遍路21日目(2017年11月20日)Pilgrimage day 21

この遍路21日目編では,2017年11月20日,民宿足摺はっとで朝食後ここを発ち,松尾辺りを通り,ジョン万次郎生家辺りを歩き,清水港を通り,足摺半島を越えて,再びあしずり遍路道を辿り,民宿くももへと辿ったときの写真を載せました.

遍路21日目周辺マップと札所


 

民宿足摺はっとを出る

民宿足摺はっとの朝食

民宿足摺はっとの朝食

11月20日,民宿足摺はっとで朝を迎えた.身支度を整え,一階ダイニングルームに行く.そしてカマス開きの朝食を頂く.そう言えばカマスは結構よく出してもらう.四国ではかなり一般的な魚に属するのでしょうか,美味しいです.


民宿足摺はっとを出発

民宿足摺はっとを出発

さて食事が済み,準備も整い,お勘定して,お暇する.ありがとうございました.

まだ町は明け切らないようで少し暗い.ただ海面に反射する陽の光を見ると間もなく完全に明けそうだ.


松尾辺り

県道27号線遍路道は松尾に向け上る

県道27号線遍路道は松尾に向け上る

さて今日の初めは,前日に続き県道27号線の遍路道だ.そして道は松尾に向け緩やかに高度を上げていく.


遍路道から松尾の海岸を見下ろす

遍路道から松尾の海岸を見下ろす

遍路道は高い位置になった.そこから松尾の海岸を見下ろすと,リアス式海岸(いや最近はリアス海岸か)が豪快だ.また浜辺に続く平地には住宅群も見える.松尾の町であろう.


松尾トンネルに入る

松尾トンネルに入る

さて見るからに新しいトンネル入口になった.つい昨年4月開通したという松尾トンネルだ.長さ1057mとかなり長いが,脇には歩道/自転車道が設けられている.このトンネルは半島の浜辺に沿う県道27号線を短距離でバイパスするようになっている.つまりこれを抜ければ遍路道も短くなるわけだ,楽そうなのでトンネルにした.


ジョン万次郎生家辺り

中浜港に至る

中浜港に至る

トンネルを抜け,少し先で遍路道は県道27号線から逸れ,左の小さな道に入る.そしてその道は中浜港,その背後の中浜の集落へと入っていった.中浜は,かの中浜万次郎,ジョン万次郎の生まれ育ったところで,中浜港は彼が14歳でここから漁に出て,そして遭難したときの港だ.

中浜の住宅地は中浜港の水位から十分高くはないようで,港の周囲は小高い防潮堤で囲まれている.


遍路道は中浜の住宅街を抜ける

遍路道は中浜の住宅街を抜ける

遍路道は中浜の住宅街を這う細い生活道を歩いて抜ける.細い道だが道標が十分あり,分かり易い.


ジョン万次郎生家に立ち寄る

ジョン万次郎生家に立ち寄る

遍路道から少し逸れた路地を行き,ジョン万次郎生家(復元建築)に立ち寄った.藁葺き屋根の平屋で,少し小さいが,多分当時は平均的サイズ,構造だったのであろう.

遭難後,この家に暮らしていた母しおは,万次郎が遭難死したものと思っていたが,11年後戻ってきた万次郎と感動の再会を果たした.万次郎は母を撮るためのカメラと針仕事の助けにとミシンを米国から持ち帰ったそうである.


再び県道27号線に入る

再び県道27号線に入る

中浜の集落を抜け坂を上った.そして再び県道27号線に出た.マップを見るとこの点から少しオフセットしたところに山道の遍路道が有る筈だが.....と探しているところに,近所の人が現れ,尋ねてみた.すると,あっちに入り口があるよ,でもあの道は両側が林で,トンネルを歩くようなもので,何も見えない,絶対こっちが見晴らしがいいからこっちにしなさい,と県道27号線続行を薦められる.まあ,これだけ薦められたらそれしかあるまい.


清水港辺り

清水港に入ってきた

清水港に入ってきた

県道27号線遍路道はそのうちとても大きな清水港の湾に入ってきた.湾の周囲は長く,所々に桟橋や防波堤が設けられている.


清水港の苔アート

清水港の苔アート

清水港沿い道路の苔アートだ.ゆっくりはしればみえるけしき,の言葉に添えて椿の花,灯台に荒波が描かれている.苔とコンクリート地のコントラストが高く,くっきりしている.


清水港浜辺に係留された漁船

清水港浜辺に係留された漁船

ここは深い清水港の最奥部.漁船が係留されている.清水サバはこうした漁船で釣り上げられるのだろうか.


土佐清水市街地

土佐清水市街地

やがて県道27号線は終わりになり,国道321号線(サニーロード)に繋がっていった.サニーロードを道なりに行くと土佐清水の市街地外周部になった,

幸いこの辺りにはコンビニがあり,コーヒーや,ランチ用おにぎりか何か買う.


足摺半島越え

以布利トンネル

以布利トンネル

サニーロードは以布利(いぶり)トンネル入り口になった.こちらもまだ比較的新しく見える.入り口のプレートを見ると,2008年竣工で,延長504mだそうだ.

こちらも自転車/歩行者レーンが設けてあり,大変よろしい.


サニーロードはほぼ真っ直ぐで,半島を横切る

サニーロードはほぼ真っ直ぐで,半島を横切る

サニーロードはほぼ真っ直ぐで,どんどん北に向かう.そして足摺半島を横切り,以布利海岸に近づいていった.

しかしこの辺りで,急に左脚,足裏から15~20cm上部,前側(ふくらはぎと反対側)に痛みを覚える.しかし歩けないほどではないし,これも修行かと歩き続けた.しかしこの痛みはず~っと続き,3日後の11月23日,遍路を中止し松山空港から帰ることとなる.


あしずり遍路道

あしずり遍路道になる

あしずり遍路道になる

サニーロードが半島を横切ると,海岸沿いのあしずり遍路道,いやこれだと範囲が広いから以布利遍路道かな,に入っていった.一部前日歩いたコースの少し海寄りのトレイルも歩いてみた.

この道は,脇の木立の間から崖下の太平洋を望む静かな通りでなかなかいい.


サニーロード脇のソーラーパネル群

サニーロード脇のソーラーパネル群

道路脇の荒れ地を利用してソーラーパネルが設置されている.規模は小さいが荒れ地をそのままにしておくより余程ましだ.それと屋根上の設置よりメンテナンスが容易な利点もあろう.

この近くに簡易郵便局があった.ATMはないが,職員が一人いて,カードがあれば引き出せますよ,と聞き,現金を受け取る.やはり郵便局は便利だ.


民宿くももへ

民宿くもも前の海岸

民宿くもも前の海岸

サニーロードはやがて民宿くもも前の海岸になった.岩場の海岸だ.

でもまだ午後1時前だ,チェックインできるかな~だめだとどのように時間を潰すか....


午後1時前に入れてもらったくももの部屋

午後1時前に入れてもらったくももの部屋

早いが民宿くももに到着し,玄関でごめんください,と言うと,奥の方で男性の声で,お上がり下さい,お風呂もどうぞ,と姿は見えないが返事があった.そして玄関ホワイトボードには私ともう一人の泊り客の名前と部屋番号,それにお風呂にもどうぞ,と記されていた.こんな早い時間にチェックインさせてもらい感激だ,しかもお風呂まで,ありがとうございます.

とにかく部屋に落ち着き安心した.そして女将さんが現れ,不在ですみませんでした,と言い,洗濯やお風呂,ダイニングルーム,夕食時間....などの説明を聞く.

もう一人の方の到着は遅いそうで,洗濯機やお風呂の時間は気ままで自由だった.


民宿くももの夕食

民宿くももの夕食

夕食時間になり,一階のダイニングルームに座る.

野菜サラダにカンパチ刺し身,(チキン?)唐揚げ,蛸の酢の物などだ.ビールは指定しなかったがキリンで,これまで殆どスーパードライだったことからすると珍しい.

さてこの日は戸塚(横浜)の超ベテランお遍路Mさんと一緒になった.戸塚は知り合いや篆刻の先生,昔はよく訪れた日立ソフトウェア工場などで馴染み深い.Mさんは82歳で今回が20回目の通し打ちで,一日40km未満だと物足りなく,ガンガン歩くという.今日も随分遅くここに到着し,明日の朝も大分早く出るそうだ.いや~びっくりしました.

Mさんは戸塚に息子さん一家と共用の家があるが,山中湖に陶芸工房を備えた別荘があり,最近はそこで過ごすことが多いそうだ.炉は以前灯油燃焼型だったが,近年コストはかかるものの制御容易なガス炉に切り替え,作品はやはりお皿や壺といったところが主で,道の駅で販売したりすることもあるそうだ.そしてお皿の間の隙間を埋めるために,こんな小さいものも作っているのですよ,とお膳の左側,細かに造形,彩色されたお坊さん人形を分けて下さった.


Mさん制作お坊さん人形

Mさん制作お坊さん人形

測って見ると37mmと小さく,前日第38番 金剛福寺で頂いた朱印,墨書きの上に置いて撮ってみた.一日40km超遍路もすごいですが,甚だ失礼ながら齢82にしてこのように繊細な作品を仕上げるとは,陶芸家としてもまたすごいですね.

さてMさんは明日未明に出発だそうで,どうぞお気をつけてお出かけ下さい.お休みなさい.



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