この日はプルネを発ち,カルギャック川沿いのトレイルを遡り,途中ヤルやテッサ,クルを経由し,タンザまで歩いてテント泊となった.本ページではそのときの写真を載せました.
2012/7/23朝7時半頃,プルネのテントサイトを畳み,南に向かった.歩き始めて程なくカルギャック川(Kargyak River)を渡り,写真の左岸側トレイルに入る.いきなり難儀そうな感じだ.
天気はイマイチだが,もち論それに関係なくどんどん進む.途中子供たちやお坊さんのグループとすれ違う.さてどういった取り合わせであろうか?以降この日は色々な場所で地元民やまたトレッカーと出会うことの多い一日だった.
最初の小さな集落ヤル(Jal)を越え,都合2時間ばかり歩いた辺りで2度めの休憩を取った.ここでも子供含めた一行が北に向かう姿があった.ダライラマ法王の法話を傾聴するため,皆パドゥムに向かっているのであろうか?
1~2歳であろう赤ん坊を背負い,若いお父さんも一緒に歩いている.いい光景だ.やはり7/28,パドゥムでの法王を目指しているのだと思われる.
下は,プルネからヤルの先辺りまでの写真
歩き始めて3時間程経ったとき,25戸というまとまった戸数のあるテッサ村(Testa,Tetha,Tetaなどの標記あり)に入ってきた.村の周囲は驚くほど広く,比較的平坦な畑が麦の緑に染まっている.
村の入口には10以上のチョルテンが並び,長いマニ塚が築かれている.
村を流れる小川で,籾摺りした大麦から,実と籾やチリを分離する作業だそうだ.籾摺りした大麦を川の流れに置いたネットに放り込み,お玉で掻き回す.すると比重の大きな大麦の実はネットの底に溜り,軽い籾やチリは水に浮かび,そのままネットの外に流し出される,という仕掛けだ.でも麦はびしょびしょになるので,乾燥の後作業は必要となる.
眺めていると,別の女性が脇から煎った大麦を差し出してくれた.素朴で香ばしい味だった.私たちはお返しに,YさんやSさんに頂き,ポケットに入っていたキャンデーを差し出した.
畑はとてつもなく広いが,住宅は結構密集して建てられている.その間を生活用水路と狭い通路が這っている.住宅には大体石や日干し煉瓦の塀が設けられ,家畜囲いとなっているようである.
これがテッサ村の広大な畑.テッサの2倍くらいの戸数があるリンシェの畑より広いように見える.それにザンスカールに於いては異質なほど平面に近い.
テッサの先の小川でランチの後,クル(Kuru)の集落まで歩いて来た.かなり大きな家だがさらに二階を増築工事中だ.窓枠以外は全て日干し煉瓦だ.一見脆そうだが,地震がないので大丈夫なのだ.窓枠の木材は以前シンギラ辺りで見たように,ロバの背で運ぶのであろう.
なお画面右端の黒っぽく積まれたブロックは乾燥ヤク糞.夏のうちに冬の分まで準備しておかないとならないのでたくさん要る.
下は,クル(Kuru)村辺りまで写真
テッサやクルなど通過する辺りでは,比較的カルギャック川から離れた場所にトレイルが続いていた.その後,写真のカルギャック川に流れ込む支流の辺りから,トレイルはまた徐々にカルギャック川沿いへと近づいていった.
ギャック川沿いの細いトレイルを歩いていると反対方向から馬の列が近づいてきた.こりゃ困った!
私たちは斜面を少し登り,馬に通過してもらった.
馬の荷を見ると,バーナーなども積まれているからトレッキングパーティのものだ.こうして見ていると,反対向きに歩くトレッカーがむしろ多いのかな~いや,同方向に向かう人達は私たちとほぼ一緒に動いているから出会わないだけかな~
馬の後には,随分大人数,15人くらいのパーティとすれ違った.でもここは幅の狭い場所ではなく,大通りのように広いので何ら問題なし.フランス隊だそうで,男女年齢分布広く,やはり長期休暇の取り易い国なんだな~と思う.
この少し後,カルギャック川に架かる橋を渡り,右岸のトレイルに入った.
右岸トレイルは幅広く,緩やかだ.マニ塚とチョルテンが,殆ど無数に築かれている中を行くと,今夜のキャンプのあるタンザ(Tanza:3,900m)に到着した.美しいところだ.キャンプサイトから少し先にある集落を眺めると,家は数軒程度か.改めて膨大な数のマニ塚とチョルテンとは釣り合わないように思えて仕方ない.よほど信仰心に篤いのであろう.
私たちはタンザに到着すると,直ぐにキャンプサイト脇の茶屋に入って,お茶を頂いた.茶屋は僅かばかりにお菓子類や飲料も置いてあったが,ビールがなく,期待していた人達はちょっとガッカリ.
お店番には14歳というこの娘が切り盛りしている.尤も客は滅多なことでは通らない土地柄ではあるが.マナリのボーディングスクールに在籍し,8月末まで夏休みで,それまで実家のこの店を面倒見るという.クラスは男の子12人,女の子7人だそうで少ない.実家は上の写真の中の住宅で,お父さんは6頭の馬に2頭のヤクを飼っているそうだ.キャンプサイトも父の所有地だそうである.お兄さんもいて,馬とヤクを飼っているが,羊はいないそうだ.将来はコンピュータサイエンスを勉強し,その分野のエンジニアになりたいそうだ.学校にPCが備えられているが,実家にはないそうだ(なお電気は来ていない)
マナリは私たちもこの先訪れる地であるが,ここから5日後に到着予定だ.彼女は2日間で着くという.一体どうやって行くんだ?多分私たちが4日間で歩くコースを1日半くらいで歩き,車の1日を半日くらいで,ただ相当夜遅くまで動いて到着かな?
下は,タンザ到着までの写真
この夜は雲がなく,月の光も弱かった.無数の星や微かに星雲のようなものが見え,南の空を撮るとこんな風に写った.ケーブルレリーズがなく,ブレのため星が尾を引いてしまった.
さて,明日はカルギャックに進むが,どんなところだろう?