このD8:シェリカルカへ編では11月13日マナンを発ち,カンサール,タレゴンパを経て,シェリカルカ到着までの写真と記事を掲載した.
この日もいい天気で明けた.6時半頃になると東向きの山肌が赤く染まった.
このロッジで再び偶然ポーランド青年と一緒になった.今日はトロンフェディ方面に向かうそうで,ティリチョ方向に逸れる筆者とはこれでお別れになる.今度ポーランドに来たらぜひ声を掛けてくれ,と一所懸命誘ってくれた.ありがとう,そのうちお邪魔しなくてはね.
この席で,目玉焼きとそば,と言っても麺ではなく,そば粉で作ったパンケーキのようなものであるが,を初めて試してみた.味のほどは,「う~ん?」,正直言って麺の方が何ぼか美味しいと思うが.....まあ,不慣れなせいかな?ネパールでは,一般に麺にして食べる習慣はないそうであるが,カトマンドゥ辺りの日本食レストランではメニューに揃えているところもあるようだ.
昼食後出発し,マルシャンディを遡った.先方にティリチョピーク,左横にガンガプルナとアンナプルナを眺めながら進む.いや~快適だ.
下は,マナンとここを出て暫くの間の眺め
マナンを出て30分余りか,ティリチョへ通じる吊り橋に至る.これを渡り対岸の上り道を歩く.こちらに渡るトレッカーはメイントレイルに比べればごく少ないようだ.
吊り橋の先にはアンナプルナⅢ峰が見えるが,高い位置にあるためそれ以外にもいろいろ見えて,例えばマルシャンディ下流にはピサンピークやマナスル山系も望むことができる.
対岸を暫く歩くと高台に至る.仮設のような茶屋があってここでミルクティーを頂戴する.営んでいる女性たちは朝早く麓を出て,家畜の草刈を済ませ,自分たちのお茶を準備する傍ら通りかかる客にお茶を供するようだ.脇に刈った草の大きな束を置いてあったので間違いなさそうだ.
ここまで登ると,先ほど渡ったマルシャンディの谷の先にヤカワカン(Yakawa Kang:6,482m)の峰が見えてくる.目指すトロンパスの右手に位置している筈で,一つの目標地点のように思われてそれなりに感慨深い.
対岸を暫く行くとやがてカンサール川(Khangsar Khola)の谷に出合う.ティリチョ湖から流れ出て,マナンの上でマルシャンディと合流する.
そのカンサール川を左手に見下ろしながら行くとカンサール(Khangsar)の村があった.村の中央に,バレーボールができるくらいの広場があるのが印象的だった.こちらに来るトレッカーが多くないためか,ロッジも少なくひっそりとした佇まいに感じられた.
下は,カンサールまでの写真
カンサール川の谷を見下ろしながら進む.川の上流にはティリチョピークを含むグレートバリア(Great Barrier)が名の如くに立ちはだかっている.所々岩肌も見える豪快なヒマラヤ襞もなかなか見事だ.進むに連れ,バリアの左側が拡張されて見えてくる.
カンサールの谷の対岸も面白い.実際に行ったことはないが,写真で見る中国の石林のように切り立った岩が林のように並んでいる.ただこれらの岩は脆く軟らかいようで,午後風が強くなると,この岩場辺りからは大量の砂塵が舞い上がっていた.
やがてタレゴンパまで登った.ゴンパの屋根は金色に輝き,タルチョーが風になびいていた.ガイドGさんによれば,常駐の住職が一人居るそうである.カンサールの村からは相当離れているし,周囲に人家はない.専ら修行のためのゴンパであろうか?
下は,タレゴンパまでの写真,背後はピサンピークやマナスル山系
午前11時頃シェリカルカ(Sheree Kharka)に着いた.比較的最近建設された一軒のロッジがあり,ここに泊まることにした.ロッジは2棟の建物から成り,通りに面した1棟は一部未完成の部屋が残るもほぼ完成,奥の棟は棟上は済んでいるものの内装工事がまだのようだ.
ここに寄って昼食を済ませティリチョ湖方面に向かうトレッカーが数組あった.しかし,ここに泊まる客は筆者一人で,ちと寂しい感じだ.シェリカルカは地図にもガイドブックにも載っていないのでまだあまり知られていないのであろう.
改めて眺めてみると,クーンブ地方(エベレスト地方)で眺めたカンレヤムを彷彿させる.昼近くになり光線の方向がヒマラヤ襞を際立たせるようになった.
時間がいっぱいあったし,も少し奥まで行ってみることにした.ティリチョ湖への道を少し行くと,尾根を通る高い道と谷を行く低い道の分岐点があった.ガイドブックに依ればここは4,050mのようだ.低い道はおよそ半分の時間でティリチョ湖に至るが,土砂崩れの危険性大で,つい最近も行方不明者が一人出たそうで,捜索の軍ヘリが飛ぶ様子が見られた.
ティリチョ湖まで行く訳ではないが,それが望める辺りまでと思い,当然安全な高い道を選ぶ.しかし,少し進むと流された橋に代わって備えられた仮設の丸太橋(左の写真)は凍り付き,怖そうだ.それでも恐るおそる何とか渡る.次に一部土砂崩れで一部欠落した斜面のトレイル(右の写真)に差し掛かった.もっと怖い.半分ほど行ってみたが,脇に掴るものは無いし,戻りは下り坂なのでもっと大変だ.カナジーの実力では危険と判断し引き上げるのであった.
下は,シェリカルカ周辺の写真
夕暮れ時,再び奥の方に上がって,写真を撮ってみた.東にある峰に夕日が当たるが,先ずピサンピークが少し輝き,真っ先に陰った.次にその左にある白い三角形の峰,地図から見るとカングル(Kang Guru:6,990m)であろうか?判らない,が陰った.マナスル三山は高いのでかなり遅くまで赤く染まっていた.
ロッジに戻る頃には身体が冷え切っていた.キッチンのかまどの傍に座らせてもらい暖まる.一応電線はここまで引かれているようだが機能していないのか昼間のソーラー発電による蓄電で,蛍光灯がぼんやり照らしている.
ここでガーリックスープに春巻きの夕食をオーダーしてみた.写真のコックさんが早速調理に取り掛かってくれた.彼はカトマンドゥ在住で,客のある10~12月,3~5月の間だけここで働いているそうだ.キッチンにはオーナーや他の従業員(いや家族か?)も居て,それぞれ担当の仕事をこなしているようだった.
今日も素晴らしかった.さて明日はどんな日になろうか?