山歩きのとき,一眼レフやミラーレスカメラは便利であるが比較的重いためどのように持ち歩くか問題だ.これまで幾つかの方法を試してきた.現段階で比較的うまくいった『カメラをリュックの肩紐に掛ける』方法を中心にまとめておくことにした.
これまで行なっていたいろいろな方法を列記すると,
左の写真はザンスカールを歩く2012のジンチェンタクポへ編に載せた写真であるが,5番目の方法でカメラを支えている例だ.カメラケースは加工を施したエツミE-3173,なお反対側に同じような方法で水筒ホルダーも付けている.
ところでこのトレッキングで同行され,パドゥムで皆に羊一頭をご馳走して下さった東京のKさんに,『そのカメラケースいいですね』と言って頂いたのも一因で,このページを書く気になった.因みにKさんはこの時一眼レフに,確か標準ズームと超広角の2本レンズだったと思う.
このようにしたお陰で簡単にカメラが構えられ,いつでも水が飲めるようになった.また背中のリュック本体の荷物の重みで後ろに引っ張られるのを,カメラと水筒の重み分だけキャンセルするので,全て背負うより楽だ.ただし格好は悪いとは思う(連れ合いには,まるで落下傘部隊だ,と言われてる)ので,トレッカーの多いところではちょっと考えた方がいいかもしれない.
なおオリジナルアイデアは浮世絵から頂戴した.浮世絵ではしばしば荷物を2つに分けて紐で結び,その紐を肩にかける江戸時代のトレッカー姿を見掛けるが,『振り分け荷物』と呼ばれるそうだ.背負いだけだと後ろに引っ張られるが,『振り分け』では引っ張られない,言い得て妙なネーミングだと思う.そして私はこれを真似たという訳だ.
さてこのカメラケースは下図↓のようにリュックの肩ベルトに引っ掛けるための『ベルト溝』を設けたアルミ板が麻糸で縫い付けられている.また入っていたカメラはPENTAX K-5/18-135mmF3.5-5.6付きである.
ここでちょっとまとめておくと
なおこのカメラケースは写真のPENTAX K-5とレンズの組み合わせでは余裕があり,他に例えばCanon EOS Kiss X4+EFS15-85mmF3.5-5.6IS(太い)やNikon D40+SIGMA 10-20mmF4-5.6DC HMS(これも太い)などでも楽に納まる.ただもう少し大きいFuji FinePix S5Pro(大きい)+Nikkor 18-200mmF3.5-5.6G ED(長い)くらいだとはみ出て,蓋が閉まらない(閉まらないでも使ってはいたが).
最近一眼レフより遅かったり,バッテリの持ちが悪いが,軽さが魅力でミラーレスSONY NEX-C3とNEX-6も使うようになった.特に後者はEVF付きなので一眼レフに近い使い勝手だ.そこで上記より小型の,SONY NEX-6/TAMRON18-200mmF3.5-6.3用にManfrottoカメラケースにアルミ板を貼り付け,下図↓のように作ってみた.
今回ベルト溝加工はジグソー(BOSCH GST 75 GST)にT118AOブレードを装着してやってみた.T118AOブレードはBOSCHでは最も細い方のブレードであるが,溝に倣うように曲がるには程遠い.なので刃先を横にずらしながら平面を作るといった方法で荒削りし,ヤスリで仕上げた.それでも最初のときよりかなり楽だった.懐の深い糸鋸が用意できれば一番いいと思う.
カメラも軽いし,ケースも小型になって,カッコ悪さは幾らか軽減されるかな?
下図↓のようにリュックの調節ベルト(写真は見本)を溝に強引に潜られせる.ベルト溝はリュックのベルト縫い目がストッパとなって,ここで荷重を支える.次に下部固定用紐を左右それぞれ一廻りさせて,両端をクランプに潜らせて止める.これで完了.
最近使っているMILLTEの25l小型リュックは調節ベルト部が2枚になっている.溝にはかなり強引に入れないときつい.その代わり不意に外れることはない.更に軽量なBlack Diamondのリュックにも使ってみた.Black Diamondは調節ベルトは一重で,薄く,極めて楽々に溝に装着できる.ただしリュックを下ろした時,不意にカメラケースが溝から外れることがあった(それでも下部固定紐がるので完全脱落は免れる).よって,リュックに合わせたアルミ板の溝加工が大事だ.薄い調節ベルトには細くて深い溝など.
水筒と共にカメラケースを貼りつけたリュックは下図↓のようになる.Nalgeneの水筒ケースは,上部のプラスチックD型フックの脇をカットし,リュックのベルトに通し,また下端にはカメラケースと同じように紐を付けて巻き付けるようにした.
格好こそ良くないが,これでカメラも水筒も大変使い易くなった.
以上が現状であるが,これからトレッキングに持参するカメラは私の場合どうなるか?私が重視する項目とカメラタイプ毎の○×表(全て感覚的)は以下のようになる.一眼レフとミラーレスは上のレンズとの組み合わせ,コンパクトは一例で,画角もバラバラだが....まあ一応....
カメラタイプ | 一眼レフ 原則山ではレンズ交換せず | ミラーレス 原則山ではレンズ交換せず | コンパクト Ricoh CX5の例 |
---|---|---|---|
サイズと重量(歳に反比例したい) | ×(1175g) | △(811g) | ◎(196g) |
ファインダー(老眼にはMust) | ◎ | ○(EVF) | × |
操作性(ズーミングなども含めて) | ◎ | △ | △ |
レスポンス(AF含めて) | ◎ | △ | △ |
電池長持ち具合 | ◎(電池大だが) | × | × |
防塵防滴,頑丈さ | ○ | △ | △ |
感度(主にセンサ画素サイズが寄与) | ◎ | ◎ | × |
マクロ(山では花もよく撮る) | ○ | △ | ◎(倍率,深度) |
これまでは表で○が多い通り,何かと使い易い一眼レフが多かった.しかし山歩きには大きく重いと云う欠点があり,歳と共に応えてくる.最近,EVF付きミラーレスは電池寿命が非常に短いなど弱点があるが,小型軽量でなかなかイケると聞き及び,試して見ている.実際小型軽量はありがたい.
私は横着で,また持つと一層重くなるので最近はレンズ交換しない.なのでレンズ交換式の一眼レフやミラーレスである必要性はなくなり,他の理由(上表諸項目)でそれらを使っている.現在パララックスなしファインダー(多分EVF)付きコンパクトカメラはあまり見当たらないようだが,将来そうしたものを備え,しかもある程度レスポンスのいいものが出てくれば,そちらの方向にしていきたい.きっとそのようなものが現れてくると思う.そうすれば,リュック腰ベルトポケットに収まり,歩くのが楽になる筈だ.実際は己の老化が速そうなのでそうは問屋が降ろさないかも知れないが.....
まあ,それはそれでこの先もいろいろ楽しみだ.(2013/1/12記)
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