旅の小物(6)コンパス時計
トレッキングではコンパス,高度計付き腕時計が手軽で重宝する.これまでのお気に入りなどについてメモしてみたい.
コンパス,高度計付き腕時計の代表的ブランドと特徴
最近販売されているコンパス,高度計付き腕時計は幾つかあり,ざ~っと見てみるとそれぞれ以下のような特徴(個人的見解だが)を備えているようだ.
- カシオ:ソーラー電池,見易いコンパス表示(一部機種見難い),意匠仰々しい,重い
- SUUNTO:電池交換容易,軽量,デザイン良,コンパス表示がイマイチ,安価,使用経験なし
- EMPEX:軽量,コンパス表示がイマイチ,一般的な電池(CR2032),とても安価,使用経験なし
- Tissot T-Touch:アナログ,針コンパス,超重そう,高価,電池特殊,使用経験なし
これまで使用した機種の比較
上記ブランド中,私の場合電池,コンパス表示の見易さ,価格などが特に重要で,この観点から無難と思えたカシオプロトレックのみ使用してきた.そしてその機種と特徴(多くは好み)は以下の通りだ.
機種 | 時刻 表示 | ワールド タイム | 方位 表示 | 電源 | 高度 | 照明 | 重量 | 気圧 | 温度 | 防水 | 電波 |
カシオ PRG-50J | デジタル ○ | △ KTMなし | LCD針 ◎ | ソーラー ◎/× | △ | ◎ | 77g (80g) | ○ | △ | 10気圧 | × |
カシオ PRW-1300TJ | デジタル ○ | △ KTMなし | LCD弧 △ | ソーラー ◎/△(?) | △ | ○ | 97g (83g) | ○ | △ | 10気圧 | ○ |
カシオ PRG-500T-7DR | メカ針 ◎ | ◎ KTMあり | メカ針 ◎ | ソーラー ◎/△(?) | ? | ○ | 112 g (100g) | ○ | △ | 10気圧 | × |
(1)重量:下段()内は,ウレタンとチタンに変更したり,細腕に合わせてチタンベルトのコマを落とした結果.
(2)電源:ソーラーセル自体は◎だが,二次電池の寿命や交換の手間,費用が×~△(?)
カシオPRG-50J
カシオ『PRG-50J』(写真は方位表示モード)
最初に使ったプロトレックで以下の印象
- ◎デュプレックスLCDで数字の上に放射状に表示されるコンパス指針はとても見易い
- ◎バックライトボタンが大きく,他と離れた位置に独立し,暗闇でも操作し易い.
- 傾けただけでライトが点灯するモードがあるが,不要時点灯しバッテリー上がる.
- ×安かったのでウレタンベルト付きを買った.しかし細腕には装着感最悪で,汎用チタンベルトに交換.ただしPRG-50J取付部幅は最大の汎用品ベルトより広く,取付部を加工し無理やり取り付けた.重量は77gから80gへと若干増えた.
- ×トレッキングのメッカ,カトマンドゥのタイムゾーン設定ができない(時刻調整で可)
- ×時刻表示が10:58 50と秒も表示され1秒ごとに更新され鬱陶しい.
- △高度計は大変重宝で,私の場合時刻に次いで使うが,精度はイマイチで特に4,000m以上では相当低目に計測される.
- ×バッテリーがフルにならずバックライトが点灯しなくなった.意外と早い故障だ.
- ×コンパスも全く動かなくなった.多分パワーサプライ系の故障が原因であろう.
カシオPRW-1300TJ-7JF
カシオ『PRW-1300TJ-7JF』(写真は高度表示モード)
『PRW-1300TJ-7JF』は上のPRG-50Jが故障したため使った2番目のプロトレック
- PRG-50Jが故障したので代替に購入.
- ×デュプレックスLCDなしで,文字盤外周分割円弧で表示(北は3円弧,南東西は1つ)PRG-50Jの放射状コンパス指針やPRG-500Tの針は,線を延長した先のターゲットを捉え易く,PRW-1300TJの円弧表示の視認性は著しく低下した.薄さに惹かれた選定の失敗.
- ○PRG-50Jのウレタンベルトに懲りたので最初からチタンベルトにした.装着感良好.
- ○電波時計で時報にピタっと合うのは快感だが,普段は殊更大きなメリットとは思えない.遅刻を避けるためわざわざ進めておいたのが自動的に校正されて困る(うそです)
- ×相変わらずカトマンドゥのタイムゾーン設定ができないのは腹立たしい(時刻調整で可)
- ○時刻表示が,中段に10:58,下段に少し小さく50と秒が表示され,鬱陶しさが解消された.
- ○3mmほど薄くなった.
- ×気圧などのボタン周囲の土手が低くなり,袖などで不用意に押されることが間々ある.
- ×一見金属風Alメッキ樹脂本体は岩に擦る度に傷がどんどん増え無残な姿に.
- △高度計は『PRG-50J』同様精度はイマイチで相当低目に計測される.
- ×ライトボタンがADJボタンと並び,それがまた小さく,暗闇での操作性が劣化した.
- ○ただライトも点し,コンパスも正常に機能している.
カシオPRG-500T-7DR
カシオ『PRG-500T-7DR』(写真は高度表示モード)
PRW-1300TJ-7JFのコンパス視認性にどうしても納得行かず(いや,物欲と言うべきか)最近『PRG-500T-7DR』を使い始めた.この機種は電波受信機能を省いた海外専用モデルで,安い逆輸入品を買い求めた.以下思った.
- ◎やはりアナログ時計はいい.
- ○秒針が北を指すコンパスの視認性は抜群.但し『PRG-50J』の放射状表示も優れ,或いはそちらが勝るかも知れない.
- ◎カトマンドゥタイム(KTM)設定ができるようになった(但しKTM等のシティコードは超小さい)
- ×112gと重くなった(コマ詰めでいくらか減らせたが)
- カシオらしくけばけばしいデザイン.特に中央の放射目盛りが鬱陶しい.
- 高度計の精度については使用経験浅く,まだはっきり判らず(期待は大)
- 高度計は5m刻みであるが,狭い範囲の相対変化測定に1m刻みが良さそう(←SUNNTOが1m刻みであるそうだ.必ずしも絶対精度が高いとは言えないが,相対高度測定に良さそう)
- △上2機種同様,温度計は腕に装着時は体温が伝わるので役に立たず,外して外気と平衡状態に入るまで長い時間要すため,朝目覚めた時以外はあまり実用にはならない.(SUNNTOなどはどうか?)
- たまにしか使わないが温度測定には2つのボタン操作が必要になった(PRW-1300TJなどは気圧と一緒に表示)
- ○×電波時計でないので安い.しかし面倒な時刻合わせが要る(双方のトレードオフです)
- ×操作マニュアルに日本語がなく,しかも英語(及び他語)は文字が小さく,老眼には厳しい.
- ×誤操作で針のホームポジションを狂わせた.元に戻すのに大変苦労した.総じて操作は厄介だ.
まあ誤操作しない限り今のところ『PRG-500T-7DR』はかなりいい.長持ちして欲しいと思う.もう一つ,高度計の精度はぜひとも向上して欲しいものだ.
付録:カシオプロトレックのチタンベルトのコマ詰め
購入したままでは自分の腕が細過ぎてベルト長さが余り使えない.次のように詰めた.
カシオ『PRW-1300TJ-7JF』や『PRG-500T-7DR』のベルト詰め手順
ベルトをバラしてみるとコマ連結構造は上図のようになっていた.連結ピンがバネ性のあるスプリングスリーブに支えられている.ピンを抜くスリーブはフリーとなりコマ凸部内側の孔から抜け落ちる.小さいので紛失しないように要注意(でもコマを減らすときはスリーブとピンもその個数分余るのでその数分は紛失してもOK).腕に合うようにコマを減らして試着し,決まったらコマ内側凸部孔にスリーブを入れ,相手嵌合凹部を合わせ,横からピンを入れ,スリーブをくぐらせ,端面が出っ張らないよう全部入れ込む.これでバッチリ,スプリングスリーブの摩擦保持力は十分でまずピンが抜け出てくることは無いと思われる.くどく手順を書くと以下となる.
- 外すベルトコマの孔に千枚通しを刺し,ピンを出っ張らせる.
- 出っ張ったピンをペンチやプライヤーで引きぬく.同様にもう一方のピンも引き抜く.
- 抜け落ちたスプリングスリーブを矢印刻印側から嵌め込む.
- コマの凹凸部を合わせる.
- ピンを押し込み,完成.
なお『PRW-1300TJ-7JF』と『PRG-500T-7DR』とで,ベルトデザインは少し異なるが,コマ連結構造は同じだった.『PRW-1300TJ-7JF』のときはまだ構造を知らなかったため手こずったが,2回目の『PRG-500T-7DR』は容易だった.また最初の『PRG-50J』を汎用チタンベルトに換え,コマ詰めを行ったのだが,細かいスプリングスリーブなど無かったように思うが詳細は思い出せない.
(2012/1/6)
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