アルチへgo to Alchi by car

2012/7/9の行程マップ

2012/7/9の行程マップ(拡大可)→

この日はレーから車でインダス河沿いを西に走り,アルチまで行き,古刹アルチ僧院などを見物し,ロッジに一泊した.

移動する途中,地面もインダスも泥色である中に,所々にオアシス状緑が映え,美しい.また軍事施設が極めて頻繁に現れ,軍用車の往来が多い.アルチ僧院は,時代も距離も遠く離れた古代ギリシャ風建築様式の面影が見られるところが特に印象深い.


レー街外れのマニ車を通過

レー街外れのマニ車を通過

2012/7/9(月)朝レーのMunsi continentalロッジで朝食を頂いた後,3台のインド製4WD『マヒンドラ』に分乗し出発した.この日は天気がいいようだ.程なく街外れに至り,写真のマニ車の辺りを通過する.朝早くからこれを廻す様子が見えた.


インダス河右岸に沿う道を西進する

インダス河右岸に沿う道を西進する

やがてチェックポストを通過し,インダス河右岸に沿う道を走るようになる.インダスはチベットに源を発し,ここラダックを通り,やがてパキスタンのカシミール地方に入り,カラコルムハイウェイ沿いを下り,やがてインド洋に注ぐようだ.

この辺りのインダスは完璧なまでに泥の河だ.そして沿う道路は一部舗装,一部未舗装になっているが,順次整備が進められているようだ.

川沿いを暫く走るとやがてザンスカール川が南からインダスに流れ込んでくる合流点に至った.ザンスカール川もまた激流で,限りなく濁っているが土砂成分が異なるためか,茶色より灰色だ.ザンスカール川は冬には厚く氷が張り,チャダル(Chadar)と呼ばれる氷の上を通行する行動が行われるそうだ.


所々にオアシスのような集落

所々にオアシスのような集落

ほぼ茶色一色のラダックであるが,所々にオアシスのように緑豊かなエリアが出現する.山から流れ出る水路がある場所で,大麦や小麦が栽培され,集落が形成されている.

暫く走ったので,こうした集落の一つ,ニモ(Nimu)の茶屋でお茶となった.お茶は砂糖がたっぷり,甘過ぎるのだが,アラブのお茶と比べれば然程ではないと自ら説得してみる.


またも美しい村現れる

またも美しい村現れる

さらに進むと,広い耕作地にゴンパも備えたかなり大きな村を通過した.いや~美しい眺めだ.ここでは欧州の人達であろうか,バイクツーリングの皆さんも休憩していた.


インダスを渡る橋

インダスを渡る橋

上の村を越えると程なく,今日の目的地アルチに逸れる橋に至った.橋にはチベット仏教の慣わしに従い大量のタルチョーがたなびいている.アルチには有名なアルチチョスカルゴンパ(Alchi Choskhor Gompa)があるというから,一層盛大にタルチョーが舞っているのかも知れない.

この橋を渡ればアルチは間もない筈だ.


下は,アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真

アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真
アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真
アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真 アルチを目指し,インダス沿いに西進するときの写真

アルチのSamduplingロッジに到着

アルチのSamduplingロッジに到着

インダス左岸から少し入ったアルチに入り,車の入り込める限界の駐車広場に停車した.小型の中学校用スクールバスなども止まっており,こう言っては失礼ながらかなりの僻地なのに教育に注力されていることに感心した.

駐車広場からロッジまでは小路を辿って,標記のSamduplingロッジまで歩いた.ロッジには数組の先客がいた.ロッジの部屋は明るく広かったが,夜一灯の裸電球のみ,お湯が出ないなど山小屋の雰囲気に近く,さていよいよ山に近くなったな~と思わせてくれた.


アルチの畑

アルチの畑

アルチには広い畑が展開され,大麦などが栽培されている.ポプラや果樹などの樹木も豊かだ.一部は既に実りの秋を迎えているような光景だ.これだけ広い畑があるので農家の戸数もそれなりに在るであろうし,商店もいくつかある.乾電池を持ってくるのを忘れ,ここで単3,単4合わせて30本程買い求めることができ助かった.ただ添乗Yさんの経験談などからある程度予測できたが,GPSなどに使ってみると日本のアルカリ電池と比べて減りは極端に早く,1/4か或いはそれ以下の容量程度しかないようであった.


ユニークな女性の装束

ユニークな女性の装束

アルチに着いて歩いていると,とてもユニークな山高帽を着けた年配の婦人に会うことができる.かなりの頻度であるからこの地方ではごく普通のファッションと見られる.帽子は手の込んだ形状で,細かい模様の刺繍が施されている.ゴンダ(Gonda)と称されるそうで,おしゃれだ.

もう一つ背中に背負ったバッグだ.虹色の糸を垂らしたカラフルなデザインで,こちらは年配者だけでなく若い女性も着用している.

またターコイズなどのネックレス,ブローチなどの装いにもかなり気を使っているようであるが,まあこれは世界の女性に共通であろうか.


下は,アルチの村の風景

アルチの村の風景
アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景
アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景 アルチの村の風景

アルチチョスコルゴンパ(Alchi Choskhor Gompa)

アルチチョスコルゴンパ(Alchi Choskhor Gompa)

10世紀末,大量のインド経典をチベット語に翻訳し,仏教を広めたというリンチェンサンポ(Ringchen Zangpo:958~1055)によって建てられたと伝えられるそうだ.このお坊さんはグゲのトリン寺など西チベットエリアに108もの寺院を建立したそうでもある.

で,このアルチチョスコルゴンパであるが,内部に創建当時から残る壁画や仏像がラダック随一のものだそうで,先ずは見ないことにはラダックに来る価値も半減とまで言われるそうな.


彫刻の施された建物

彫刻の施された建物

内部の壁画や仏像は確かになかなか精緻なものが並んでいる.曼荼羅なども多い.撮影禁止であるが,写真集が手頃な値段(500リラだったか?)で販売されていた.ただ写真集にはなぜか建物自体はあまり載っていない.この写真のように外側の彫刻や,撮影できない内部の構造,例えば遠く古代ギリシャのエンタシス風デザインの木柱など,なかなか見応えがある.

ところで何故えに古代ギリシャ風なのか?リンチェンサンポがゴンパ建立時,当時建築先進地であって,またヘレニズム文化の遺るカシミールから多くの彫刻師を招き,建物や仏像制作にあたらせたからだそうだ.な~るほど.


リンチェンサンポ杖の木

リンチェンサンポ杖の木

リンチェンサンポが使っていた杖を挿したら大きくなったと云う木が植えられていた.東京でも洗足池に親鸞上人の杖が根付いた....とかあったような気がする.親鸞の方が若干後の世代であるようだが,仏教の著名な伝道者という点でかなり共通性が高いかも知れない.

ところでこの木の下ではお土産店が営業しているのだが,リンチェンサンポの木の枝を下ろし,杖に加工して販売する,といったバチ当たりなことは一切なく,安心した(←こんなこと自体考えるカナジーが情けない?)


下は,アルチチョスコルゴンパでの写真

アルチチョスコルゴンパでの写真
アルチチョスコルゴンパでの写真 アルチチョスコルゴンパでの写真 アルチチョスコルゴンパでの写真 アルチチョスコルゴンパでの写真 アルチチョスコルゴンパでの写真 アルチチョスコルゴンパでの写真 アルチチョスコルゴンパでの写真

ツァツァプリ(Tshatshapuri)

アルチチョスカルゴンパを見て,ロッジに引き上げる際,そこを少しオーバーランして行った先の丘に建つ小さなゴンパを訪ねた.最初人影が見えなかったが,ガイドSさんが鍵管理の老婦人を探し出してきてくれた.正式名称かどうかはっきりしないがツァツァプリ(Tshatshapuri)と通称されるようだ.例の如く刺繍が施された山高帽(ゴンダ)を着けた婦人は3つのお堂を順次明け,私たちを内部に案内してくれた.

ツァツァプリ(Tshatshapuri)外観ツァツァプリの鍵管理者
ツァツァプリのチョルテンや壁画ツァツァプリの立体曼荼羅風のお堂

お堂内部は質素なチョルテンや壁画で満たされている.傷みが激しいが,相当の歴史を感じさせるものだ.お堂の構造自体も立体曼荼羅を模した造形となっており興味深い.

村の鎮守様といった趣きのゴンパであるが常駐僧は居らず,資金面からなかなか修復も困難な様子が窺えた.ただゴンパの一画では山羊や牛が飼われていたりし,これからも観光化されず住民の生活に深く結びつきながら存在し続けていくのだな~という思いがした.


アルチの発電所

アルチの発電所

ツァツァプリとロッジの間を流れる川(この下流でインダスに注ぐ)にはダムが設けられ,発電されているようだ.ロッジで電気の使える時間や容量からすると,この発電所工事はまだ継続中なのかも知れない.


さてこうしてアルチまでの行程とアルチでの見物は無事終了した.明日はラマユルを経由し,トレッキング開始点フォトクサールまで行く予定だ.どんな一日が待っていようか?



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