この日はリンシェの集落を見物し,南に歩きハヌマラベース(地名はラナン)のキャンプサイトに到着し,ここで宿泊した.
この日は距離こそ幾らでもなかったが,厳しいトレイルだった.
リンシェの朝,目覚めてテントを出ると快晴のようだ.実に爽やかだ.斜面のリンシェゴンパにはまだ陽が射していない.朝の勤行を見せてもらうと云う案もあったが,それを待つとどうやらここに陽の当たる頃になるそうで,私たちはこれを待たず出発することになった.
とても素直とは言えない耕作地の分布に合わせて農家の住宅が建てられているようだ.日干しレンガに木材の窓枠や柱,梁が組み合わされているようだ.また水辺に育っている柳の枝はシーリング材として活用されているそうだ.特に極寒の冬の対策が重要であろうが,断熱性の良いと思われる日干しレンガで,それと少なめの窓というのがその解であろうか.
夏休み中で無人であるが公立中学校だ.校名の下に『学びに来たれ,そして奉仕のためにここを出よ』のモットーが記されていた.奉仕のために....が大したもんだ.
教師は政府から派遣されるが,住民が給与の大半を負担するシステムだという.当然夏期休暇中も給与は支払われるからそれなりの負担にはなるであろう.
下は,リンシェの村外れまでの写真
大きなリンシェ村を歩き,その外れに来るとチョルテンが建ち,タルチョーが掲げられていた.チベット仏教の慣わし通りだ.青空の元,快適だ.
左からパーソナルポーターのGちゃん,アシスタントガイドGさん,チーフガイドSさんだ.ガイド2人は所属する当地旅行社Zanskar Trek社のユニフォームだ.社名からすると老舗の会社であろうか,契約しているメンバーは数十人に上るそうだ.この3人を含めてスタッフの皆さんには大変お世話になった.お陰でいいトレッキングが楽しめた.
村外れのチョルテン先に大きく深い穴があった.穴の底には半ば干からびたヤギが横たわっていた.狼の罠/ウルフトラップだそうだ.今のところ掛かってないが,この辺りには棲息していて家畜,時には人にも危害を及ぼすそうである.
トラップの先辺りから斜面のトラバースに入った.谷は深いし,トレイルは砂地や砂利状で脆いし,私はかなり緊張しながら進んだ.
この日も早い時間,午前中に目的地ハヌマラベース(Hanuma La base:3,930m),別名ラナン:Lanang)に到着した.2つの川の交わる川原と台地状の広場があり,私たちのテントは後者の広場に張られた.ここには石室にテントを備えた茶屋があって,お茶を頂いた.
テントのスペースが十分あり,仏など幾つかのパーティがテントを張っていた.川面はかなり低い位置となるが,天気もいいので洗濯でも賑わっていた.
この日の夕食は野菜モモ(チベット餃子)だった.シェフのSさんは粉から捏ねて,皮を作り,丁寧に中身を包み仕上げている.他にも数種類の皿も用意して貰い,美味しかった.Sさんに加えて,添乗Yさんにも時々味噌汁やおじやなど作って貰い,こちらも実に美味しかった.
下は,リンシェ村の先からハヌマラベース(ラナン)までの写真
さて明日はハヌマラ(Hanuma La/4,720m)越えでジンチェンタクポ(Zingchan Tokpo)まで16km歩くということで,早めにシェラフに潜った.