巡礼15日目:カリオン・デ・ロス・コンデスへday 15:Carrion de los Condes
この巡礼15日目:カリオン編では,2019年5月26日イテロ・デ・ラ・ベガのアルベルゲを出発し,ボアディージャ,カステージャ運河,フロミスタ,ポブラシオン,レベンガ,ビリャルカサルを順次通過し,この日の宿泊地カリオンに到着.ここでアルベルゲを確保し,食事したときの写真を載せました.
カリオン付近のGoogleマップmap around Carrion de los Condes
濃い赤線がこの日歩いたトラック.歩行距離33.9km,歩行時間7h33min.
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イテロ・デ・ラ・ベガの朝morning at Itero de la Vega
イテロ・デ・ラ・ベガの村外れ
5月26日イテロのアルベルゲに朝が来て,皆さんが出かけるのに合わせて私も出発した.
村外れには何の建物でしょうか,外側にも内側にもインパクトある壁画が描かれている.スペインはやはりアートの国ですね.
巨大スプリンクラー
まだ稼働してないが,広い麦畑を移動しながら散水する.とにかくその巨体さには驚く.移動架台は6,7台あろうか,シンクロして進み,その間に配管が通り,所定間隔に散水ノズルが付けられている.
移動架台の動力は電動モーターであろうか.
稼働中の巨大スプリンクラー
この畑では巨大スプリンクラーの稼働が始まっていた.総スパンの両端だけは,下でなく,配管の方向に放水し,装置全長をその分短縮している.
この辺りでKtさんが追いついてきて,やはり興味深いそうにX-T20で撮影していた.
ボアディージャ・デル・カミーノBoadilla del Camino
ボアディージャ・デル・カミーノのエリアに入り小さな運河に交わる
この辺りからボアディージャ・デル・カミーノ(Boadilla del Camino)のエリアに入ったようだ.小さいが水量豊かな運河があり,ここを越える.地形的に可能(例えば畑が運河水位より低い)であれば,運河が運ぶ水がそのまま利用できるのであろう.そうでないときはポンプで汲み上げるとか,上記スプリンクラーなどに供給するなどすることになるのであろう.
広いアマポーラ畑
もの凄く広いアマポーラ畑だ.種子を採るのが目的でしょうか.
この辺りで昨夜アルベルゲで一緒だった,コリアン兄妹ペアに追いつかれ,そして越された.とにかく足の速い人達で,私から見ると競歩並みだ.それと妹Srさんは英語圏の育ちなのか,早口で滑らかに話す(顔は私達と同じ東アジア系).
ボアディージャの村に入る
ボアディージャの村に入ってきた.畑やポプラ並木が近接し,きれいな村だ.
ボアディージャの教会
ボアディージャ村の中程に来ると立派な教会が聳えていた.ヌエストラセニョーラデラアスンシオン教区教会(Parish Church of Nuestra Senora de la Asuncion)と呼ばれるらしい.以前にもあったようにNuestra Senora=ノートルダム=聖母マリア,またAsuncion=被昇天に由来するので,正式ではないが聖マリア被昇天教会と捉えていいのかと思う.
手前の灯籠のような塔は,細かな籠目模様,柱の模様,法輪のような柱頭などとても印象的だ.
内部を含めて14世紀のゴシック様式,ロココ様式,ロマネスク様式などミックスされているようだが,教会内部は見ることができなかった.
ボアディージャの馬
巡礼路脇の丘に栗毛の馬が一頭佇んでいた.家畜として飼育されているのではなく,ペットであろう.あるいは巡礼でお供の最中ということも考えられる.
ボアディージャのポプラ林
ボアディージャの村を抜けるとポプラ林になった.マトリクス状に植えられているので明らかに植林されたものだ.成長速度差が少ないのか,皆同じくらいの高さに揃っている.
カステージャ運河Canal de Castilla
カステージャ運河に出る
ボアディージャから暫く歩くと少し斜面を上り,そして目の前に大きな川が現れる.満々と湛えた水の流れは静かで穏やかだ.カステージャ運河(Canal de Castilla)だそうだ. 18世紀半ばから19世紀半ばにかけて建設され,総延長207kmに達するというからすごいものですね.川幅は11~22m,水深は1.8m~3mだそうだ.
ボアディージャから上った辺りから少し歩くと,写真の船着き場があった.運河のメンテナンス用船舶運行用かと思ったが,看板にはチケットと運賃(ユーロ)表示が載っているところをみると一般人乗船可能な船も運行しているようだ.
カステージャ運河は南側に多くの分水路あり
巡礼路はカステージャ運河左岸土手を歩く.左岸は運河南側で相当歩いたが,南側に多くの分水路が設けられている様子が見える.なお北の右岸側は,農地の位置がこの辺りでは高いためであろう,分水路はなく,水は供給されないようだ.
このようにカステージャ運河は広大なメセタの農地灌漑に貢献しているようだ.
そのうち写真のように右岸側に民家が見えてきた.フロミスタのエリアに入ってきたようだ.
カステージャ運河には小型船が停泊中
カステージャ運河には小型船が停泊中だった.運河メンテナンス業務用か,あるいは一般乗客用か....小型船ながらそれなりのシートスペースがありそうなので客船かな.
さらに下流へと流す水門あり
船着き場の直ぐ先に水門があった.水門の下流は急激に水位を下げ,低地へと流れていく.つまり水門はこれまで歩いて来た上流側の水位を高く保つためのもので,そこから分水し二次運河へと水を供給しているわけだ.
水門から下流は多分標高が低いのであろうから,カステージャ運河も水位を下げて,運んだ水を使い切る辺りまで続くのかな~と思う.
フロミスタFromista
フロミスタの街を通過する
運河を離れフロミスタ(Fromista)の街に入った.巡礼道は大きな通りに沿い,並木を備えたいい通りだ.ただ多分街の中心部から離れているせいか,特段見るところはないように思えた.
高速道交差辺りのサンティアゴ像
フロミスタの街を抜け進むと,高速道と交差する陸橋手前にサンティアゴ像があった.厚い鉄板を撃ち抜いたものだ.幾つかの星はコンポステーラの一つの解釈「星の野」に基づくものでしょう(も一つは「墓地」)
サンティアゴ像先方下側には高速道の走る様子が見える.
ポブラシオン・デ・カンポスPoblacion de Campos
ポブラシオン・デ・カンポスのエリアに入る
フロミスタから続く街道脇巡礼道は継続した.ただ案内板から一応辺りからポブラシオン・デ・カンポス(Poblacion de Campos)のエリアに入ったことを知る.
ただ大変立派なモホンがしつこいほど立っている巡礼道は,上フロミスタ同様村の中は通過せず,街道脇を行くのみで,変化が少ない.
2方向道標
ただ真っ直ぐ歩いていたところに,どっちもサンティアゴへのカミーノと記された道標がある.困った.
多分ここでは単調だと文句を言っているくせに,真っ直ぐに近い方向を選択したと思う.単純な方が間違いが少なかろうと.
レベンガ・デ・カンポスRevenga de Campos
レベンガ・デ・カンポスの村に入る
レベンガ(Revenga de Campos)の村に入ると間もなく,公園広場があり,周囲には住宅や教会があった.
公園の木はまだ小さく,整備されたのは最近であろうか.ゴミ箱が設けてある.まだこの辺りでは爆発物など入れられる心配は少ないのであろう.
教会鐘楼前面に穴を穿ち,時計を埋め込んである.ただ残念ながらあまり美しい加工ではない.屋根にはコウノトリが巣を作っている.やはりコウノトリは教会が好きなのだ.
サンロレンツォ教会礼拝堂
教会の名はサンロレンツォ教会(Church of San Lorenzo)ということだ.入り口が開けてあったので中を見せてもらった.
内部は比較的コンパクトで,キンキラ感は少なくさっぱりした印象だ.
なおサンロレンツォは,国によって例えばセントローレンスなどと,呼び方は変わるが,カトリック教会のみならず正教会,聖公会,ルーテル教会すべてで崇敬される聖人ということだ.
ヤコブ像
公園の角にこの像があった.サンティアゴではなく,JACOBEO 2004と記してあるところが面白いですね.
また2004年はサンティアゴデコンポステーラ大聖堂の聖門が開かれる特別の年だったようですね.そうした年は巡礼者の数が増えるということだ.
また街道並行の巡礼道になる
レベンガを過ぎ,また街道並行巡礼道を歩く.そして先方に直ぐ小さな集落が現れる.ただここは街道並行巡礼道そのまま続きあまり変化なく通過.
ビリャルカサル・デ・シルガVillalcazar de Sirga
アマポーラ畑の先にビリャルカサル・デ・シルガの村
巡礼道脇にはまた広いアマポーラ畑があった.きれいだ.そしてその先にビリャルカサル・デ・シルガ(Villalcazar de Sirga)の村が見えてきた.
ビリャルカサルの村を通過
巡礼道はビリャルカサルの村に入り,両側の家並みを眺めながら通過した.
この村も歩いている人は殆ど見かけず,遊ぶ子供の姿もない.やはり発展途上国でもない限り,こんなものであろうか.
間違いなさそうなところに立派なモホン
この一本道は先ず道間違いは起こりそうもないが,立派なモホン(道標)が密に立てられている.車止めを兼ねているのかな.とても親切な自治体だとは思いますが.
カリオン・デ・ロス・コンデスCarrion de los Condes
カリオン入り口の教会跡
いよいよ今日の宿泊地カリオン・デ・ロス・コンデス(Carrion de los Condes)に入ってきた.この建物の入口が開放されていたので見せてもらう.
教会修復中の男性
男性が木材を加工中だ.そしてここが廃れた教会跡で,男性が修復作業を行っているのだという.今日は日曜日でクリスチャンは本来休みの筈だが,男性は曜日に関係なく毎日ボランティアで,ここの修復作業に就いているという.
廃れた教会を復旧するのに人生を捧げる,といった意気込みが感じられた.
ほぼ修復された主祭壇
主祭壇は概ね骨組みは出来上がったようだ.まだ聖母子像の両側など空白になっているので,追加されるのでしょう.
また写真に入ってないが側面の壁にはフレスコ画が一部残っており,落ちた部分の修復なども図りたいということだ.
なお,ミュニシパルアルベルゲはこの時間だと多分いっぱいになっていようから,この道先の修道院アルベルゲがいいよ,と推薦される.これはそのまま受け止めて,修道院アルベルゲに行くことにした.
も一つ,カリオンで一番いいレストランを紹介したいが,間もなくシェスタで閉まる,もし直ぐ行けるなら電話して上げるけど,どうかと訊かれる.ただこちらは慌ただしくなるので,結構ですとお断りした.
終わりに,お礼を述べ,小さなザルにコインをいれ,クレデンシャルにスタンプを押してもらった.とにかくとても親切な方だった.
男性お勧めの修道院アルベルゲに着く
修道院アルベルゲ(Monasterio de Santa Clara/Albergue de peregrinos del Convento de Santa Clara)は修復中教会の直ぐ近く,6,7分だった.レセプションは無人だったので,ボタンを押すかなにか信号を送ると,係の管理人オスピタレロが現れた.そして早速登録を頼もうとパスポートとクレデンシャルを出そうとしたら,パスポートがない.そうか,さっき修復中教会でスタンプを貰うとき,ビニ袋からクレデンシャルを取り出した際,その中にパスポート残し,そこに忘れてきたのだ.
私の次の順番のメキシコ女性が,ザックは私が見てますから,と言ってくれるので,お願いし,そして修復中教会に行き,ビニ袋のパスポートを持ち帰った.皆さんお手数かけました.
さて再びレセプションに来ると,オスピタレロから説明を受ける.ここには個室が25ユーロであるというので,すぐそれにする.またランドリーは洗いとドライヤー合わせて4,5ユーロだったか,そして台数が少ないためであろうが,洗濯物はバスケットに入れ,ランドリー室に置いておけば,全部その人が終わりまでやってくれるという.お願いします.
修道院アルベルゲの部屋
修道院アルベルゲの個室はツインの部屋だった.アルベルゲに個室があるとは知らなかったので驚いた.ベッドメークは済んでおり,今日は初めてシェラフなし,毛布で眠れる.
バスタブあり
何よりバスタブが付いていたのは嬉しかった.熱いお湯は十分出るし,個室なので気兼ねなくゆっくり浸かれた.
この個室の欠点もある.建物に入るとき,2階に上がる入り口,部屋に入るとき,合わせて3つのキーで開ける必要があることだ.なお出るときはキー無しで開き,オートロックされる.
修道院アルベルゲの中庭
正面がレセプションのある場所,その反対側2階が私の部屋のある棟,右側がランドリーや休憩室のある棟,左側は....不明.
右側ランドリーのある棟に入るにはドア右側窓枠にキーが置いてあるので,それで開け,入った後にその窓の内側から置いておくルールになっている.で,最初予約したように洗濯物を持ってランドリーに行くため,キーを窓枠から取り,キーを回すが,どうしても開かない.ガシャガシャやっているうちに,中の休憩室にいた 女性が見かねたようで,内側から開けてくれた.グラシアス.どうやら,私だけでなく開けられない人は多いようで,いや,毎度のことで,とおおらかな方だった.そしてバスケットに洗濯物を入れ,その旨例の管理人に伝えて帰る.
2時間ぐらい経ったか,そろそろ終わったであろうとランドリーに行ったら,まだ終わっておらず,あと少し時間が要るようだ.待っていよう.
ランドリー近くの狭い中庭があり,物干し紐が架かっている.そこで洗濯物を下げている女性がいたので話を交わす.女性はペルー出身で,バルセロナに移り住んで12年になるという.私が日本人ということで,フジモリ元大統領に話が及ぶ.彼は今ムショの中だ,当然だ.彼の娘ケイコも間もなく同じ運命を辿るだろう,と言う.私はフジモリ一族を日系移民,その子孫としてしか見ていないので,このただならぬ口調の罵りには些か驚いた.既にペルーを離れて12年に拘わらず恨みは衰えないのであろう.私は,そうですか....としか返しようがなかったが.
聖マリアンナ教会
カリオンの目抜き通り方面に行ってみた.そこには教会修復男性が電話で予約しようかと言ってくれたレストランがあった,ただやはりまだお店が開くには大分先のようだ.そのレストランの通りを挟んで向かいには教会があった.そしてそこを90度回ると写真のビューになった.名称は聖マリアンナ教会(Church of Santa Maria)のようだ.
聖マリアンナ教会礼拝堂
教会は扉を開けており,中を見せてもらった.12世紀半ばの建立,ロマネスク様式で,名の通り聖マリアを祀る教会であろうが,すっきりした祭壇だと思う.
バーレストランに寄る
レストランを併設する赤い布庇のバーに寄った.ここのマスターはとても好意的でいろいろ注文を聞いてくれる.先ず最も手軽な巡礼者メヌーができるか訊くと,OKとのことで,カウンターではなく,テーブル席に案内される.
巡礼者メヌー
これがオーダーした巡礼者メヌー.最もありきたりの一の皿はミックスサラダ,二の皿はビーフ,デザートはアイスだ.
先ずワインは丸ごと一本持ってきて,テーブルでポンとコルクを抜いてくれた.味のほどは私には十分美味しかったし,フルサイズ一本というのが好きだ.
サラダは普通に美味しく,ビーフはTボーンステーキでもないのに「骨があるやつ」だ,という感じ.アイスは例によって買ってきたまま出したと思われるが,ちゃんと金属スプーンが添えてある.
アルベルゲの管理人から,明日は17kmの区間何もないから,食料と水を持って出発するように,とアドバイスを受けていた.
そこでここのマスターにto-goのボカディージョができるか頼んでみた.そしたら,マスターはまな板に大きなバゲットを載せ,包丁を添えて,テーブルに置き,包丁をバゲットの上に置き,それを左右に移動しながら,どれくらいの大きさにする?と尋ねた.とても解りやすく,言い違いとか起こりにくい方法です.私は包丁を手に取り,半分くらいの位置に置き,これくらいでとお願いした.挟むのはベーコン(または生ハム)とレタスとチーズあたりであっただろう.
ということで,持ち帰りボカディージョをアルミホイルに包んでもらい,満足して修道院アルベルゲに帰った.
なお翌日歩いたとき,17kmより手前にカフェと移動販売車があったが,予め用意していた方が心配せずに歩ける.