遍路23日目(2017年11月22日)Pilgrimage day 23

この遍路23日目編では,2017年11月22日,鶴の家旅館を出発し,第39番 延光寺を参拝,その後西へと進み高知県を通過,愛媛県に入り,やがて第40番 観自在寺に至り,参拝後民宿磯屋へと辿り宿泊したときの写真を載せました.

遍路23日目周辺マップと札所


 

鶴の家旅館を出発

鶴の家旅館を出発

鶴の家旅館で朝食

11月22日朝になった.鶴の家旅館一階に下り,朝食を頂く.女将さんと話していると,強くはないが既に雨が降り始めているようだ,天気予報通りだ.

ということでカッパを着て玄関口に立ち,お暇する.女将さんが,今日はトンネルが多く,排気ガスが充満しているから,と言いながらマスクを下さった.ありがとうございます.


宿毛市平田町の朝

宿毛市平田町の朝

まだ明け切らず,雨の宿毛市平田町の朝は薄暗い.通りは国道56号線で,右端の白い鶴の家旅館もまだ白く見えない.今日はこんな調子が続くのかな~


国道56号線から細い遍路道に入る

国道56号線から細い遍路道に入る

平田町を外れ,少し行き,国道56号線から細い遍路道に入っていった.入った辺りで道標を見誤り少し行き過ぎ,戻ったミスが早速あった.すぐ気付いたのでノーカウントにしよう.


お遍路さんに出会う

お遍路さんに出会う

遍路道でお遍路さんに出会った.昨夕第39番 延光寺を参拝し,この近くの民宿に宿泊していたという.へ~こんな延光寺近くにも宿があったのですか.

そして遍路道は左:第40番 観自在寺と,右:第39番 延光寺の分岐点に来た.互いに無事を祈り,お遍路さん左に,私は右に進んだ.


第39番 赤亀山 寺山院 延光寺(しゃっきざん じさんいん えんこうじ)

第39番 延光寺山門に着く

第39番 延光寺山門に着く

上記分岐点から直ぐのところの道端,石段で隔てられて第39番 延光寺山門があった.割りと直線主体のシンプルなデザインだ.


第39番 延光寺境内

延光寺境内

山門で一礼し延光寺境内に入る.直ぐ左脇に手水場があり,その先に修行姿の弘法大師像が立っている.色付き始めた庭木がきれいだ.

雨でもあるためか人影は殆ど見えず,静かだ.


第39番 延光寺本堂と大師堂

第39番 延光寺本堂と大師堂

右が薬師如来を本尊とする延光寺本堂で,左端が大師堂だ.

さて昨日も,一昨日もお寺さんがなく,歩き一方だったのでお参りは久しぶりだ.そして先ずは型通り本堂前でろうそくと線香を灯し,般若心経を読む.次いで大師堂で同じことを繰り返す.本来本堂では本尊真言も唱える筈だが,省略.


第39番 延光寺客殿と納経所

第39番 延光寺客殿と納経所

この大きな建物は客殿という.宿坊と同じか?それともお坊さんの客だけ泊まるのか?

そしてここには納経所があり,ここで朱印と墨書きをもらう.


高知県通過

延光寺から下る

延光寺から下る

さて延光寺参拝が終わり,先程のお遍路さんと別れた分岐点まで戻り,そこから山道の下りに掛かった.下り先はここに来るとき離れた国道56号線で,少し西に寄った位置になる筈だ.


国道56号線を西に進む

国道56号線を西に進む

延光寺から下り,国道56号線に出ると,しばらく西に進んだ.


与市明(よいちみょう)トンネル

与市明(よいちみょう)トンネル

そのうち国道56号線は大きな松田川を越え,北に曲がりながら宿毛市の中心部を通過した.そして写真の与市明(よいちみょう)トンネルとなった.1992年竣工で215mの長さだそうだ.215mなら鶴の家旅館の女将さんに頂いたマスクはなくて大丈夫だな....


今度は宿毛(すくも)トンネル

今度は宿毛トンネル

与市明トンネルを抜けたと思ったら今度は宿毛(すくも)トンネルだ.1971年竣工と早く,長さは256.7mというから,まだマスクは要らないだろう.


川沿いに国道56号線は進む

川沿いに国道56号線は進む

宿毛トンネルを越えると,国道56号線は篠川に沿って進むようになる.篠川はあまり大きくはなく,やがて先に通過した松田川に注ぐようだ.


高知県宿毛市のお別れ標識

高知県宿毛市のお別れ標識

国道56号線遍路道を歩いていると,やがて高知県宿毛市の標識が現れた.ここで高知県宿毛市とはお別れの標識だ.高知県は結構歩いた,感慨深い.


愛媛県入り

愛媛県愛南町になり,正木トンネル

愛媛県愛南町になり,正木トンネル

さて上記高知県宿毛市のお別れ標識に続き,愛媛県愛南町の標識が現れた.愛媛県の南にある町なので愛南町なのでしょう.そして該標識から間髪入れず正木トンネル入口になった.2006年竣工と新しく,延長226mと,これまた似たり寄ったり,マスク要らずだ.(←単に面倒なだけだろう)


愛南町の国道56号線

愛南町の国道56号線

正木トンネルを抜け,愛南町の国道56号線を歩く.少し下り坂で歩道も備え,緑豊かだ.ただこの辺りは切通し状で見晴らしは利かない.


直ぐに一本松ずい道

直ぐに一本松ずい道

直ぐに一本松ずい道になった.トンネルではなくずい道と記してあるのが奥ゆかしい(?)そして隧道と全部漢字にすると読むのが大変なので隧は仮名にしてくれた配慮がまた嬉しい.1972年竣工,395mと少し長めだ.


ランダム配置のソーラーパネル

ランダム配置のソーラーパネル

山の斜面にソーラーパネルが設置されている.結構大規模だ.一般にパネルは同じ方向(普通南)で,同じ仰角で設置されている.ところがここは意表を突く設計で,向きも,仰角も一定の範囲に収まってはいるようではあるがランダム配置だ.いや~びっくりした.皆同じであると云う固定観念が見事打ち破られ感激だ.

地盤に合わせた低い設置筐体で,建設費を抑え,強風時の耐力強化などに効くのでなないか.また発電効率の季節変動を抑え,平準化する効果などあるやも知れない.やはり遍路は歩きに限る,こういうのに出合えるから.


伝統建築の大邸宅もランダムだ

伝統建築の大邸宅もランダムだ

畑の中の集落には随分立派な伝統様式大邸宅が見える.そして中の二軒は屋根にソーラーパネルを載せている.向きを見れば,あっち向いてホイ的に,見事なほど違っている.住宅屋根上パネルがそれぞれ異なるのは関東でもそうであるし,もちろん知っていた.ただ発電ファーム規模でのパネルに応用した上の例にまで頭が廻らなかったのだ.


蓮乗寺トンネル

蓮乗寺トンネル

暫く歩き,蓮乗寺トンネルとなった.1986年竣工,604mと結構長くなってきた.長いほど排気ガスが溜まりそうだが.....まだマスクいいか.


そして城辺(じょうへん)トンネル

そして城辺(じょうへん)トンネル

そしてまた暫く歩き,城辺(じょうへん)トンネルになった.1974年竣工,532mとあまり長くはない.マスクは要らないな....

と云うことでこれまでせっかく鶴の家さんに頂いたのにマスクを着けなかった,お接待の品を使わなかったのはちょっとまずかったかも....実はこれが今回遍路最後のトンネルになってしまった.

それとトンネルばかり載せて,圧倒的多数の地上風景を省いてしまった.別にトンネルフェチではないのだが.でも雨の日は特別トンネルのありがたみが解るときではある.


愛南町中心部に入ってきた

愛南町中心部に入ってきた

やがて遍路道は北に向きを変え,大きな僧都川(そうずがわ)を越え愛南町中心部に入ってきた.橋の袂には鶴のレリーフが嵌め込まれている.飛来するのでしょうか.


愛南町の商店街

愛南町の商店街

僧都川を渡った先また左に折れ,愛南町商店街に入った.雨も加わってかなりひっそりした街並みだ.そしてここを少し進むと第40番 観自在寺参道が待っている.愛媛県最初の札所寺院だ.


第40番 平城山 薬師院 観自在寺(へいじょうざん やくしいん かんじざいじ)

第40番 観自在寺参道

第40番 観自在寺参道

愛南町商店街北側に第40番 観自在寺に連なる参道があり,ここを行く.参道脇には店舗があるが,特段賑わっているという風でもなく,落ち着いた門前町だ.

そして先方には石段とその上に山門が見えている.


第40番 観自在寺山門

第40番 観自在寺山門

山門は瓦屋根の一層タイプだ.屋根角の鯱というのか,あるいは鬼瓦か,それと赤地に金色の山門表札や,同じく左側の御本尊薬師如来像など,どことなく中国風に見える.なお仁王さまは奥まった格子の背後でちょっと覗きにくい.


第40番 観自在寺本堂

第40番 観自在寺本堂

山門から進むと,手水場,そして鐘楼があり,奥の突き当たりに本堂が建られている.比較的新しい建築のようだ.地面から一段高い位置に石の回廊が巡せてあり,大屋根のとても長く突き出た庇でカバーされている.

私は庇で覆われ雨の当たらない回廊の縁に傘を置き,山谷袋からろうそくや線香を出し,火を付けた.そして経本を広げ,読んだ.この広い回廊と深い庇はこんな雨の日は大いに助かる.

なお納経所は大変珍しいことに,この本堂内部,入って右の位置にあった.多分本堂内部の納経所はこれが初めてだと思う.


第40番 観自在寺大師堂

観自在寺大師堂

本堂右隣に大師堂があった.そしてここでも同じように参拝する.済むと本堂に戻り,中で納経帳に朱印と墨書きを頂く.

この日は雨のためか,広い境内で参拝者はあまり多く見掛けなかった.多分普段はもっと多いのでは.


第40番 観自在寺の栄かえる

観自在寺の栄かえる

観自在寺境内に,孫カエル,子カエルの載った親カエルの像,それに『栄かえる』の意義石版があった.親子孫と三かえる,お金かかえる,福かかえる,病気が引きかえる,などと記されている.撫でてみるといいそうだ.そう言えば第38番 金剛福寺の大師亀と作法やご利益が少し似ているかな.


民宿磯屋へ

民宿磯屋に到着

民宿磯屋に到着

第40番 観自在寺のお参りが済み,予約してあった民宿磯屋に向かった.国道56号線を暫く西に進み,左手の路地に逸れ,少し歩いたところにあった.着くと先ず,カッパや傘など,玄関先に架け,女将さんの案内で二階の部屋や,お風呂,お手洗い,電灯スイッチなどの諸案内を聞く.また女将さんが洗濯して下さると言うのでお願いする.そして昨日の鶴の家さん同様,乾燥せず濡れたまま戻ってきたが,今度は驚かなかった.この後の処理は心得ている.

ここの建物は築35年で古いです,お風呂も狭いです,と言われて風呂に入るが,まあ普通の家庭用一人タイプで全然問題ない.それに客は自分一人なので端から余裕なのだ.

ところで問題の左脚は今日も痛かったのだが,見ると腫れてきた.歩くことは歩いてきたが悪化の兆しかもしれない.女将さんに訊くと,近所に整形外科クリニックがある筈だが,この日はもう遅いし,明日は23日,勤労感謝の日で休診だし....明日は移動日とし,色々病院があるという宇和島まで歩くか.....と云うことで,女将さんの馴染みというビジネスホテルアイリンを予約してくれた.


民宿磯屋の夕食

民宿磯屋の夕食

先ず,食事はこたつの間がいいか,それともソファとテーブルがいいか問われ,写真のテーブル間を選択.ソファには女将さんも並んで掛け,いろいろ話してくれる.

先ず今日の料理はいいアジ(鯵)が入ったのでアジづくしだそうで,鯵刺し,鯵フライ,鯵の煮付けだ.魚には目がないので大変結構だ.他にもキンピラ,酢の物,なす田楽,高野豆腐の煮物(かな?)など美味しかった.

女将さんは私より少し年配のようで,階段の上り降りが大変になってきたそうだ.息子さん家族が近くに住み,時々女将さん自慢のお料理をもらいに来るという.旦那さんは20年前,糖尿病と多分それに絡む脳梗塞で,60より若くして他界したそうだ.何しろ,酒無しでは生きている意味がない....とまでの酒飲みでしたからね~と.そして以来,一人で宿を切り盛りしているそうだ.

女将さんは何とか老化進行を食い止めたいと,テレビのクイズ番組などに挑戦しているそうで,いろいろ学んだものが当たるとやはり嬉しいそうだ.

....面白いこといろいろ話したが,やはり明日は宇和島まで行った方がいいのか,宇和島の病院も休みの筈だし...一晩悩んでみよう.お休みなさい.



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