このD12:ジョムソンへ編では11月17日ムクチナートを出て,ジャルコット,キンガー,エクレバッティを経由し,ジョムソンに来たときの写真と記事を掲載した.
ムクチナートでもいい天気で朝を迎えた.南にティリチョピーク,ニルギリ(の多分ノース),西にダウラギリとトゥクチェピークがくっきり見えていた.
朝食の後,今日からまた7時半に出発した.この日から暫くは専ら下る一方になろう.ムクチナートは聖地で巡礼者が多いだろうし,トレッカーもトロンパスの向こう側よりかなり多いであろう.道端には朝早くからマフラーやネックレスなど並べ,露店の出店準備に励んでいた.
建物の壁や窓がチベットのそれと少し似ているようだ.もともとチベットから来た人たちが作った村であろうか?それとも,チベット仏教などと同様に文化だけが輸入されたのか?
前ページでも述べたが自然景観もまたしばしばチベット的と形容される.茶色一色の眺めは確かに似ているであろう.さらに,この茶色の世界はモロッコの景色とも似ているかな~とも感じさせる.
ジャルコットを過ぎて少し下るとキンガー(Khingar)の村に入った.周囲にはポプラなどの樹木が生え,この時期は既に茶色一色であるが畑も結構広がっている.ここではヤギの群れを追って村から出てくる人たちに出会った.多分朝家を出て野原の餌場に連れて行き,夕方帰ってくるのであろう.
学校に行く前の時間,道端で真剣な面持ちでノートに書き込んでいた.多分宿題でもやっているのではなかろうか.暗い照明,頻繁に起こる停電,と一般に電力事情は良くないし,こうして明るい戸外で勉強するのは正解であろう.
後ろを振り向くと谷の左にヤカワカン,右にクタンカンが見えていた.その間にトロンパスがある筈で,つい昨日通ったな~,これで間もなくこの2つの峰は見納めかな~とか,感慨無量だ.
下は,キンガー辺りの写真
キンガーからさらに下るとカリガンダキ川の左岸に至る.カリガンダキとは「黒い川」の意味だというが,この日は泥水で大変濁ってた.何でも上流で池が決壊し,濁流が流れ込んだためらしい.「黒い川」と言っても,普段水そのものはきれいだという.これからこの川原,若しくはその脇を暫く歩くことになる.
カリガンダキに沿って歩くと,左手にニルギリ,右手にダウラギリとトゥクチェピークを望みながら下ることになる.ここから見る限り,ニルギリは曲面と曲線が多く,ダウラギリとトゥクチェピークは平面と直線の組み合わせが多い造形だ.
エクレバッティ(Eklobhatti)とは一軒のバッティ(茶屋)と云う意味だそうだ.現在4軒ほど茶屋があるが,地名の源になった元祖バッティ,オールドカクベニロッジ(Old Kagbeni Lodge)で昼食をとることにした.
ここではオニオンスープに,酢ヤクとも言うべき,Yak sweet & sourなるものを頼んでみた.硬いことは硬いが,なかなかいける味で気に入った.大分時間が掛かったが,短時間で出てきたらもっと硬かったに違いない.
オールドカクベニロッジの創業者であろうか,孫の面倒を見ている大旦那が傍らで色々話し,また色々訊かれた.大旦那は67歳で孫は2歳.そうかジャパニーズか,それならコリアン,タイワニーズ,チャイニーズ,ネパーリーズ.....と皆同じルーツ,モンゴリアンだから仲良くしよう!そうですね,と応じる.
下は,エクレバッティまでの写真
エクレバッティを過ぎるといよいよカリガンダキの川原歩きが始まった.ここは昼近くから,川下から上に向かう強い風が名物で,早速その洗礼を受ける.バンダナで口を覆ってはみたが,暫く行くとどこもかしこも砂だらけになる.
まあ,ここ2~3日はこの名物を堪能する以外手があるまい.
やがてジョムソン(Jomsom)に到着した.大きな街で,石畳の街並みはかなり長く続き,多くの店やロッジ,ハイスクール,銀行が揃い,空港もある.滑走路は舗装されているようである.
ジョムソンでもチェックポストが,しかも2箇所もあった.え~と,1つはネパールトレッキング協議会(TAAN:Trekking Agencies Association of Nepal)で,もう1つはアンナプルナ公園管理(ACA:Annapurna Conservation Area)だったか?
2つ目のチェックポストでは,壁に国別統計が貼り出されており,ここで記帳した日本人は昨年(2007年)に705人,今年は10月までに400人余りとあった.
ここではホテルメジャスティ(Hotel Majesty)なる大層立派な名のロッジに泊まった.ここでは,英婦人のガイドと同じ宿になり,「マナンでは,大きな包丁でヤクステーキと格闘してましたね,アッハハ」と,あまりありがたくないカナジーストーリーを覚えてくれていた.確かにあそこのヤクステーキの硬さは尋常ではなかった,テーブルナイフでは歯が立たず,大きなキッチンナイフを用いても.....だったのだ.
左:遠くなったがどうやらヤカワカンのようできれいに焼けた.
右:ニルギリには背面に陽が射し,僅かに稜線が輝いた.
夕方,陽の当たるお向かいのロッジの軒下でブーツを磨いていたオーナーの旦那の隣にお邪魔してみた.以下お話ししたことの幾つか.
下は,ジョムソンまでの眺め
ジョムソンまで下ると,ロッジのメニューや,お店の果物の価格はかなり安くなっている.人力以外の輸送手段が多く使えるためであろう.
この日は疲労のためであろう,左脚腿の付け根が痛くなった.ガイドGさんも脛が痛いとしきりにさすっていた.一晩寝れば回復するであろう.