参道脇には素朴なお地蔵さんが数体づつ,結構密な間隔で並べられている.石のお地蔵さんは風化の進んだ古いのが多そうだ.
なお前述の朝青龍関のしこ名はこの青瀧寺がベースだそうだ.
そして参道の階段を上り,独鈷山の山名を掲げた山門に着いた.木格子とネットで守られた両側部屋の仁王さまは暗くてよく見えない.
シンプルな一層門はなかなかいいのだが,千社札(せんじゃふだ)がベタベタ貼られているのはいささか見苦しい.
脇に『青瀧寺参拝の杖』が置かれており,親切だが急坂が待っている予感がさせられる.実際山門先階段は急なようだ.
仁王門先階段を上り,左脇を見ると朱塗りの三重塔があった.三重ではあるがなかなか立派なお堂だ.宝物殿の一種なのでしょうか?
この辺りで昨夜から今朝の乗り合いタクシーで種間寺までご一緒した足柄のTさんと再会した.Tさんは種間寺参拝後,バスを乗り継いでここに至ったそうだ.そして,歩きなのにずいぶん速いですね~と言われる.バスでも大きな差がなかったのは,運行本数が疎らで,待ち時間が長かったためであろう.タイミングが合えば速い筈だ.
また,ここを参拝後は近くの宿を予約済で,30分位の歩きになるそうだ.どうぞお気をつけて.
そのうち手水場があり,手に水を注ぐ.口はその真似でもいいとされているので,口の先まで柄杓を運ぶに留める.
そしてまだ続く長い本堂への階段を上った.山門に用意されていた杖の意味がよく判る.私は最初からモンベル杖があるので勿論突いて上る.
階段を上り切ると正面に第36番 青瀧寺本堂があった.ここもチベット仏教と同じ五色のタルチョーというか,垂れ幕が掛かっていた.弘法大師の開基で,波切不動明王がご本尊ということだ.
そして先ずはここをお参りする.
続いて写真左側の大師堂に移り,ここでもまた同じ所作を繰り返す.ただ一部忘れたり省いたりすることもあって,あまり真面目とは言えない.
参道にもたくさんのお地蔵さんが並んでいたが,境内にも水子供養堂があり,たくさんのお地蔵さん石像が並んでいる.安らかに眠らんことを祈る.
第36番 青瀧寺を参拝すると,同じ道を辿り,宇佐大橋を渡り,その入口まで戻った.
雨が上がり,青空も見えてきた.うれしい.こりゃ明日は良さそうだな.
宇佐大橋を戻ったところで,民宿なずなへ向け浦ノ内湾北側の道に入った.道そのものはUSAくろしおセンターが脇にあった県道23号線で,その続きだ.
浦ノ内湾は宇佐湾のさらに内側に入っているせいか,とても静かだ.そして所々に港が置かれ,小型漁船が繋がれている.漁船が頻繁に出入りする光景も眺めてみたいものだが,滅多にそうしたシーンには出合わない.そりゃそうだ,こちらは遊び,船は仕事用だもの.
浦ノ内湾北側をしばらく歩き,民宿なずな(写真後ろ濃紺の建物)に到着した.
なお手前は息子さん経営の『釣り筏高橋』という.
民宿なずなに到着すると,女将さんに玄関で出迎えてもらった.玄関ホールはダイニングルームを兼ね,また洗面所やバスルームやランドリールームに接続している.ここでカッパを脱ぐと,女将さんはハンガーに掛け,傘を広げ,また靴乾燥の古新聞を用意してくれた.とても親切だ.
そして部屋に案内してもらい,着替えてランドリールームに行き,洗濯機のスタートボタンを押し,お風呂に行く.客は私一人で,順番や時間を何ら気にすること無くゆっくりできる.
風呂から出ると,今日も痛かった右肩にテープを貼ってみた.効くかどうか判らないのだが....
夕食時間になり,テーブルに着く.既にごちそうが並べられていた.凄い!圧倒的だ.天ぷらに,カンパチ,鯛,イカ,カツオの刺し身,イカの塩辛,貝と魚の煮付け,イワシのつみれ....等々大層なごちそうだ.スーパードライともよく合うし....ということで,食べすぎてしまった.ごちそうさまでした.
因みに食材は全て息子さん経営の釣り筏の漁で得た魚類と,女将さんが畑で育てた野菜だそうだ.例えばカツオ横は採れ始めた新生姜だという.また釣り筏漁で獲った魚を市場に出すことはなく,自宅や宿のお客さん用に消費するそうだ.
なおここ浦ノ内湾海岸ではいろいろ漁獲できるが,ちょうど今ころから天然の岩牡蠣も獲れるそうだ.養殖ものの2倍位の価格だが,この時期はまだ水温が高く,美味しくないそうだ.やはり厳寒の頃がいいそうだ.
こうして食事が済み,明日歩いて到達予定の土佐久礼駅周辺のお薦め宿を伺ってみた.2軒の旅館を教えてもらう.ただどちらも完璧ではなく,欠点を持ち合わせているという.ということで,部屋に戻り第一優先の旅館に電話してみるが,呼び出し音が続くも誰も出てくれない.まあいいか,2軒あることだし,少し先には更に民宿もあるようだから....と,現地に着いてから確保することにした.ところが甘かった,これが大誤算で,翌日は大いに苦労することになるのだ.