三脚雲台クイックシューの加工

以前三脚と雲台と題して,ハイキング/トレッキングなどで便利な小型軽量タイプの三脚と雲台について記したことがあった.当時お気に入りとして載せた三脚と雲台は今も変わりなく有用で,使い続けている.一方デジカメは特にミラーレスは小型タイプ(ここでの対象はPanasonic DMC-GM1およびGM5)が現れ,一層便利になってきた.ただ小型化故の弊害か,クイックシューのアダプタを取り付けたままではバッテリー交換できない問題があり,シューアダプタを追加加工して解決した.

加工対象の雲台SBH-100DQ

加工対象の雲台SBH-100DQ

クイックシュー付き雲台は,以前から使用中のスリック社SBH-100DQ(または100DQN:130g/最大積載2kg)を用いる.

一方使うカメラはPanasonic DMC-GM1およびGM5で,重さを計ってみると,以下のように全く軽いので,耐荷重的問題はない.



GM1+バッテリー+SDカード+12-35mm/F2.8+プロテクタ+ストラップ=543gr
GM5+バッテリー+SDカード+14-140mm/F3.5-5.6+プロテクタ+ストラップ=503gr


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シューアダプタの干渉

さて雲台SBH-100DQのシューにはカメラ側の『足』に相当するシューアダプタをネジ止めする.上の写真に見えるように,シューアダプタは台形断面のアルミダイキャスト製で,コルクが貼られている.なおメーカー型番はスプリントPROIIである.

それをPanasonic DMC-GM5と並べて撮ったのが右図で,DMC-GM5のバッテリ室蓋の一部を覆い,従ってシューアダプタを着けた状態では電池交換できない.

実はミラーレス最大の欠点は,一眼レフに較べてバッテリーが持たないことだ.大まかには1/4程度の枚数であろう.一応撮影枚数260コマとされているが,まごまご操作ではこれよりかなり少ない.

つまり,GM5では頻繁にバッテリー交換が必要になり,このままではシューアダプタのネジを緩めたり/閉めたりの作業が必要になり,とても『クイック』どころの話ではなくなる訳だ.

なお『シューアダプタを縦方向に装着したらどうか?』と云う案があろう.12-35mm/F2.8や14-140mm/F3.5-5.6はカメラボデイ底面よりレンズ外径が大きいので,アダプタが付かない.小型の14mm/F2.5や12-32mm/F3.5-5.6はレンズ外径はボデイ底面と同じ面位置で辛うじてシューアダプタが付き,雲台シューにも嵌まる.ただ,惜しいことにバッテリ室蓋が全開までいかず,80°くらいで止まるのでやはり使えないのだ.


シューアダプタの加工図

シューアダプタの加工図

アルミダイキャスト製シューアダプタは左図のように一部を切り取った.これでバッテリ室蓋は全開し,バッテリーは交換容易になる筈だ.

切り取り作業は,下写真の糸鋸で切り,ヤスリで仕上げた.


シューアダプタの一部切り取りのスパイラル糸鋸

シューアダプタの一部切り取りのスパイラル糸鋸

シューアダプタと,追加加工部分は小さいのでジグソーでは大き過ぎ,糸鋸がいい.途中で直角曲がりがあるのでとても細いノコ刃のタイプがいいのだが....アマゾンで写真の『スパイラル刃』の糸鋸を見つけて,購入した.『PICUS』ブランドが付してある.

スパイラル刃は,丸い針金にスパイラル状に細かいノコ刃を張り合わせた構造で,下だけでなく,上にも,左右にも,斜めにも....どの方向にも切り進むことが可能だ.つまり急な方向変換や円形切り取りも自在だ.

押すも引くも双方向に切れるが,スパイラルのリード方向は一方向なので若干の切れ方向性が感じられるので,片方向切削でなく,両方向切削にしたほうが真っ直ぐに切り易い.

ところで今回はワークの縁から続く切り取りなので問題ないが,閉じた小さな穴加工には向かないと思う.写真左側スペアノコ刃の両端フック部はノコ刃安定指示のためか,ばかデカく(実測で幅14mm),閉じた穴加工では先ずこのフック部を通過させるための下穴加工(多分ドリルで)が必要だ.ちょっとデカ過ぎるな....と思う.フック部にはUSAの刻印が見られ,それならば....と納得したが.


シューアダプタをGM5に付けてみた

シューアダプタをGM5に付けてみた

一応設計通り仕上がり,ボデイ底にネジ止めした.問題ないと思う.

なお,GM1にも取り付けてみたが,大丈夫だった.底面のレイアウトはGM5と同じように見えるが.....実際同一なのかもしれない.


バッテリ室蓋は全開した

バッテリ室蓋は全開した

シューアダプタを装着し,バッテリ室蓋を開いてみた.全開した.やった~!

バッテリ交換とSDHCカード交換(殆ど必要ないが)が,シューアダプタなしのときと同じようにできるようになった.


カメラを三脚雲台に載せてみる

カメラを三脚雲台に載せてみる

シューアダプタに切り欠きを入れたことで強度が若干小さくなっているであろう.念のためカメラを三脚雲台に載せてみて,操作したり,いくらが力を加えてみたが,特段以前と変化したようには感じられない.まあ,無問題であろう.(なお三脚はやはり以前三脚と雲台に記したベルボン社ULTRA MAXi mini

上述のようにマイクロフォーサーズという小フォーマットのせいもあろうが,一応小柄ながらもファインダー(EVF)付きボティにズームレンズを付けて500grちょいというのは歳とともに有り難みが感じられる.次はやはり一眼レフ並撮影枚数(1000枚くらい)に期待したい.

(2016/4/20記)


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