このページでは多摩川畔での鮭の放流の催しに加わったときの写真を載せた.保護市民団体が稚魚を放流しようという案内があった.私は家族参加で申し込み,参加することができた.
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幸い11月のこの日は晴れて気持ちの良い日だ.
多摩川へのサケ稚魚放流は1981年の試験後982年から放流はしているそうで,通算放流数は90年代半ばでおよそ250万尾に達したそうだ. 当初サケを利用した市民の環境意識啓蒙を主な活動目的としていたため,ふ化場(小学校での水槽飼育も観た)で数万尾規模の飼育を行い,一般市民の放流式参加も案内された.つまり今回の多摩川行きはこの放流式に娘とその友Aちゃんと一緒に馳せ参じたという訳だ.
そして稚魚をバケツを傾け岸辺にリリースする.カムバックサーモンと念じながら.
鮭が母なる川に戻ってくるのは3年後だそうだ.そして1984年から1985年にかけて多摩川で6件のシロザケが遡上してきているのが見つかったそうだ.数万匹に1匹の割合で、サケが戻ってきたことになるという.その後のシーズンでも放流は続けられ,2年後の1986年から1987年のシーズンには27回に増えたそうだ.
私達が参加したこの年はさらに5,6年経ている訳だ.数万匹に1匹の割合の戻りであるから極めて厳しい訳であるが,それでも大きな夢を感じる.
鮭の生息分布の南限は「サケは銚子かぎり」と言われ,銚子を河口とする利根川には遡上するものの,それより南の川では遡上しても例外的とされているようだ.
鮭を多摩川に戻す市民運動団体の方々は,夢だけでなく,数多の歴史的事実を踏まえて活動計画を立てているという.例えば縄文時代には鮭は和歌山県まで遡上していたが都市化で水温上昇と汚染の影響で年々遡上河川は北上して南限は東北地方にまで上っていたようだ.
このような折り2009年11月多摩川に雌雄のサケが久しぶりに遡上し,産卵したという.ただその後こうした報告はなく,「銚子かぎり」の利根川には確実に放流したサケが大人になって戻ってくる数が増えているようで,多摩川も幾ばくかの増加が期待できようか......
ところで鮭の『母川回帰』は冷たいであろうオホーツク海などを回遊した後,生まれ育った川に戻る性質だそうだが,どのように元の川が判るのだろう.生まれた川のにおい(数十種類のアミノ酸の組成によって決まるそうだ)を覚えているという説が有力らしいが,川からうんと離れていると匂いも届かない.太陽コンパスを利用する説,磁気併用説などがあるそうだ.
人工的に鼻詰まりさせた鮭が母川に戻れなくなった実験結果があるそうだ.多摩川に現匂い成分をたくさん合成して(安全性確保し)流したら鮭がいっぱい戻るかな~
まあこうした単一目的のトリップもとても楽しかった.
(2023/12/02記す)