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この遍路18日目編では，2017年11月17日朝民宿弘田を出発し，伊与木川沿いを歩き，熊井トンネルを通過し，土佐佐賀辺りを経て，中村街道を歩き，土佐西南大規模公園に来て，ネストウエストガーデン土佐に到着するときの写真を載せました．
11月17日朝になった．晴れている．民宿弘田で朝食を頂くと，お暇し，中村街道に出ようと歩き始めた．しかし街道に出る前に，同方向に行く農道があり，そちらが歩くにはなんぼか遍路道的，魅力的に見える．と云うことで誘われてそちらに逸れる．
果たして当初感じた通り，なかなか歩くに素晴らしい道だった．しかし直ぐ街道に戻る道があると見込んでいた道は現れず，街道から遠のくばかりだった．と云うことで，元の弘田さん近くまで戻り，中村街道に入った．上のgoogle mapで拡大するとそのトラックがよく見えて，読みの甘さが脳裏に蘇る．
中村街道を少しばかり行くと，写真の案内板があった．道路工事建設会社の案内かも知れないが，この辺りから右（西）に入り，伊与木川沿いを行くのは元より標準的遍路道でもあり，甚だ親切な案内だ．
と云うことでここから右に折れる．
中村街道沿いも十分田園であるが，右に入るとぐっと交通量は減り，静かになる．田園の脇に狛犬にしめ縄の架かる鳥居の八幡神社辺りに来ると，典型的日本伝統の風景のように思えて素晴らしい．
少し行くと遍路道脇に伊与木川が流れる場面となる．水清く，しかも静かな水面は周りの木立と空を映し出している．元より歩く人はなく，これぞ遍路の味わいかと思ったりする．
このお達しによれば当伊予川にはアユやうなぎが放流され，佐賀住民以外の人は捕るのを控えるようにとのお触れだ．地元自治体が頑張って放流事業として実施しているのであろうから，まあ当然でしょう．
多分アユはこんなにきれいな川だから全然問題なく育つのでは．．．．近年多摩川でさえたくさん遡上しますので．うなぎはどうなんでしょう？育てば個人的にはアユより魅力的だが．．．．
伊与木川沿いの遍路道は続き，川は依然として澄み，透明度が高い．底が見えて美しいです．
そしてふじはら橋の袂に至った．橋の標識に『かわうそ』とその挿絵が記されているのが興味深い．ニホンカワウソは絶滅したと伝えられているし．．．．もしかしたらニホンカワウソが最後に観察されたのが伊与木川だったということでしょうか．．．．
伊与木川折れ道の工事現場立て看板にあった通り，伊与木川沿い遍路道区間が終わると伊与喜駅前に着いた．伊与木川があるので伊与喜駅か，それとも伊与喜の地名が先にあって伊与木川か．．．．さて．それに『木』と『喜』微妙な差のあることも興味深い．
ところで伊与喜駅は土佐くろしお鉄道の駅だという．土佐くろしお鉄道と言えば，御免ー奈半利間を走っていた鉄道ではないか．しかしこちらは同じ鉄道会社だが，中村ー宿毛線，別の路線ということだ．いずれもマイナーな路線ではあろうが．．．
伊与喜遍路道の後は，熊井トンネル遍路道に入っていった．と言っても暫くは普通の町の道，若しくは農道で，トンネルは先だ．
そしてなぜかこの辺りには現在地を示すマップが掲げられ始めた．道標としては正直言って，その右下の微妙に上に傾いた（これが信憑性を増している）小さな赤矢印が頼りがいあろう（あくまで個人的見解，すみません）
車の入れない歩き遍路道に入ってきた．枯れ葉が落ちていっぱいだ．ガサガサ音をたててる．
枯れ葉の遍路道はトラバース路になった．もし混んでいてすれ違う場合などあれば要注意だが，もちろん自分以外歩いている人はいない．
熊井トンネルはその他多くとは異なって，歴史ある特別のトンネルだ．傍らの碑文を見ると，小学生も運んだレンガを職人が長さ90mに渡り積み上げ，1905年竣工だそうだ．
また入り口に立つと，手前側逆U字形入り口と同芯上に，相似形小さな逆U字形出口が見える（写真がまずくてそのように写ってない）のだが，『トンネルというものは入り口は大きいが出口は小さいものぢゃのう』と言った人があったと記されている．パースペクティブを上手く言い当てたトンチですね．
熊井トンネルを抜けると下り坂になり，暫くすると土佐くろしお鉄道中村線にぶつかる．そして踏切を跨ぐ．中村線は窪川（JRもあり）から中村間を走り，朝通過した伊与喜駅もこの路線上にある．
歩いているうちに土佐佐賀辺りに入ってきた．標識は単に佐賀で，地元の人はそのように呼ぶであろう．同名の九州佐賀県，市と区別するため，土佐の接頭語が付けられたのであろう．過ぎ去ったが，土佐久礼の場合と同じだ．
この辺りは海抜が低いのであろう，津波避難所は随分と高い．６，７階相当あろうか．ここを使う機会がないよう願うばかりだ．
土佐佐賀には広～い砂浜があり，その背後に町並が展開されている．この辺りが繁華街だ．夏は海水浴客で賑わうであろう．
土佐佐賀の砂浜南の浜は岩場だ．砂浜エリアは湾の内側だが，岩場海岸は逆に岩山が張り出している．それが潮の流れや，砂の堆積に影響するのだろうか．
ここは岩場海岸を見下ろす丘陵辺り，手入れされた庭木や花が植えられきれいだ．ここは既に土佐西南大規模公園の一部になるのであろうか？
さて今日も締めは中村街道になった．これをひたすら南へ，そして西へと歩くのだ．
街道を歩いていると遭遇した金子石材（有）のロゴ，石の口の中に金，分かり易い．近所の人はこのロゴだけで一瞬にして金子石材の社名を思い浮かべることでしょう．
この辺りはガードレールで分けられた歩道が付き，ありがたい．歩道は後で付加されたようで，道路本体横腹にカンチレバーを付け足し，そこに歩道を敷いたオーバーハング構造になっていた．歩行者が少ないに拘らずこうした配慮を見ると嬉しくなる．
中村街道のお約束，井の岬トンネル入り口になった．長さ320mで一応歩道スペースもありそうだ．
トンネルは土佐湾北側で張り出す半島の岬，つまり井の岬，その辺りに位置するようだ．
井の岬トンネルを越え，行くと平らな農地の広がる農業地帯になった．マップを見ると，井田の手前辺りであろうか．
次は井田トンネルだった．これは172mと短い．ここは既に土佐湾の内側であろう．
ちょっと遠いが土佐湾の一部に小さな湾があり，堤防で囲まれているようだ．多分漁港であろう．そして浜に面してたくさんの家々が建ち並ぶ．おそらく上川口の町かと思われる．
そして上川口小学校前を通った．金網の塀から覗くと，薪を背負い，歩きながら本を読む二宮金次郎像が立てられていた．最近歩きスマホを誘発するから，と金次郎像が撤去されるケースがあると聞く．果たしてそんなもんかな～？
中村街道上川口辺りに無料接待所があった．24時間オープンというから善根宿ということでしょう．
無料接待所先には街道に面した大師堂があり，弘法大師の石像が脇に立てられていた．
この日は札所お寺が一つもないので，大師像を眺めるのは初めてだ．
土佐西南大規模公園の範囲は不確かなのだが，広い緑地があり，少なくともそこは同公園の範囲で間違いなしと思われるエリアに入ってきた．
そしてここは『ビオスおおがた』と名付けられた道の駅だ．さてどんなもんかな～と中を覗いてみる．
ビオスおおがたを覗いてみると，ヤキトリがあった．遍路とは何の脈絡もないが．．．．修行に出て一度も居酒屋とかに行ってない（行こうにも見当たらず）．修行中の身ゆえ（うそ），ビールはよして，ヤキトリだけでも食べて見るか．．．．と，そして親切な店員さんが温めましょうか，とチンしてくれた．結構いけた．
土佐西南大規模公園はその名の如く，広大な緑地に林や野球場，ゴルフ場といった諸施設を備えている．松林の中を行く歩道は長く続き散歩にも快適であろう．
公園にはサーフィンビーチもあって，通りかかったとき３，４人のサーファーが波に乗っていた．ただこの日は波が低く，必ずしもサーフィン日和ではないようだった．
土佐西南大規模公園の一画にあり，ネストウエストガーデン土佐とバカに長い名の宿に到着した．古代ローマコロシアムのように，中庭の周りに円筒状客室が配してある．
入り口で宿帳に記載し，諸案内を聞く．担当者はとても親切で優しい．これで，いい宿だな～と決めつけてしまった．
また洗濯場は同じ階にもあり，複数の洗濯機，乾燥機を備え，遍路客にも配慮されている．
シングルでも十分広く，何よりも椅子とテーブルなので楽なのがいい．wifiも備え，速度も十分だ．
客室から別棟の大浴場が見える．左側が男湯だ．部屋には普通のバスタブがあるが，大きな風呂も良さそうだな～と行ってみる．
行ってみると，とても広い浴槽で，例の如く，入って来たのは私一人，なんともまた贅沢なことか．
大浴場棟と宿泊棟を結ぶ通路には自販機が置かれ，ついスーパードライを買って部屋に戻る．さっきのヤキトリがあればなお良かったが，まあなくてもいいさ．
さて夕食時間になり，一階レストランへ行った．何組かのお客さんが見えるが，単独のお遍路さんは見えない．そして案内されたテーブルにポツリと座る．
夕食は和食か洋食どちらかを事前に予約しておく．そして予約した和食がこれだった．特にマグロ，カンパチ，鯛の刺し身が気に入った（まあ，お刺身はいつも気に入るのだが）
なお自販機と違って，ここのスーパードライは瓶だ，念のため．
さて明日は雨との予報だ．カッパを着て出掛けることになろう．
