GPS続編
最近長いトレッキングなどのトラックロギングには主にHOLUX社GPSロガーM241cを用い,またデイハイクの短期用には主にGarmin社eTrex Vista HCxを用いてきた.ところが最近M241cが故障し,ログデータ読み出し不能になった.
そこでM241cの代わりになるものとして現在主に別用途で使用中のGarmin eTrex Vista HCxでもいいかも知れないが,感度など優れるという新しいタイプが欲しくなるのが人情で,Garmin社eTrex 20x(上述のVista HCxより少し低機能)を買い求め,使い始めた.このページではその使い勝手,特にバッテリータイプ別ランタイムテストや,操作スティック(Thumb Stick)の誤操作(不意操作)に対するガード取り付け対策などをメモしてみた.
今のところ不意打ちガードは確実に機能し,誤操作なく,またバッテリはリチウム電池(一次電池)を使用することでテント泊(つまり電気なし)でも一週間程度は無交換でログデータが取れそうなことが判った.
これまで使用した機種と,新たな機種との比較
下表で#1と#2がこれまでの使用中のもの,#3が新しく揃えたGarmin eTrex 20xである.
# 機種 個人的○×評価 まとめ
1 HOLUX M241c
○単3乾電池駆動が可能(他ロガーはあまり見ない)
○単3x1本駆動時間が12hr(公称)
○30mmWx32mmDx75mmHと,とても小型
○アルカリ単3(1本)込み67grで,とても軽量
○ロギング操作性良好(SWon/offのみで可)
単3x1本は最高
電池室蓋,メインスイッチがやはり致命的欠陥だ
×電池室蓋がやわ
×メインスイッチがやわ
×それら2要因で電源落ち,瞬断起こる
×文字(アルファベット)が細く小さく,読み難い
2 Garmin eTrex Vista HCx
○NiMH単3(2本)込み込み170gr
○駆動時間(公称)25hr
○56mmWx30mmDx107mmH
○バックライトoffでeTrex 20xより文字若干読み易い
○microSDHCカード挿抜容易
(○気圧高度計,静止コンパス付き)
概ねOKだが文字が小さく読み辛い
×ほんとは日本語版が良いのだが価格高過ぎる
×文字(アルファベット)が細く小さく,読み難い
×出っ張り操作スティックが不意に押され易い
×miniUSB端子が底にあるのは扱いにくい
3 Garmin eTrex 20x
○NiMH単3(2本)込み153gr 少し軽くなった
○駆動時間(公称)25hr(HCxと同じだが....)
○54mmWx33mmDx103mmH U字底で持ち易い
○文字が読み易くなった.ジャギー減少した
○ページ選択性が少し向上
○衛星捕捉速くなった気がする
?LCD表示off可(バッテリーセーブ設定可)
ディスプレイのバッテリーセーブは効くか?
Vista HCxより文字読みやすさ,衛星捕捉速度,重量など改善された
(×静止コンパス,気圧高度補正なしは折込済)
×ほんとはやはり日本語版が良いのだが高すぎる
×microSDHCカード挿抜に電池出し入れ要す
×スティックは右に寄るもHCx同様不意操作されがち
×miniUSB端子が底にあるのはHCx同様
eTrex Vista HCxと大差ないのかも知れないが,コンパスと気圧高度計の機能を省けば,多少重く嵩張るがきっとHOLUX M241cと同等レベル(或いはそれ以上)のトラックログ/バッテリー能力があり,新しい機種なので何らかの利点がある筈(根拠なく,多分)としてeTrex 20xを入手した.まあ,私の場合こう云ったことは間々ある....まあ遊びだから....
Garmin eTrex 20xの図解
Garmin eTrex 20x表面を図解すると下のようになる.
Garmin eTrex 20x
eTrexシリーズは最初に使ったVista Cx,次のVista HCx,(使ってないが20),そして今回の20x共に5つのボタンに操作スティック(Thumb Stick)による操作で,基本的な操作法が引き継がれているのがいい.
eTrex 20xのOwner's manualでの要点
eTrex 20x(と10x,30x兼用)には6ヶ国語(ただし日本語はなし)マニュアルが付属している.名刺を長手方向のみ1.5倍程度に細長くしたサイズで,老眼には文字がやや小さい.
またこの小冊子とほぼ同じ,一部若干付加された内容だが,任意に拡大できるPDF版がGarmin社サイトでもeTrex 20x(と10x,30x)のオーナーズマニュアル(英文) として載っており,拡大で読みやすい.
自分にとって大事なところは一応メモしておこう.(関心のないHunt & Fish,Geocacheなどには触れない) はボタン若しくはメインメニューにある操作ページ.
Using the eTrex Keys
メニューボタン を2度押せば,どのページにいてもメインメニューに戻る.
Battey Information
アルカリ電池は低温で機能低下,高温で爆発可能性(驚いた!).NiMH(二次電池)かリチウム電池(一次電池)が良い.
Satellite Signals
衛星捕捉でバックライトページのGPSバー群はグリーンになる.(←おかしい,うちのは赤のままだ....?)
Waypoints
現地点のウェイポイント生成はMark Waypoint > Doneで(その前に編集可),それを探すにはWhere to? > Waypointsで,編集や削除はWaypoint Maneger で.
(手っ取り早くスティックの長押しでも現地点のウェイポイント生成画面になる)
(なおWaypoint Averaging による精度向上,各種マップの追加,Where to? メニューでのウェイポイント,カテゴリー別,地名検索などについては省略)
Routes
ウェイポイントの連なりがルート
最初Route Planner > Create Route > Select First Pointで起点選択,次に『Use > Select Next Point』を繰り返して,backでセーブする
Route Planner > Edit RouteでReviewやポイント入れ替え,挿入,削除が可能.そしてbackでセーブする
Route Planner でルート選択し > View Mapでマップ上ルートが見え, > Delete Mapで削除可能.他にActive RouteやReverce Routeも可.
Tracks
Setup > Tracks > Track LogでRecord, Show On Mapを選んでおけばマップ上に自分のトラックが表示される.
私の場合Record MethodはAuto,Intervalは長めで良さそうだ(ゆっくり歩きなので)
Track Manager > Current Trackを選び現トラックをセーブする.(最初名前入力キーボードにポインタがあるが,日付入りデフォルト名は優れており,私はそのままポインタを下のDoneに移動,プッシュすることが多そうだ.なおセーブしたトラックは後でゆっくりリネームできる.
Track Manager で任意のトラックを選び > View Trackで,始点終点フラグ付きで表示される.
Track Manager > Elevation Plotで,トラック高度が表示される.
Track Manager > Archiveで,選択したトラック(群)がメモリにアーカイブでき,Setup > Reset > Clear Current Trackで現トラックのクリア,Track Manager > Dereatで,選択したトラックの削除ができる.
Navigation
ルート,トラック,ウェイポイントがナビゲート可能で,マップを用いることができる.
Where to? でカテゴリーを,次に目的地を選び,>Go を選べばマップページ開き,マゼンタ色のルートが示される
マップで▲ マークが現位置で,動くことでこのマークが移動する.
Where to? >Stop でナビ終了
Trip Computer
Trip Computer の表示項目はカスタマイズ可
Trip Computer >menu >Reset > Reset Trip Data > Yesでリセットされる.なおTrack Manager で現トラックをアーカイブした時,Trip Computerをリセットするかどうか訊いてくるので,Yesでもリセットできる.
ブツが届いてやってみたこと
eTrex Vista HCxと大差なかろうと,計画性なくいじった.
eneloopを入れ,Setup > System > Battery TypeでRechargeable NiMHを選ぶ.後でリチウム電池を入れるときは忘れずにlithiumに設定し直す.
滑り落ち防止のため適当なストラップを探して取り付ける.(付属してない)
窓際で動かしてみる
Setupで,緯度経度単位°と′から,10進の°に,時刻表示は12時間に変更
メインメニューからHunt & Fish,Geocacheなど使わないものを削除
メインメニューでよく使いそうなTrack Manager,Trip Computer,Mark Waypoint,Waypoint Manegerなどを上に配置
PCにマスストレージモードでeTrex 20xをUSB接続し,メモリの見え方など確認.
内蔵マップが粗いのでフリーマップがないか探してみる
するとOpenStreetMap for GARMIN 殿のページにeTrex 20xへのインストール方法と共にマップデータが掲げられていた.
先ずはマップデータをダウンロードさせてもらい,3種のインプリメント方法のうち,最も無難そうな『対策②:ダミーファイル作戦です!』でやってみることにした.
ダミーファイル法ではバイナリーコードを操作する必要するため,後藤 和重さんのバイナリエディタStirling v1.31 をダウンロードし,使わせてもらいました.
ダウンロードしたマップデータ(2017/04/04更新の等高線有UTF8)をStirlingでコード書き換えし,対策②の案内通り,2つのファイルをeTrex 20xの外部メモリ(microSDHC 32GB)に入れ,指定手順通りに操作した.すると日本語地名入り詳細な日本地図が表示された (なおメニュー等は英語のまま).英語版20xで日本語地名入りでびっくりした.OpenStreetMap for GARMINさま,後藤 和重さまありがとうございました.
eTrex 20xをUSB接続するソフト『Garmin BaseCamp software version 4.6.2 』(以前のMapSourceのようなアプリ)をダウンロード.
そしてファームウェアを見ると,現物はversion 2.30で,最新は2.50がリリースされているようだ.特に『Improved display Battery Save operation』の殺し文句で,Garmin BaseCampで繋いでファームウエアをダウンロードし,v2.50にアップデートした.
そしてMapを見てみると,ガーン!(日本語)地名が表示されない.
ファームのアップデートのためであろうかと,microSDHCを取り替え,『対策②:ダミーファイル作戦です!』を再度試みたが,僅かな地名がアルファベットで表示されるに留まった.
日本語地名表示は諦めてアルファベット地名表示のフリーマップを改めて探すことにした.そして今度はT-MZさんのGarmin GPS英語版用 日本地図データ(2017-03-28等高線あり版) をダウンロードし,使わせてもらいました.アルファベット地名ですがとても詳しく表示されました. T-MZさんありがとうございました.
Garmin社サイトでeTrex 20xオーナーズマニュアル も一応見てみる.上述の名刺を長手方向のみ1.5倍程度に細長くした付属リーフレットと大差ない.
上述のOpen Street Map for GARMINは日本地図以外に世界各国地図があるそうで,それではとFree maps for Garmin brand GPS devices さんからネパール地図をダウンロードし,gmapsupp.imgのファイル名が重複しないようにgmapsuppNepal.imgに変更しmicroSDHCのgarminディレクトリ下にコピーした.
ネパール地図は表示されたが,T-MZさんの日本地図と比べて著しく疎らである.またベースマーップの濃い山岳色に埋もれるので,ベースマップはdisableにした.
操作スティックの不意打ちガード
Garmin eTrex 20xの操作スティック(Thumb Stick)は前機種Vista HCx同様構造だ.私はザックの上蓋ポケットに入れておくことが多いのだが,スティックが不意に他の収容物に押されて作動することが間々あった.極端なケースでは400個くらいのウェイポイントがごく短時間で生成されていたこともあった.そして非常に腹が立った.
と云うことで今回は予めザック上蓋ポケットに収納しておいても不意に押されないようにガードすることにした.その方法は単純に下図のようにスティック周囲を,スティック同等以上の高さの城壁で囲むことにした.城壁は100円店で買った押印用ゴムシート,強力両面テープを下図の如くカットして貼り付けた.10mm孔開けはちょっと厄介で近くのオカダヤで買ってきたハトメセット付属ポンチで叩き開けた.
Garmin eTrex 20xに貼り付けた操作スティックガード
さてこれで
スティックより城壁は僅かに高い.....低いと敵に攻め入られる,高すぎると操作性悪化
スティック操作し辛くなった.....ロギング主なら許容範囲,常時操作用途には不向き
著しくカッコ悪くなった.....別に誰も気にしないよ
さて,カッコ悪く操作性低下は元より折り込み済で,トラックログ一番と決め込む筆者にはこれでいいのだ.多分これで戦国時代でもないのに不意打ちに遇う機会はぐっと減る筈だと思っている.(その後実戦でザック内で揉まれたが,不意打ち或いはガード剥がれといった不具合なし,すばらしい!と自画自賛)
バッテリランタイムテスト
さてこれで長期間トレッキングで重要なバッテリのランタイム(特にロギングの)を見てみることにしよう.設定はなるべくランタイムを長くする狙いなので,以下のようにした.
手持ちのeTrex Vista HCxと新しいeTrex 20xを一応比較してみる
GLONASS受信はoff設定(onだと消費電力が20%くらい増加.....らしい)
パナソニック(評判高い旧三洋の)eneloop pro(公称1.2V min.2500mAh)NiMH充電池
リチウム電池(一次電池)も試してみる
HOLUX M241cで大活躍したアルカリ電池は,eTrexでは推奨されていないので試みない
eTrex 20xはLCD表示がoffできるので試してみる(Vista HCxはoff設定できないと思う)
室内窓際(つまり温度条件は楽,時々衛星をロスト)や,ベランダ,高尾山ハイクなどテキトーに動作させてみる(本来の統計的手法からは著しく逸脱し,かなりインチキテスト)
バックライトは50%明るさ,30秒でタイムアウトに設定
LCDは常時on設定とタイムアウト時表示off設定 の2種でテスト
Main Menuの Setup > System > Battery Type でNiMHまたはリチウム電池を設定する.
テスト方法にかなり問題あろうが,以下の表のような結果が得られた.
# 機種 バッテリ LCD表示 バックライト 実測 ランタイム 備考
2 eTrex Vista HCx (公称25Hr駆動) NiMH単3x2 Panasonic eneloop pro (二次電池) 常時on (off不可) 30秒でoff 26Hr コンパスoff
3 eTrex 20x (公称25Hr駆動) 常時on 〃 38Hr
30秒でoff 〃 31~39Hr 期待はずれ,測定法まずかったか?
リチウム単3x2 Panasonic FR6HJ (一次電池) 常時on 〃 64Hr
まとめ
Vista HCxより20xのランタイムは長くなっている
eneloop proとFR6HJを使う限り仕様の25Hrランタイムを超える
大いに期待を寄せたLCD完全offは効果不明.測定法まずかったか?
ただLCD完全offは動作しているのか,バッテリ切れか判断つかず不安
eneloop pro使用で1日8時間移動x4日間くらい,無交換でいけそうだ.
リチウム電池使用で1日8時間移動x8日間くらい,無交換でいけそうだ.
電池の重さと価格の比較
なお電池の重さと価格を比べて見ると,下のようになる.
種類 2個の重さ 2個の価格
eneloop pro(二次電池) 61gr 554円(アマゾンで8本パックの2本分)
リチウムFR6HJ(一次電池) 30gr 350円+送料(アマゾンで4本パックの2本分)
アルカリ(一次電池) 49gr 54円(100円店4本パックの2本分)
リチウム電池は若干高いがNiMHの半分,アルカリの65%の重さで済む.特にランタイム有利なため,長めのトレッキングツアーはこれで決まりであろう.
(2017/4/28記)
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