巡礼2日目:ズブリへday 2:Zubiri

この巡礼2日目:ズブリ編では,2019年5月13日ロンセスバージェスのアルベルゲで朝を迎え,朝食後ブルゲーテ,エスピナルを通過し,メスキリッツ峠を越え,ビスカレットを経て,ズブリへと至り,同街でアルベルゲを探し,ベッドを確保し食事に出たときの写真を載せました.

ズブリ付近のGoogleマップmap around Zubiri

濃い赤線がこの日歩いたトラック.歩行距離24.34km,歩行時間5h48min.

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ロンセスバージェスの朝in the morning at Roncesvalles

5月13日ロンセスバージェスアルベルゲの朝6:00時,何やら音声が流れ,そのうち大きな音声の音楽が流れてきて,皆起床した.昨夜顔を合わすことなく眠りに就いた隣のベッドには初対面の若い女性がいた.オーストラリアから来たそうで,昨夜はカードゲームに興じて遅くなったそうな.

それは楽しそうですね.そして片足に懸命にテーピングを施している.聞けば一週間前のテニスプレイで怪我(捻挫か何か)したそうで,このカミーノを予定していたに拘わらず大事を取らなかったのがまずかった,と反省している.でも若いから回復は早いでしょう,これからもケアしながら歩いて下さいね.

ロンセスバージェスの朝食

ロンセスバージェスの朝食

支度し,昨夜夕食を摂ったレストランに行く.食券には開店時間が記されておらずどうやら7時からのようで,しばし待つ.実際は7時10分くらいに開けてくれた.

食事内容は写真の如く簡便な,所謂ヨーロピアンスタイルである.ここでは台湾男性のSnさんと相席になり,2,3言葉を交わし,この日以降あちこちで再会することになる.Snさんは若いがさる有名会社の台湾法人で要職を務めていたが,辞めてこのカミーノに出てきたということだ.日本には20回位観光で訪れたことがあるが,日本語ができないので,日本語を学びに7月から来日予定と言っていた.


朝食後カミーノトレイルに入る

朝食後カミーノトレイルに入る

朝食後,車道を挟みレストランと反対に位置するカミーノトレイルに入っていった.十分明るくなっているのだが陽の位置が低いためシャドウ気味に写ってしまった.

一枚の写真でもこれだけ大勢写っているので,仏カミーノの人気振りが知れよう.


ブルゲーテへwalk to Burguete

清々しい巡礼路

清々しい巡礼路

巡礼路はブルゲーテへと向かって進んだ.巡礼路はしばらく車道N-135線に間隔を置いて平行に設けられているようだが,林の中を行く実に清々しいトレイルだ.

また路面も泥濘などなく,よく整備されている.中世からあったトレイルか,あるいは大きな車道ができるのでここに新規に設けたか,いずれにしても専用路を設けてあるのは素晴らしい.


十字架もあり

十字架もあり

前日も遭遇したが,こちらでもやはり種々十字架が見られる.写真のように大きなものはあまりないが,手作り感のあるものや,教会の辺りでは種々よく見かける.


ブルゲーテのオフィシャル落書きか

ブルゲーテのオフィシャル落書きか

そろそろブルゲーテの村に入って来たようだ.そして塀に大きく描かれた一見落書きのような絵があった.でもなかなか手の込んだ絵で,右側にブルゲーテ(Burguete)の文字も入っている.これは落書きではなく,村のオフィシャルな広報画であろうか.左側の火の手と風の様子からすると「火の用心」の呼びかけのような....違うかな.


大通りに出る

大通りに出る

ブルゲーテの村に入った辺りで,一旦巡礼路は車道と一緒になった.とは言っても車の交通量はごく疎らで,安心して歩ける.


ブルゲーテの村を縦断する

ブルゲーテの村を縦断する

少ししてブルゲーテの村(の市街区)を縦断するようになった.建物は押しなべて石造り,白い漆喰で塗られ,赤い切妻もしくは寄棟の瓦屋根だ.

諸構造体の石は,角部やドアや窓の開口部周辺は大きな直方体の石が積まれ,それ以外は小さな石が漆喰で固められた構造のように見える.壊れかけた建築物を幾度か眺めているうちにそのように感じられた.


ブルゲーテの教会

ブルゲーテの教会

村の中ほどに教会があった.中を覗いて見たかったがあいにくドアは閉ざされていた.ファサード上部の時計は8時過ぎで,まだ開かないのであろう.

時計の上が多分鐘楼であり,全体としてシンプルなデサインであるが,積み上げた石材は皆一様なサイズで,窓は小さ目で,漆喰に頼ることなく維持する設計のように見える.また見た目の色合いなどからして比較的新しい建設であろう.

なお私は甚だ疎いのだが,かの文豪アーネストヘミングウェイはよくブルゲーテに滞在し,少し離れた川でマス釣りを楽しんだということだ.滞在した宿や,よく訪れたバー(バル)は今もあるそうだが,私にはどれか判らなかった.


エスピナルへwalk to Espinal

木橋を渡る

木橋を渡る

ブルゲーテを抜けると次はエスピナル(Espinal)の村だ.少し歩くと川に出合い,そこに架かる木橋を渡った.この日はよく晴れて,まあ絵のような光景だ.


牧場の中を巡礼道が通る

牧場の中を巡礼道が通る

橋を渡ると次は牧場の中を歩いていた.つまりカミーノ,巡礼道は牧場を通過しているわけだ.ただこれが初めてとかでなく昨日来,トレイルの設けられた家畜止めの柵床や,あるいは家畜止め開閉扉には幾度か出くわしてきた.それらが概ね林の中で,今回は原っぱであることが新規だ.


前日降った方向を眺めて見る

前日降った方向を眺めて見る

前日ピレネーから降ったロンセスバージェスの方向を振り返って眺めてみた.ロンセスバージェスは標高950mくらいであるが,この辺りはそこから若干下ったようだ.たが緩やかな山並みを見るにあれがほんとに下ってきたところかな....と,細かいところまでははっきりしない.

手前の鉄条網で囲われた牧場はとても広々し,僅かな頭数の牛が向こうの方に見える.トレイル近くには牛の給水樋が置かれ,所定の時間になると水が入れられ,牛が集まってくるのであろう.そこだけ草の剥がれた様子から牛の集まり具合が目に浮かぶようだ.


大きな石の橋

大きな石の橋

牧場に先には小川が流れ,バカに大きな石の橋があった.これだけ大きければ雨季の洪水で流されることもなかろう.


また美しい林に入る

また美しい林に入る

トレイルはまたまた美しい林に入っていった.路面はきれいで幅もあり,並んで歩いている人も多い.自転車巡礼者も脇をすり抜けて行く.


モダンデザインの教会

モダンデザインの教会

さてここはエスピナル村の一画であろうか.鋭角の頂角を持つ二等辺三角形屋根の下に,三角形底辺と同サイズ四角形を置いた,シンプルでモダンデザインの教会が見えた.エスピナル村が郊外へと広がったので教会も新しく建てられたのでしょうか.


巡礼路は右折

巡礼路は右折

とっても親切で判り易い道標だ.T字路なので左右どちらか一方と簡単なのだが,この一部区間は車道と共用になっているため,歩き巡礼路もこちらですよ,と親切にしてくれているのだと思う.


エスピナル村中心部

エスピナル村中心部

多分この辺りがエスピナル村中心部なのであろう.白壁の家,背後の牧場,林の緑,青い空が調和して美しい.

アルベルゲの看板も見える.昨晩ロンセスバージェスに泊まらなかった健脚者はこの辺りまで歩き,泊まったのであろう.


メスキリッツ峠cross the Mezkiritz pass

馬の牧場

馬の牧場

エスピナルを過ぎるとまた牧場地帯に入った.ここは珍しいことに牛ではなく,馬の牧場だ.可愛い子馬も多くいる.


メスキリッツ峠

冠水したトレイル

トレイルが冠水している.橋を架けるほどの水量がないため,トレイル上を流す方式にしているのであろう.

ただ左の巡礼者は,はてどこを渡ろうかと思案している.


分岐点の道標

分岐点の道標

分岐点があった.ここもしっかりした道標があり,先ず間違いなく進むことができる.ありがたい.


小さな集落を通過

小さな集落を通過

小さな集落を通過した.一戸々々の住宅はバスク様式で,大きく立派なものだ.分別ゴミのコンテナーは普通に大きいので,大型収集車が要る.小さな自治体では大変そうだ.エスピナル村の分村なのであろうか.


メスキリッツ峠に上る

メスキリッツ峠に上る

そのうち上りに入った.久しぶりのまとまった上りだ.そしてピンポイント的にははっきりしないが,メスキリッツ峠(ezkiritz pass:922m)に上ったようだ.


メスキリッツ峠近くの松林

メスキリッツ峠近くの松林

メスキリッツ峠を過ぎると,この辺では割と珍しい松林があった.松は細く,真っ直ぐ高く伸び,私の記憶イメージ,つまり曲がりくねり大地にしがみついている,とはかけ離れている.ひょっとして松ではなく,違う木かな....


ビスカレットwalk to Viscarret

ビスカレット辺り

ビスカレット辺り

メスキリッツ峠を越え,しばし進むと小さなオープンカフェが開店していた.ビスカレット村の端になるのであろうか.ここで朝食の人も結構いるようだ.


緑のトンネル

緑のトンネル

またも緑のトンネルに入った.いや~最高の眺めだ.


林を抜け牧場を見下ろす

林を抜け牧場を見下ろす

緑のトンネルを抜けると,山々に囲まれた牧場を見下ろす場所になる.ここは牛が放たれているようだ.

距離に比例し緑から青に変わっていく山並みの色合いも見応えがある.


のこぎり歯状路面を持つトレイル

のこぎり歯状路面を持つトレイル

暫く行くとのこぎり歯状,つまりワールドワイドウェブでもないのにWWW状断面を持つ岩石の路面を持つトレイルとなった.高々数十mの区間であるが,面白い形になったものですね.


ズブリへgo to Zubiri

ズブリの街に至る

ズブリの街に至る

しばらく歩きズブリの街入り口に至った.入り口にはアルガ川(Arga)が流れ,石の橋が架かっている.

石橋は太鼓状に湾曲し,車も通る.そしてこの辺りで「同行二人の菅笠」男性に出会った.男性はかつて川崎など関東で過ごしたが,現在は関西に住まい,70歳になったそうだ.実はこの方は朝ロンセスバージェスのレストランで食後,巡礼路に入るとき他の3人と一緒で,そぼ先頭に立って歩き始めた人だった.その時はお早うございます程度の挨拶を交わしただけだったが,菅笠なのではっきり思い出せた.他の3人はこの場に居合わせなかったが,後日別の場所で再会し,Nhさん,Stkさん,Ctkさんであることが判った.

ただ肝心の菅笠男性は,歩くのが凄く速いようで,とっくに到着し直ぐに飲んだそうで「いや~すっかり出来上がっちゃった,時間があり過ぎるから次の街に行こうかな」と言いながら,実際歩きを再開し,次に行ったようだ.そのことは上記3人に後で聞いた.

ところで菅笠は大変目立つので印象に残る.菅笠の人には,超高速上記男性(これを最後に再会することはなかった)以外に,後半になってあとお二人に出会うことになった.


歴史のありそうな石橋

歴史のありそうな石橋

太鼓橋はかなり歴史がありそうな形態なので,河原に降りて眺めてみた.基本的には石を漆喰で固めた構造で,古代ローマ時代から受け継がれた建設様式の流れであろう.


太鼓橋の先

太鼓橋の先

太鼓橋の先からズブリの街が始まり,ここには集合住宅,スポーツ店,満室だがペンション,バルなどが並んでいた.人通りは少なくとても静かだ.


ズブリの街town of Zubiri

ズブリの街を通る街道

ズブリの街を通る街道

上記太鼓橋からの小規模なお店街の終わりには鐘楼があった.時計も掛かり,1時25分を指している.横の建物は教会のようには見えない形態だが,でも教会なのかな....

そしてこの辺りでアルベルゲの場所を訊くと,街道を右に行き,その道の右側にあるそうで,先ずは行ってみることにした.

そしてその近くまで行き,再度別の人に所在を訊いたところ,現在は閉館し,宿泊できないということだ.がっかり.それなら別のアルベルゲは近くにないでしょうか?とその人に訊ねたら,「あの辺にありますよ」と,今しがた歩いてきた方向を指さしてくれた.ありがとうございます.


紹介されたアルベルゲに行く

紹介されたアルベルゲに行く

女性に紹介されたアルベルゲ(Albergue Segunda Etapa)はすぐ近くだった.ちょっと先に見えている建物がそうらしい.

ただアルベルゲの看板は控え目で目立たず,一,二度その前をウロウロした.


アルベルゲにチェックイン

アルベルゲにチェックイン

入り口が分かり,入るとレセプションには担当女性がいて,すぐチェックインした.16ユーロと若干高めだが簡単な朝食が付くそうだ.そしてシーツセットなど受け取り,シャワーなどの案内を聞き,また建物入り口ロック解除の暗証番号を聞き,二階の寝室に上がる.2段ベッドが4台であったか,まだ客は少なく,窓際の明るい下段にシーツを張った.


ズブリのTABERNA

ズブリのTABERNA

昼過ぎなので食事に出かけた.早速TABERNAが見つかった.ギリシャなど同様レストランであるが,食べるな!と言われているような気も.....と,こじつけてここはパス.

ズブリにはあまりレストランとか多くない.


幸い近くにバルあり

幸い近くにバルあり

幸いTABERNA近くにバルあり,ここに入る.カウンターにはタパス(小皿料理)などが並んでいたので,2,3選び,ビールは生ではなく,冷蔵ケースに大きな瓶があったのでそれを頼む.


テーブルで食べる

テーブルで食べる

カウンターでなく,テーブルに座った.大きなビール瓶は何と1リットル入りだ.この後バルには幾度となくお世話になるが,ビール瓶は概ね小瓶若しくは小振りの中瓶で,日本の中瓶以上のサイズは殆ど見ない.そんな中で1リットル瓶があったのは嬉しい.

ビール(セルベッサ)のブランドはいくつかあるが,アルコール度数は薄くなく,アサヒとかと同様で,味もいいと思う.


次は夕食に出かける

次は夕食に出かける

一旦アルベルゲに戻り,休んでいるうちに今度は夕食時間になった.泊まっているアルベルゲにカフェやレストランはなく,また外を歩いてみる.そして直ぐ近くのアルベルゲにレストランの案内が出ていた.

そしてレセプションで,席が有るかどうか訊ねたら,このレストランに案内してくれた.

カトリック風インテリアで囲まれた部屋には,既に大勢の巡礼者が食卓に着いていた.このアルベルゲのお客さんが多かろう.聞こえてくる大声の言葉からするとアメリカ人が多そうだ.


出してもらった巡礼者メヌー

メヌーを注文したら順次以下を出してくれた.ワイン(ビーノ,vino tinto)はデカンタでハーフボトルの量であろう(なおスペインではハーフボトルは売ってないようで,スーパーなどでもなかった).メインは骨付きポークチョップだ.

赤ワイン野菜サラダスープ
煮込み野菜骨付きポークチョップりんご

デザートはXX,XX,....の中のどれにしますか?多分そう言われたので,よくわからない,いや全くわからないので,それ,それで願いますと応えたら,りんごが皮付き丸ごと出てきた.まさかと思いながら,切れないナイフで必死に剥いたのだった.