この日はジンチェンタクポから急坂を歩き始め,プルフィラに到着した.そしてこのパスを越え,ザンスカール川左岸に沿うトレイルをどんどん下り,ハナムルの広いキャンプサイトに到着し,ここで宿泊.ハナムルは実に広々し,眺めも良い.でもたった4軒だけだそうで,その中の1家族とほんの僅かだが挨拶を交わすことができた.
ジンチェンタクポの朝は好天で明けた.テントを畳み,朝食を済ませ,サイト背後の斜面を登り始めた.ジグザグ路は徐々に高度を上げ,それに連れ谷が深まっていく.なかなかいい眺めだ.
ジグザグ路を登り切ると緑に覆われて緩い傾斜の谷に入った.野生のバラが華やかな彩りを添えている.また来た道を振り返ると,陰影のはっきりした山肌が迫力を持って立ちはだかっている.
8:45AM,プルフィラ(Parfi La/4,720m)に到着した.あまり高くはないのだが空がクリアなため,パスの南北,共にくっきり望めて素晴らしい.
ここでは,これまでほぼ同じコースを辿ってきて,到着したスイス女性と英男性ペアの後者の男性にシャッターを押してもらった.まだ朝のうちなので陰が長い.
下は,ジンチェンタクポからプルフィラ(Parfi La)までの写真
プルフィラ(Parfi La/4,720m)からは,写真中央ザンスカール川(Zanskar River)左岸に沿うトレイルを下る.つまり川を遡る方向だ.川は殆ど泥色で,急峻な流れが大地を削り深い谷を形成している.
ザンスカール川の対岸側ではパドゥムからの自動車道路の建設工事中だ.冬季の通行も可能とする道路だそうで,反対のラマユル側からシンギラ方向で工事が進んでいる道路と,数年のうちに繋がり,通行可能となる見込みだという.経済的にはとても見合うようには思えないが,ここジャンムーカシミールエリアの軍事的実効支配を強化するのが狙いであろうか.
現在,出来上がった区間は道路工事用車両の通行のみ可能だが,あと少しで一般車両も通る.だが車が通る脇を歩くのはあまり楽しいものではない,と云うことで,旅行社のこのコースもその頃には催行中止,と添乗Yさんも話している.うん,歩くなら今のうちだと思う.
途中ザンスカールに流れ込む川があった.昨年は渡渉を余儀なくされたそうだが,今回は橋(写真右上)が架り,難なく越えることができた.この川はきれいな水で,ザンスカール川の濁流とは全く対照的だ.渡った川の畔では一休みしたが,岩陰の風が爽やかだった.
下は,プルフィラ(Parfi La)から下るときの写真
ハナムル(Hanamur:3,380m)に到着した.キャンプサイトは実に広々している.元々家畜の放牧に利用していたのであろうか?
高度が3,380mと大きく下がったためであろう,大きな木が生えている.高さはあまりないが,とても太い.盆栽を大型にしたような形態だが,さて何という木かな?
脇には細い小川が流れている.上流のハナムル集落から流れて来るようで,あまりきれいな水とは言えない.キッチンスタッフの皆さんはこの水で調理や片付けをしている.深く考えると躊躇うが,天気もいいことだし....とここでシャンプーし,シャツやズボンを洗濯した.洗ったものは大きな木の枝に架けたが,風が強く,厚いウールのソックスも含めて夕方までには乾いてくれた.
ビール組のみなさんは飲んだ後,木陰で昼寝でスヤスヤ,実に気持ちよさそうだった.
壁にHOTELと書いてある.一人二人であれば宿泊できそうだ.このすぐ傍では新築工事現場があった.かなり大きなホテルのようであるが,客が見込めるのかな....?自動車道路開通後を見込んだ先行投資かな....
なお,ホテル以外に茶屋も一軒開業しており,ビールも調達可能だ.
全部で4戸と云うハナムルの集落はテント場の上流にあった.集落入口には立派なマニ車が設けてあった.そして,その近くで野良仕事中の母子に『ジュレ―』と声を掛けると,快く写真モデルになってくれた.あまり言葉が上手く伝わらなかったが,『私の畑....私の息子,それにヤギ....』程度を話してくれた.ジュレ―!
下は,ハナムル(Hanamur:3,380m)での写真
快適な一日が過ぎた.さて明日は前半トレック最終日だ.どんな日になるかな~