巡礼26日目:トリカステーラへday 26:Triacastela

この巡礼26日目:トリカステーラ編では,2019年6月6日雨まじりの朝,ラファバのアルベルゲを出発し,ララグナ,セブレイロ,リナレス,サンロケ峠,オスピタル,ポイオ峠,フォンフリア,フィロバル,パサンテスと通り,トリカステーラに到着するまでの写真を載せました.

トリカステーラ付近のGoogleマップmap around Triacastela

濃い赤線がこの日歩いたトラック.歩行距離24.06km,歩行時間6h49min.

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ラ・ファバの朝La Faba

ラファバアルベルゲの朝

ラファバアルベルゲの朝

6月6日,ラファバのアルベルゲ(Albergue Casa El Arbol)にも朝が来た.雨模様なので最初からカッパを着て,階段を下り表に出る.

階段横のバーレストランはまだひっそり閉じたままだ.バーもアルベルゲも小ぢんまりしているがいいお店だった.どうもお世話になりました.

ところでこの日は上記のようにカッパを着て出たが,たとえ雨がなくとも寒いので着るのが無難だと思った.風もあるし,標高も高めなので冷え易いのだ.


ラファバ村を抜けると林の暗い道

ラファバ村を抜けると林の暗い道

ラファバアルの村を抜けると林に中の坂道で暗い.ガレ気味で,何よりも牛や馬の落とし物があるのでここは慎重に進む.昨日,今日は周辺に酪農を営む家が多く,山なので農道と巡礼路が一緒になっているところだ多いのだ.


林を抜けた

林を抜けた

林を抜け,歩いて来た方面を振り返る.う~んやはり雲が多いな.ただ明るくなったので路面は良く見え,そこを巡礼者が杖を片手に使い上ってくる.


谷側はよく見える

谷側はよく見える

谷の雲は切れた部分があり,良く見える.結構傾斜があり,牛をここに放ったり,また集めるのは結構大変な作業になりそうだ.

上方は全く雲が取れる様子がなく,遠方は一切望めない.残念だな~


ラ・ラグナLa Laguna

ララグナ(La Laguna)の村に来る

ララグナの村に来る

暫く歩くうちにララグナ(La Laguna)の村に入った.直ぐ目の前もガスで視界は悪い.

こちらの大きなお宅は,一階が馬や牛の家畜室,二階が居住空間になっているようだ.こちらのお宅だけでなく,2,3軒横を通過したが皆そうした造りであった.多分冬は寒く,降雪もあろうからしっかりした家畜室が必要なのであろう.


ガリシア州に入る

ガリシア州に入る

ララグナ村少し先にガリシア州に入ったことを示す道標があった.ここでこれまでのレオン州とお別れになる.

サンティアゴ・デ・コンポステーラはガリシア州州都でもあり,また同州はスペイン北西端の州ということになろう.海に近いので魚も期待できるかな.


セブレイロ峠を目指し上り継続

セブレイロ峠を目指し上り継続

セブレイロ峠(Alto do Cebreiro/O Cebreiro)を目指し,上り継続.

標高が上がったのでガスはまたまた濃くなる.


セブレイロO Cebreiro

ガリシア州の道標は1m刻み

ガリシア州の道標は1m刻み

ガリシア州の道標はこの石塔に統一されたデザインになっている.この場合,サンティアゴまで160.303kmと記されている.有効数字小数点以下3桁,つまり1mの精度まで保証してくれているわけで,その心遣いが嬉しい.ここで別にそんなに精度必要じゃないよなどと言ってはバチが当たる.

何れにしてもカミーノで最も大事なのはここにも見える黄色い矢印であることに変わりはない.


セブレイロ(O Cebreiro)に到着

セブレイロに到着

そしてセブレイロ(O Cebreiro)に到着した.標高1,335mだそうだ.これは初日に越えたピレネーや3日前越えたイラゴ峠1,504mに次ぐ高さであろう.

ここにはアルベルゲやホテル,それにレストランやバーが幾つか揃っている.私達がここに着いた頃,宿泊中の観光客も日の出の光景を眺めようと宿から表に出てきたが,何も見えず当てが外れ,気の毒だった.


セブレイロのサンタマリア教会(Igrexa de Santa Maria)

サンタマリア教会

頂上にはサンタマリア教会(Igrexa de Santa Maria)があった.霧ではっきりしないが,十字形の建物になっているようだ.また毎夕巡礼者のミサが執り行われるということだ.


セブレイロのとても不思議な建物

とても不思議な建物

床は自然の斜面そのままに倣い,丸(概ね丸っぽい)外形の石造りで,屋根がお椀を伏せたような形状の藁葺だ.窓の数は少なく,窓やドアのある部分はそれらが覆われないように庇(屋根)が短めになっている.全体的になかなか美しい造形だ.

ここには数軒見えるが,土地の形態に倣って設計されるため,皆別々の形になっているところが正に個性的だ.

こうした建物はパジョーサ(Palloza)と呼ばれ,人畜共棲家屋だそうである.それでかなり大きいのですね.実際直径10m~30mくらいあるそうだ.屋根藁にはライ麦が使われ,冬の雪,夏の過度な暑さという極端な気象条件の断熱性を得ているという.とにかく驚きました.


セブレイロ何も見えずすごすご下りにかかる

何も見えずすごすご下りにかかる

濃霧で期待した頂上からの光景は全く望めない.仕方ないので皆休むこともなく下りにかかる.

村の道がきれいな石畳に覆われ,建物も前記パジョーサはもちろんのこと,普通の住宅も立派な石造りであることも大きな慰めだ.


リナレスLinares

セブレイロから下る

セブレイロから下る

セブレイロからの下り巡礼路は樹木の豊かな土の道だ.雨なのは残念だがなかなか趣ある通りだ.


一時の晴れ間

一時の晴れ間

標高が若干下がったことも影響しているのか,一時の晴れ間があった.その僅かな晴れ間,いや晴れ場を覗くと実に美しい丘の牧草地が見えた.見えればとにかく美しい.見えねば....何もない.

手前は並行して走る633号線(国道?)である.


リナレス(Linares)に至った

リナレスに至る

そのうちリナレス(Linares)に至った.もちろん特段この村を知っているわけはなく,カミーノ途中の地であるに過ぎないのは他と変わりない.すみません.ただそれがカミーノというものではないでしょうか.今でこそどうということないが,中世では極めて大変なことだったと聞いてます.


リナレスの教会

リナレスの教会

リナレスの村を歩いていると教会に出合った.サンエステバン教区教会(Parish Church Of San Esteban)と呼ばれるそうだ.

サンエステバンは初期のエルサレム教会(従ってユダヤ教でしょうね)の助祭(司祭の次), キリスト教初期の 信徒だったようだ.またカトリックのみならず,英国国教会,ルーテル,東方正教会,正教会いずれも聖人として崇拝されているという.


サン・ロケ峠Alto de San Roque

サンロケ峠の巡礼者像

サンロケ峠の巡礼者像

やがてサンロケ峠(Alto de San Roque)まで下った.標高は1,270mらしいので,セブレイロとさして変わりない.セブレイロから大分下ったがまた上り返したようである.

ここにはブロンズの巡礼者像が立てられている.サンティアゴとかではない人だが,それはどういう人なのでしょう....これを作った人に訊いてみないと....


雲が取れ良く見えるところも

雲が取れ良く見えるところも

サンロケ峠近辺では雲が取れ良く見えるところもあった.一言にすると,山間の地で,メセタとかと違って広い畑とかは無いようだ.その代わり雨が多いのか牧草地のような斜面には豊かな緑が目立つ.


オスピタル・デ・ラ・コンデサHospital de la Condesa

オスピタル・デ・ラ・コンデサに向かう

オスピタル・デ・ラ・コンデサに向かう

サンロケ峠からはオスピタル・デ・ラ・コンデサに向かった.緑豊かないい巡礼路だ.


オスピタル・デ・ラ・コンデサに入る

オスピタル・デ・ラ・コンデサに入る

特段興味を抱いていた訳ではないがいよいよオスピタル・デ・ラ・コンデサに入ってきた.

オスピタル(ホスピタル)というのはなぜでしょう.その昔さる伯爵夫人(コンデサ/Condesa)が病院を建設し,伯爵夫人病院と称されたのが始まりらしい.現在は小さな村なのでそれが今も維持されているか否かは解らないが,多分厳しいであろう.

その昔,日野コンテッサというルノーのライセンス生産小型車がありました.同じ言語系だからでしょうが,同じような意味合いと聞いてましたね.ところで日野やいすゞが乗用車もやってた時代から随分変わりましたね.


ポイオ峠Alto de Poio

サンジャン教会か

サンジャン教会か

ポイオ峠を越えて暫く歩くと,石造りの教会があった.マップを見るとサンジャン教会(Iglesia de San Juan)かな~と思える.そうであればスタート時点のピエドポーと同じ聖人であろう.

つまりSan Juanはサンファン,「聖ヨハネ」のことだ.そして祀るのは当然ありうることですね.


一時的に雲が流れ素晴らしい景色

一時的に雲が流れ素晴らしい景色

一時的に雲が流れて何とも言えぬ景色が見えるときがある.ほんとに素晴らしい.

このエリアは牧草地が多く,家畜が多いようだ.


ポイオ峠のバー

ポイオ峠のバー

そしてポイオ峠(Alto de Poio)に至った.標高1,337mというからセブレイロ峠とほぼ同じだ.つまり一旦下り上り返した訳だ.サンロケ峠も含めると2回も上り返しがあったのだ.

峠には広場があり,バーがあった.巡礼者の皆さんがここで喉を潤していた.


ポイオ峠から下りにかかる

ポイオ峠から下りにかかる

ポイオ峠からは下りになる.写真の右側には立派な巡礼路があるのだが,車道左側の緑が美しいのでちょっと寄ってみた.やはりメセタの大地と比べて雨量が多いのでしょうか,特段スプリンクラーも作動していないのに何となく緑豊かに見える.


サンロケ峠当たりからこの辺,そしてこの先の花

サンロケ峠当たりからこの辺,そしてこの先は花が豊富だ.ただ並べるだけだがきれいなので載せておこう.

花1花2花3
花4花5花6 花7花8花9
花10花11花12

フォンフリアFonfria

フォンフリアの牛追い

フォンフリアの牛追い

サンロケ峠から下るとフォンフリア(Fonfria)の村になった.この村も牛を生業にしている人が多いようで,巡礼道で牛を追う様子が見られた.写真はこれから自宅庭(若しくはパジョーサのような共棲家屋もあるか?)の牛舎から放牧地に連れて行くシーンだ.

そして感心したのは,最後尾に飼い主とともにワンコ一匹が牛をコントロールしていたことだ.中央アジアの広大な高原なら解り易いが,ここのようにちゃんとした道,巡礼路でもちゃんと進まない牛がいるんだな~と感心した次第だ.まあ,牛の気持ちはよく解ります.


フォンフリア村を抜けると緑のトンネル

フォンフリア村を抜けると緑のトンネル

フォンフリア村を抜けると緑のトンネルだった.こうした巡礼路は決して初めてではなく,しばしば通るのだが,何度通っても気持ちいいものだ.


フィロバルFillobal

緑のトンネルを過ぎ,小さなチャペル

緑のトンネルを過ぎ,小さなチャペル

緑のトンネルを抜け小さなチャペルに出合った.ここがまだフォンフリアなのか次のフィロバルであるのかはっきりしないが,まあその境界辺りに存在している.鐘を吊るワイヤは見えるが鐘は落ちてしまったようだ.

検索したらイエスの一番弟子サンペドロに捧げられた礼拝堂(chapel dedicated to San Pedro)だそうで,あの総本山サンピエトロ寺院と同じであろう.


牛を放牧地へ

牛を放牧地へ

牛を放牧地へ連れて行く場面だ.放牧する草地まで後ろに付いて歩く,牛は群れているので人の速度より若干遅いようだ.


フィロバルの放牧地に至る

放牧地に至る

放牧地は巡礼路の右側斜面に位置していた.そしてその放牧地は鉄条網で囲われているようだ.生えてる草は十分で,雨がまた十二分にあるので継続的成長がなされるのであろう.

そしてこの辺りから眺める,主に牧草地なのであろうか多分所有者毎に生け垣で区画され,幾らか色も異なる畑の様子がとても美しい.


フィロバルの村

フィロバルの村

フィロバル(Fillobal)の村があった.村の住宅はやはり凹凸の多い斜面に分散して建てられている.白い壁に黒い屋根の建物が多い.


穀物倉庫

フィロバルの穀物倉庫

庭の真ん中に高床式穀物倉庫があった.樹木の下を避けているので上から舞い降りる野生動物を防ぎ,また高床で下からジャンプするのを妨げ,さらにネズミ返しを設けて,柱をよじ登るのを妨げている.まあこれで完璧であろう.


パサンテスPasantes

パサンテスへ下る

パサンテスへ下る

フィロバルからはパサンテス(Pasantes)に向けて下った.このところ雨は止んでいるので助かる.


パサンテスの村

パサンテスの村

やがてパサンテスの村に入った.石造りスレート屋根の豪邸が多い.それと,庇というものが殆どない構造だ.外壁は漆喰で固めた石なので横からの雨に対して強いのであろう.


また緑のトンネル最高だ

また緑のトンネル最高だ

パサンテス村を過ぎるとまた緑のトンネルだった,最高だ.木は随分と大きなものもあり,まあ年代物でしょう.


特大の木

特大の木

坂を下るとちょっとした村があり,その入口に特大の一本が生えていた.何の木でしょうか.あまりの大きさに前を行く巡礼者が写している.そして私も真似た.


トリカステーラTriacastela

トリカステーラに到着

トリカステーラに到着

今日の宿泊地トリカステーラ(Triacastela)に到着した.目指すアルベルゲ(Albergue Municipal de Triacastela)は村の入口直ぐ脇なのだが,気付かず少し行き過ぎた.

そして戻った写真の原っぱ(牧草地)奥に3棟の建物があり,そこがアルベルゲのようだ.


左側建物にレセプション

左側建物にレセプション

左側建物にレセプションがあり,ここのオスピタレラの女性にクレデンシャルとパスポートを提示してチェックイン.


セプション先の廊下

レセプション先の廊下

レセプションからそのまま行く廊下の先にダイニングルームがあり,手前右側にベッドルームが並んでいる.

ところでこの建物は背後が谷である傾斜地に建ち,入り口レセプションの先,写真左側階段を降り,窓を見るとまだ地上というちょっと不思議な地形.そしてそこでは牛が草を食んでいる.思い返せば,どうやら前日と今日歩いた行程区間は牛が主要産業(の一つ)のエリアだったようだ.


階下のベッドルーム

階下のベッドルーム

私のベッドは階下のベッドルームだった.先ずはアルベルゲの約束事,靴を脱ぎ,サンダルに履き替えて部屋に入る,入ってカッパを脱ぎ,たまたまブラインド用フックがあったのでそれに掛けて吊るす.下にラジエーターがあるが,昼間は止めてあったか(廊下は確かいつも暖房されていた).

次いで枕カバーやシーツを掛ける.シーツはベッドに引っ掛けるときのテンションで破れやすい.何ぶんにも不織布ゆえやむを得ない.でも大分上手になったと思う.

ただ,暇がいっぱいあるのだが,雨が相当激しくなって,土砂降りになった.しかも収まらないので出かけられない.新たに到着する人たちはカッパはもちろん着ているが,ビショビショだ.


トリカステーラのバーレストラン

トリカステーラのバーレストラン

写真は昼間到着前,少し行き過ぎたとき写したトリカステーラのバーレストラン.妙な壁画が描かれている.

夕方になり入口を出て空の様子を見に行くと少し晴れ間も見えて雨が止んでいた.そしてレセプションのあるテーブルでは台湾のSnさんが一所懸命書物をしている.ダイアリーでしょう.そしてやあやあ久しぶり,と挨拶し,推薦するレストランを訊く.アルベルゲ入り口少し先の例のバーレストランだった.


バーレストランの2女性

バーレストランの2女性

とにかく雨の上がった今のうちにと直ぐ近くのそのバーレストランに行った.少なくとも二人の女性が働いており,手際よく対応してくれた.


ミックスサラダにビーフ

ミックスサラダにビーフ

殆ど考えることなくミックスサラダにビーフと半ばルーティン化したオーダーとした.お店もこれが一番簡単なのであろうか,ワインに続き短時間で出してくれた.ワインは丸ごと一本だし,食べ物もSnさん推奨のごとく美味しかった.ごちそうさん.


カードゲームに興じるお客さん

カードゲームに興じるお客さん

お店ではカードゲームに興じるお客さんがいた.年格好からすると退職者だ.ここだけでなくバーのテーブルではこうしたカードゲーム場面をよく目にする.こうした場を提供するのもスペインのバー(バル)の業務の一部なのでしょうね.

そして私は雨がまた始まる前に急ぎアルベルゲに引き返した.途中ぽつりぽつりとはあったが,問題なかった.そしてドアを開けて入った途端にバシャバシャの大降りが再開された.正しく間一髪のタイミングだった.

Snさんはテーブルでまだ頑張っており,美味しかったよ,と報告した.