巡礼7日目:ログローニョへday 7:Logrono
この巡礼7日目:ログローニョ編では,2019年5月18日ロスアルコスの朝出発し,トレスデルリオ辺り,ビアナを通り,ログローニョへと至り,ログローニョの街を見て歩いたときの写真を載せました.
ログローニョ付近のGoogleマップmap around Logrono
濃い赤線がこの日歩いたトラック.歩行距離29.52km,歩行時間6h57min.
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ロスアルコスの朝morning at Los Arcos
ロスアルコスのアルベルゲを出て西へ
5月18日朝になった.ロスアルコスのアルベルゲを出ると西へ向かった.幸い天気がいい.フレンチカミーノは基本的に西に歩くので陽射しがあっても顔の真正面には当たらないので助かる.
ロスアルコスの村を抜けると広大な麦畑
ロスアルコスの村を抜けると麦畑地帯となる.緩やかな傾斜のメセタに展開される光景は素晴らしい.
黄色に色付いた畑も見えるが,これは早場麦なのでしょうか.あるいは違う種類の麦,例えば大麦とか,ライ麦とか....なのでしょうか.
トレス・デル・リオ辺りTorres del Rio
サンソル入り口辺り
麦畑を行くと分岐点があり,そこに畑の作業小屋があり,モホンが立てられていた.モホンにペイントされた黄色い矢印の方向に行くとサンソル(Sansol)という小村の入り口となるようだ.
サンソルの村は石造りの住宅が並び,舗装も行き届いているが戸数は少ないので直ぐに通り過ぎた.
再び麦畑
サンソル村を抜けるとまた麦畑だった.いや,また麦畑ではなく,麦畑の中に集落が点在する,という方が正しかろう.
ということでこの辺りの農家の所有地面積は相当広いのでしょうね,と思う.
先方にトレス・デル・リオの村
先方にトレス・デル・リオ(Torres del Rio)の村が見えてきた.このちょっとした丘の上にまとまった住宅群は前日眺めたシラウキの村に似てますね.規模は小さいようですが.
聖墳墓教会
トレス・デル・リオの村に入ると直ぐにこの八角形聖墳墓教会(Church of the holy sepulchre)があった.拝観料を払うのだが,コインの挿入口を間違えて,いくら入れようとしても入らない.もう一人の拝観者カナリア島男性と受付け女性に大いに笑われる(目も頭も悪くなったな~)
ようやく入れると,小さな説明書きをくれた.それによればこの謎めいた建物は,稀に無関心な訪問者もいるが,サンティアゴ巡礼路で最も風変わりなロマネスク様式寺院である,としている.
十字架のキリスト像
祭壇には十字架のキリスト像だけが据えられている.この期に及んでとても穏やかな顔に見える.
この教会はもちろんキリストの墳墓(分骨的)を祀るのが第一義なのであろうが,他に往時は騎士叙任儀式を執り行う役目も担っていたそうだ.
祭壇は不可だが,側面なら写真可で,カナリア男性が受付け女性に撮ってもらっていた.しかし光量不足でうまく写らず,フラッシュを炊く.私は透かさず,壁に「no flash」の表示があるじゃないか,と先ほど笑われた反撃を試みる.女性は,私はいいのよ,と言う.
いろいろやりあって仲直り
フラッシュの件で仕返し,その反論....と,なったが仲直りしてその写真を撮ろうということになった.これはカナリア男性がシャッターボタンにタッチしてくれたショット.
小さな教会だが,これからも巡礼者を楽しませて下さい.
トレス・デル・リオの村を行く
さて聖墳墓教会を過ぎ,トレス・デル・リオの村を進んだ.緩やかな傾斜地に石造りの住宅,石畳の道が続くのは他の村と同様である.
前を歩いているのはカナリア男性だ.男性は元々南米育ちだったが,20歳のときカナリア諸島(スペイン領)の町に移住したのだそうだ.カナリアの方は人口の割に巡礼の人にはよく出会う.信心深いのでしょうね.
村外れの共同墓地
村外れに共同墓地があった.この地方は教会内でなく,こうした専用地の墓地が多い.
この先遥か先ガリシア州辺りに入ると,お墓は教会付属施設が主な形式になると後で知った.
ビアナ辺りViana
またまた麦畑
トレス・デル・リオ村を抜けるとまたまた麦畑だ.いや~良い光景だ.ここからは向こうの山脈もくっきり聳えて見える.
石だらけの畑
耕され,畝が作られ,作付け準備中の畑があった.前にも畑の石について驚いたことを記したが,ここはその程度が凄く,まさに石だらけだ.でも大丈夫なのですね,耕す強力トラクターが普及し,またそれに耐える作物に改良されてきたのだと思う.
ビアナの街に入ってくる
しばらく歩きビアナ(Viana)の街に入ってきた.この辺りは街の入り口,つまり新市街で普通の近代建築が多い.
ビアナ旧市街を通る
少し行くと旧市街に入った.石畳の通りに中世的建築,標準的旧市街であろうか.そして歩いている市民の姿も結構見かける.大きな街だ.
写真左側はサンタマリア教会(Iglesia de Santa Maria)でかなり大きく立派なものだ.1250年~1312年にゴシック様式で建立され,16~18世紀に増改築されたという.塔とエントランスはルネサンス様式で,少し新しい様式という.
サンタマリア教会エントランス
これがルネサンス様式で作られたというエントランス.全体が円弧状に窪んでおり,その円弧面のレリーフはなかなか美しい.また下部に膨らみのあるエンタシス石柱や,コリント式柱頭デザインは古代ギリシャの伝統を受け継いだものであろう.
鋲打ちされた観音開きのドアに小ドアが設けられ,私達一般人はここをくぐる.この形式はごく一般的でこれまでもあちこちに見られた.特別な人が通るときは全開するのでしょう.これもやはり中世戦乱の頃,馬に跨る敵兵の乱入を防ぐためだったのでしょうか.
サンタマリア教会礼拝堂
これがサンタマリア教会礼拝堂内部.ゴシック様式が確立された時代なので,天井は高く,ステンドグラスを含めた窓が設けられ,明かりが入る構造だ.
また細い円柱を束ねたような太く高い柱,連続するドーム状天井など,概ねゴシック様式に共通し,ここに限らないが改めて感心する.
主祭壇は金ピカ柱や横枠に区切られたパネルに立体若しくはレリーフ像が並べられている.なかなかゴージャスな祭壇だ.
教会向かいのバーで朝食
教会から出ると,お向かいはバーで,ここで朝食を頂く.オレンジジュース,クッキー付きカフェコンレチェ(カフェオレ),ひき肉のボガデージョ(ハンバーガーのような感じ)などだったと思う.
ビアナ郊外に出る
比較的大きなビアナを抜け,郊外に出た.巡礼道脇には松の木が生え,その先には車道を跨ぐ陸橋が渡されていた.橋は木材が多用され,歩行者にかなり気を遣っているように思う.普通は鉄やコンクリート製であろう.
ログローニョへgo to Logrono
ログローニョのモホン
ログローニョのエリアに入ってきたようだ.石柱に鋳造したシェル模様の道標(モホン)が現れた.荒削りな石柱も鋳造モホンも力強く豪快だ.
いきなり苦情で何だが,ただこれだけだと現在居る場所は巡礼路の上であることは正しく判るのだが,さてここからどの方向に行けば良いのかまでは判らない.黄色い矢印のペイントはやはり要るのだ.
ログローニョの糸杉並木道
巡礼路は糸杉並木道になった.周囲の芝生もきれいだし,公園の一部になっているようだ.糸杉は上方向に横枝を出さずに伸びるが,根もこのように横に行かず,下へ下へと向かうそうだ.
エブロ川に架かるピエドラ橋
糸杉並木道を行くと,かなり大きなエブロ川(Ebro River),そしてそれに架かるピエドラ橋(Puente de Piedra)に出合った.ピエドラ橋は11世紀頃4連アーチで建設されたそうだ.現在橋は平であるが,往時は太鼓状若しくは山形であったかも知れない.現在の橋はアーチの数を多くし,車道両側に歩道も設け,大きな交通量をこなしている.
この橋を渡った先に公営アルベルゲがある筈だ.そして実際直ぐに見つかったので,列に並ぶ.しばらく並んで待っていると,あと5人で満員です,と言われ,私の数人前でシャットされてしまった.午後2時頃で遅くはないと思っていたが残念だ.
アルベルゲ探し
あいにく雨が降り出した.朝あれほど良かったのに....とは言っても,大分距離は経だっているし,地形も異なっているし,まあこんなもんかも.ところで周りを見ると落書きにしてはインパクトある,ちょっと只者ではないアーティストの作品かな....と思ったのがこれだ.
とにかく仕方ないので別のアルベルゲを探すことにした.こんな時はやはりGoogleマップだ.そしてそこに載っているアルベルゲの中で大聖堂に近い,従って便利な筈,アルベルゲ(Albergue Santiago Apostol)を訪ねることにした.
探したアルベルゲ
そして訪ねたたのがここだ.幸いアルベルゲ(Albergue Santiago Apostol)には空きがあるというので直ちにチェックイン.不織布シーツとか枕カバーは渡されなかった.こりゃちょっと警戒しないとならんだろう.つまりネット情報によれば,カミーノでは南京虫に噛まれるケースがいろいろ報告されている.何でも南京虫はダニとかシラミとかの比ではなく,遥かに超える恐ろしさで,一旦噛まれると長期に渡りひどい痛みが継続するという.
一応市販虫刺され薬など持ってきているが,市販薬は気休め程度と言われるし,せめてシェラフから手足を出さないで寝るようにしなくては....一応翌朝起きたとき,どこも痛くなかったのでホッとした.
なおダニはカンチェンジュンガトレックで,ネパールの山小屋でやられたことがあるが,赤く痒くなる程度で済む.南京虫はとにかく格が違うようだ.
洗濯場で手洗いする
私のベッドお隣二段ベッドは地元スペインの中年男性二人で,今年は特定区間を回るということだ.この方たちは翌朝非常に早い時間に出発していった.多分暗くとも勝手知ったるカミーノなのであろう.私の上のベッドは,フランスだったかな....の女性で,結構遅い時間に到着した.大分歩いたのでしょうね.
ベッドルームの奥に中庭に出るドアがあった.私のベッドはその脇で,中庭に出ると白いたらいの並んだ洗濯場があり,そこで手洗いした.白い陶器のたらいの手前側は凸凹の洗濯板になっている.しかしこの凸凹はピッチが大きく,また滑らか過ぎて洗濯効果が少ない.
そして一応軒下の物干し紐に掛けるのだが,軒の深いところは既に満杯で,雨のかかり易い手前だ....実際雨になると当たり,乾くのと濡れるのといい勝負だ...そこで取り込んで,ベッドサイドのラジエーターに並べて置いた.そして乾いた.
なお別の場所にコインランドリーもちゃんとあったと思う.
ログローニョの街city of Logrono
ログローニョの街を歩いてみる
洗濯も終わったことだし,ログローニョの街を歩いてみる.旧市街は狭い道が入り組んでいるところもある.それでも大きな街にしては樹木が多く,緑豊かと思う.
ログローニョの商店街
ここはアーケードのある商店街.各種お店があるが,ワイン専門店などはいかにもスペインらしい.レストランも結構あるが,夜にならないと閉じているのが多い.その点バーは大体常時営業しており,しっかりした料理は夜まで待たないとならないが,おつまみ程度なら出してくれる.この並びでは入らなかったが.
サンタマリアデラレドンダ準司教座聖堂
サンタマリアデラレドンダ準司教座聖堂(Co-Cathedral of Santa Maria de la Redonda)と,まあずいぶん長い名のカテドラル,いやコカテドラルに来た.前身の教会は12世紀に建てられ,1453年に共同教会になり,今日までの間幾度となく改修が施されてきたという.2つの塔が18世紀に施された最後の工事で加えられたということだ.
ところで準司教座と聞くと,司教座に準ずる的な響きですが,Co-Cathedralは他所と共同でということで,上記1453年に共同教会,に対応するでしょうし.....よくわかりません,結局.
なおラレドンダ(la Redonda)は地名だそうで,よくどこそこのマリアさま,ローマ法王庁が出現を認めた場所かな....これもよくわからないが.
サンタマリアデラレドンダ準司教座聖堂内部
コカテドラルに入ることができたので,見せてもらった.12世紀であればゴシック建築のはしりでしょうが,こうした天井の高い構造が可能だったのでしょう.窓も多く,十分強度も維持できたのでしょう.
主祭壇は黄金で埋め尽くされているようで,個人的には,往時スペインが世界,特に南米を制覇した結果を見る思いです.
サンバルトロメ教会
12世紀建立でログローニョ最古,国の重要文化財にも指定されているというサンバルトロメ教会(Church of San Bartolome)にやって来た.写真は横から撮ったもので,右の高い部分が鐘楼になっている.
サンバルトロメ(San Bartolome)はイエスの使徒の一人で,皮剥ぎの刑で殉教したという.ミケランジェロフレスコ画最後の審判では剥がれた自分の皮とナイフを持った姿で描かれているそうだ(私はまだ見たことないが)
ファサードに集まる着飾った人たち
鐘楼反対側のファサードには着飾った人たちが集まっている.このファサードの精緻な彫刻群がこの教会最大の見所との評判だ.また上述のサンバルトロメが,皮剥ぎの刑に処されている場面(左から4つ目のコマ)も彫られている.残酷だ.
ところで,着飾った人が多いので,結婚式でしょうか?と周囲の人に訊いてみたら,さに非ず,ヴァレンシアから当地に移り住んだ人やその末裔たちのパレードがあり,ここがそのスタート点ということだ.
ヴァレンシアパレード始まる
パレードは始まり,ヴァレンシア装束で身を包んだ子供を先頭にログローニョの繁華街に繰り出して行った.
終わりは音楽隊
長い列の終わりは主に男性の音楽隊だ.その前に歩くたすき掛けのおばさんは,はて....
ところでログローニョの街はヴァレンシアのみならず,スペイン各地,さらにフランスや南米諸国から移住してきた人がとても多いのだそうだ.現在は欧州各地は反移民の声が強くなっているが,以前はまだ寛容だったのであろう.
ログローニョの飲食店街
ログローニョは大都市なので飲食店も多い.ヨーロッパの人は戸外での食事を好むので,こうしたオープンカフェも盛んだ.ヨーロッパの人はまた寒さにも滅法強い.でも温かい方が好きな人もいて,ダウンジャケットの人もそれなりに居られますね.少なくとも今の時期カミーノはあまり暑いとかはなく,特に雨の朝など手がかじかんでしまう.
このバーレストランに入る
遅い時間にならないと普通のお皿の食事を出してくれないところが多いが,ここは作ってくれるという.ということでこのお店に入る.
そして先ずはリオハワインを頼む.普通バーカウンタでワインは大きなグラスで,下の方にちょっぴりだけ注いでくれる.ところがここはテーブル席だからか,結構たくさん注いでくれるのが嬉しい.
ビーフも普通に美味しかった
リオハワインと言っても,この辺でただワインと言えばリオハワインが出てくるが,普通に美味しい.気に入ったので3,4杯お代わりした.
そしてビーフをオーダーしたが,こちらも並み級ながら美味しかった.
担当してくれたウエイターはなかなか親切で楽しかった.グラシアス.
食後も一度サンバルトロメ教会を訪れてみる
食後,静かになったサンバルトロメ教会をまた訪ねてみた.ちょうどミサの最中で背後からそっと覗かせてもらった.
礼拝堂の祭壇は極めてシンプルで簡素なものだ.カトリック教会は金ピカが多い中で,こういうスタイルもあるのですね,と思った.