巡礼6日目:ロス・アルコスへday 6:Los Arcos

この巡礼6日目:ロスアルコス編では2019年5月17日エステージャのアルベルゲを出発し,アジェギ,イラーチェ,アスケタ,ビジャマヨールと順次歩き,ロスアルコスに至るときの写真を載せました.

ロスアルコス付近のGoogleマップmap around Los Arcos

濃い赤線がこの日歩いたトラック.歩行距離22.37km,歩行時間5h9min.

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エステージャの朝morning at Estella

朝早くエステージャを出発

朝早くエステージャを出発

この日エステージャの朝もつられて早起きして,出かけた.

エステージャのサンペドロデラルア教会は城塞でもあったことは前に記したが,街全体も要所要所には城壁が築かれ,写真のような城門が設けられていたようだ.

この日の天気予報は雨であるが,今のところ弱く,大したことがない.このまま済んでくれればいいのだが.


アジェギ辺りAyegui

アジェギ入り口

アジェギ入り口

エステージャの直ぐ隣村がアジェギ(Ayegui)で,その標識が掲げてあった.Ayeguiの下にAiegiも併記されているが,これはバスク語なのでしょうか?

それはいいとして,シェルマークkm100とあるが,これは一体何の距離を示しているのだろう.エステージャからの距離ではないし,次の村への距離でもないし,もちろんサンティアゴまでの距離でもない.まあいいか,そんなこと.


雲が垂れ込め,アジェギはまだ暗い

雲が垂れ込め,アジェギはまだ暗い

まだ6時半と早いし,雨模様の空には雲が垂れ込め,アジェギの村はまだ暗い.

特段変わったところがなかったか,あるいは周りに目もくれずひたすら歩いたせいか,村の印象は弱い.


イラーチェ辺りIrache

イラーチェのワインの泉

イラーチェのワインの泉

やはりひたすら歩いたのであろう,巡礼者には有名なイラーチェ(Irache)はワインの泉に着いてしまった.

だが時間が早すぎて,鉄格子の扉は閉ざされ,ワインは頂けなかった(涙).私以外に6,7人いたが皆一様に残念がる.慌てる乞食は貰いが少ない,を地で行ったようなものかな~

写真は鉄格子の間から撮ったもので,左がワインの蛇口,右が水の蛇口という.蛇口の上のレリーフはサンティアゴであろう.


イラーチェにはワイン博物館もあるようだ

ワイン博物館もあるようだ

ワイン博物館もあるようで,看板が出ている.ここも開館時間に訪れればテイスティングできそうですね,多分.ゴクリ!


イラーチェのワイナリー

イラーチェのワイナリー

ここは先のワインの泉を提供しているワイナリーかどうか不明だが,こにかくワイナリーである.

建物の規模からすると大手酒造メーカーの工場ではなく,地酒メーカーといった趣だ.


イラーチェを抜ける

イラーチェを抜ける

イラーチェの村を抜けると畑作地帯となり,車道下トンネルを潜った.トンネル断面はちょっと稀なおむすび型だ.


アスケタ辺りAzqueta

広大な麦畑

広大な麦畑

やがてアスケタ(Azqueta)のエリアに入っていった.いや~実に広い麦畑がメセタ上に展開されている.

向こうにぼや~と見えるのがアスケタの村であろう.


アスケタの村に入る

アスケタの村に入る

そしてアスケタの村に入ってきた.入り口の住宅壁には村名標識が架かっている.

こうした村名標識,カミーノ道標,配電や通信ケーブルの敷設などに対して,概してスペインの人たちは協力的だと感じる.


アスケタの村を抜ける

アスケタの村を抜ける

アスケタの村は小さく,あっという間に抜けた.そしてまた傾斜地に展開される麦畑に入っていった.自転車巡礼者も気合いを入れて坂を上っている.

自転車の先に2つアーチ,切妻屋根の建物が見える.ムーア人の泉(Fuente de los Moros)と言われるそうだが,レコンキスタ前,イベリア半島がムーア人に支配されていた頃からのものでしょうか.ただしモズレムの泉なのでワインではありえず,水である.なお今は機能していないが.

この先辺りから雨脚が強くなり,バス停のような小屋に一時退避した.ここで長身コリアン青年Soさん(名は後に聞いた)から「お腹空きました?」と訊かれ,ええそうですね,と応えた.やはり腹減ったような顔してたのでしょうか.そしてSoさんはザックを下ろし,中からチョコバーを取り出して私にくれた.ごちそうさまでした.Soさん(後で聞くと壮年とか中年に属するようだが)は奥さんと一緒で,以降あちこちの道やアルベルゲで一緒になる.


ビジャマヨール辺りVillamayo

ビジャマヨールの村に入る

ビジャマヨールの村に入る

そのうちビジャマヨール,正しくはビジャマヨールデモンハルディン(Villamayor de Monjardin)の村に入ってきた.

そして直ぐに聖アンデレ教会(Church of San Andres)脇の通りとなった.残念ながらドアは閉ざされ中の様子は見えなかった.

石畳の通りはきれいに色石でラインが引かれている.ただ少なくとも今回歩いた街では視覚障害者用誘導ブロック等は見当たらず,多分今後の課題かな~と思う.


個性的なカミーノ道標

個性的なカミーノ道標

この家のオーナーがデザインし,掲げたのでしょうか,とてもユニークだ.四国遍路では笠に杖のお遍路の道標多いが,ほぼ同じコンセプトだ.ただ少し前にできたのか,くわえタバコには若干抵抗ある人も多くなったと思う.


ブドウ畑脇を行く

ブドウ畑脇を行く

ビジャマヨールの村を過ぎると,また畑地帯になった.ここはブドウ畑だ.ブドウ畑は麦畑に比べて面積は小さいが,それでも結構広い.収穫期なら摘んでみたい,そして私の場合実行しそうだ.危ない.

この辺りで前を行く女性がカッパの袖口から,数珠のようなものを下げている.チョコバーをくれた青年に,あれは数珠ですか?と尋ねると,いやロザリオです,ということだ.数珠状リングの先にクロスが付いており,そこを握りしめて歩くようだ.そしてその人は青年の奥さんだった.これを握って歩いている人は少なくともカトリック教徒で,多くないが,たまに見かけた.


靴の置かれたカミーノ道標

靴の置かれたカミーノ道標

靴の置かれたカミーノ道標(モホン/Mohon)があった.これはここだけでなく他でも見かけるのだが.....どういった意味合いなのでしょうか.なお靴でなく,石を置いたのはもっと度々あるが,そちらはケルンを積むのと同様かと思うが.


ビジャマヨール辺りのブドウ畑

ブドウ畑

古株ブドウの木から,新しい芽が出て,小枝に伸びている段階ですね.地面の雑草はきれいに取り払われているが,蔓を這わすワイヤはまだ張られておらずこれからのようだ.実の収穫期は遅く,ワインの仕込みも例えば貴腐ワインのように遅いタイプなのでしょうか.


ビジャマヨール辺りの麦畑

こちらは麦畑

いつも見ている麦畑だが,良く育ち伸びていますね.脇の野生(雑草)ポピーが単調さに彩りを添えている.


ロスアルコスに至るarrive at Los Arcos

ロスアルコスの街に入る

ロスアルコスの街に入る

中央に排水路のある狭い石畳の道の両側に住宅やお店が並んでいる.建物は石でなくレンガ作りで,漆喰で固められ,表面が塗られた構造が多くなってきたように見える.ただ中世的景観はこれまで見てきた他の街,旧市街同様な雰囲気で,なかなかいいと思う.

この辺りではウイニーさんという,同方向に行く人と会い,雨はまだ上がりませんね,アルベルゲはどっちでしょうね,などと言いながら2,3度間違った道に入りながらも,直ぐ気付き戻り進んだ.


ロスアルコス聖マリア教会

聖マリア教会

さて正しい方向に道を行くと,バーレストランが2,3軒,道路を挟み向かいに写真の聖マリア教会(Church of Santa Maria)という大きな教会があった.今開いてないようなので後で来てみよう.


城門から出る

城門から出る

バーレストランと聖マリア教会間の道を行くと,写真のような城紋のようなレリーフ(3つもあるが)の付いた比較的小さな門があり,くぐり抜ける.門の両サイドは城壁的であり,やはりさっき通ってきた旧市街を含めて砦を形成していたのであろう.

門の外,つまり城外には横断歩道が見えているように外環道路が通っている.


アルベルゲに至る

アルベルゲに至る

外環道路を渡ると直ぐにアルベルゲ(Albergue de peregrinos Isaac Santiago)の敷地,庭になる.そして入り口に行くと,10人位の人が屯している.12時から受付け開始ということで,玄関口で待つ.幸い屋根があったのでカッパを脱ぐことができた.

そして巡礼靴を脱ぎ,手持ちのサンダル等に履き替えて中に入るよう念入りに注意を受け,中に入り,並ぶ.

自分の番になり,クレデンシャルとパスポートを提示し,ベッド番号を分けてもらう.年寄りなので下段を....というと,若い,私は85歳,秋には86よ,と言う.確かにすごいですね,驚き入りました.

そして別の担当者にシーツなどもらい,キッチンやダイニングルームなどの案内を受ける.


アルベルゲのベッドルーム

アルベルゲのベッドルーム

ここが2段ベッド並ぶベッドルーム.まあごく普通のアルベルゲだと思う.

なおここでは偶然隣のベッドにカルガリーのWyさんが入ってきた.ペルドン峠を下るとき以来の再会だ.Wyさんはまめ(肉刺)ができかけているのか足の手入れだ.いろいろ話してみたが72歳というので私と同じだ.でもなんぼか体力ありそうだ.

なおこのアルベルゲは庭を挟んでもう一棟あり,全部合わすと結構なベッド数がありそうだ.


ピザ買ってくる

ピザ買ってくる

暫くして,さてレストランに行ってみるかと,聖マリア教会向かいのバーレストランに出かけた.しかし2つのお店とも料理はこの時間はできないという.がっくり.

仕方ないのでウィニーさんと旧市街を歩いてきたとき,ピザ屋のあったことを思い出し,そこに行ってみたら,切り分けたピザがあったのでビールと共に買ってきた.ただし,両者ともこれでは不足だった.


ダイニングルームに入る

ダイニングルームに入る

少なくとも本館のダイニングルームは狭目だ.でも一つ空いていたので座らせてもらう.

隣の席はイタリアン男性で,現在ミラノ在住だが,生まれ育ちはシチリア島だという.ほう,マフィアの故郷ですね,あのゴッドファーザーのような世界は今もあるのですか?と正直に訊いてみた.

すると,現代は全く変わりました.つまりあのような縄張りを巡る暴力抗争,その利権...といったことはなくなり,現代は「政治」がマフィアのテーマになったのです.つまりビジネスモデルが完全に転換されたのです,ということだ.それはそれで問題はありそうだが....

テーブルの向こう側はコリアンというので,キムさんでしょう?と訊くと,チェンさんとのこと.キムさんが多いので当たることが多いのだが.もう一組はオレゴンから来たというご夫妻.

ビールもピザもなくなったが,そこは大丈夫.ビールや,アップルパイ程度だがダイニングルームには自販機が備えられ,しかもお店より安いくらいだ.


夕方聖マリア教会に行ってみる

夕方聖マリア教会に行ってみる

夕方になり,そろそろ開いているだろうと,聖マリア教会に出かけた.ロマネスク様式であろうが,アーチ型入り口門(部分門)が開き,入ることができた.

入り口のアーチは大理石であろうか白く,細かいレリーフが刻まれ,ドアは鉄鋲を打ち込んだ木製だ.


ロスアルコス聖マリア教会主祭壇

聖マリア教会主祭壇

入ってみると,先ずは金ピカで豪華絢爛,という言葉がピッタリ当てはまりそうだ.

この教会はナバラでも最大級で,12世紀から18世紀にかけて建立され,幾度か改装されたため,後期ロマネスク様式,ルネサンス様式,バロック様式が織り込められているようだ.

ちょっと写真が小さいが,中央に聖母子像が赤を背に置かれ,目立つようにしてある.

そして金ピカ装飾は主祭壇だけでなく横向きの祭壇,天井,天井のドームにも施され,立派なパイプオルガンも設備されている.


キリストと聖母子像

キリストと聖母子像

こちらは脇の祭壇の一つ.ここではかなり地味な装飾になろう(とは言えゴールドはふんだんに用いられてますね).

キリストも,聖母子もやさしい顔立ちでほっとできる感じだ.