この日からトレック開始.フォトクサールから歩き始め,ボウミツェラ(4,350m)を経て,マルリンのキャンプサイトに到着した.
途中2,3渡渉があったが,全般に広々した緩やかなトレイルで,家畜追いの場面なども楽しめた.
2012/7/10フォトクサールの朝,好天で迎えた.ダイニングテントで朝食の後,歩き始めた.川を挟んで対岸にはフォトクサールの集落が,さらにその上流は断崖が見えている.つまりフォトクサールは行き止まりの集落ということだ.
キャンプサイトから10分程歩き,フォトクサール集落対岸に来た.なるべく農地を確保するためであろうか,住宅は正に崖っ淵に建てられている.近いうちに崩落しないかと心配だ.
畑には大麦などが青々と茂っている.間近で見ると細い水路が縦横に張り巡らされ,山から流れ出る少ない水量を有効に使っているのに感心する.
フォトクサールの農家は朝のうちに山羊,羊,ヤクなどの家畜を草のある放牧地に連れて行って,夕方まで草を食ませ,夕方また連れて戻るようだ.数軒の家畜は集落近く,所定の場所に集められ,毎日交代する担当者がまとめて放牧地まで連れていくそうだ.このようにして人手を省き効率化しているのだという.
フォトクサールの標高は4,120m,目指すマルリン(Marlin)は4,200m,森林限界を越えているためであろう,樹木はなく茶色一色のトレイルだ.緩やかで路面も悪くないし,向こうに無名の雪峰も見えて,多分ザンスカールの典型的トレイルの一つなのであろう.
10時少し前にボウミツェラの峠に着いた.緩やかながら石が積まれ,タルチョーがたなびくシーンから大事な峠の一つと知れる.峠なので高い位置から周囲を俯瞰できて気持ちいい.
石積みはマニ塚にもなっており,一番上にはチベット文字で『オンマニペメフム』(多分)や仏画が刻まれた石が置かれている.
下は,フォトクサールからボウミツェラ峠までの写真
ボウミツェラ峠を過ぎると,進む方向に次の日越える予定のシンギラ(Singi La/5,060m)が見えてくる.写真中央,両側の山に挟まれた少し白い部分がそれにあたる.以降ここを越えるまで常に正面に見えて,お馴染みの眺めとなる.
私たちに先行したシェフSさんとキッチンスタッフ,キッチン用馬1頭は,途中水のある場所で昼食を準備していてくれた.限られた食材でかなり手の込んだ料理はなかなかの評判だ.
後日,Sさんがベタベタサンスクリーンを塗っている光景が目撃され,『既にかなり黒くなっているじゃない』と手遅れを指摘される場面もあった.
Sさんは家族とレーで暮らし,夏はトレッキングに,冬は時々チャダルツアーに同行するそうだ.それ以外のシーズンは『レーのレストランで皿洗いとかやってます』とのことだが,謙遜ではなかろうか.
昼食後暫く進むと川があった.傍まで行くと飛び石はなく,歩いて渡ることになった.今日はちゃんと草履を下げていたので使えた.あまり深くないのが幸いだったが,結構冷たいことは冷たい.
渡った先は小さな峠となっており,チョルテンが築かれ,先行していたポーランド隊の皆さんが濡れた脚を乾かしながら一休みしていた.私たちも追ってここで一休みした.
午後5時少し前,マルリン(Marlin:4,200m)のキャンプサイトに到着した.ここでは集落は見当たらない,草は豊富そうなので放牧地として使われるのかも知れない.
こうしてトレック一日目は無事完了した.天気も良かったし,眺めも良かったし,順調なスタートだった.
下は,ボウミツェラ峠からマルリンまでの写真
この日色々見かけた.スミレのようなものはちょっと意外な気がした.
さてこれでトレック一日目が終わった.渡渉があったが緩やかなトレイルで快適に歩けた.明日はどうかな~?